第45話 高原の国
「とうとう着いたね、5日かかったけど! 西欧諸国の中でも一番大きな国、ナニリニック!!」
広がる高原とその中で一際目立つ城塞都市。土壁で守られたその街はとても大きく、圧倒される。大通りをスキップしながら進むリルートとそれに呆れながらもついていくアモスであった。
「.....とりあえず.....買い出しを済ませておかない?」
「じゃあアモスは食料と必要品買ってきて! はいこれ!」
リルートはアモスにメモ用紙を渡して、すぐさま立ち去ろうとするがアモスが止める。
「.....そっちは?」
「.......ヤドヤヲサガスヨー」
明らかに棒読みで目が泳いでいるリルートを見てため息をつく。
「......宿屋を探したらあとは自由にしていいから......夕方にはここに集合ね」
「了解!」
そうして二人は解散する事になった、のだが......
「なんで付いてくるの?」
アモスの問いにリルートはニマニマとしながら答える。
「だって暇だし〜」
「.....まあいいけど.....」
そう言ってリルートはアモスの後ろを歩き、しばらく進んでいると突然後ろから怒った口調の声が上がる。
「だーかーらー! 酒を飲んでる暇はない! アタシは忙しいの!!」
その声は路地裏からのようで二人はそっと覗くと、そこには16歳ほどのケープを着た少女がいた。
センター分け、赤髪のショートヘア、動きやすい短パンからは絹のような白い肌を露出させている、迷惑そうに男二人を払い除けるがそれでも二人の巨漢は妨害するように立つ。
「そこを頼むって、今夜だけだからさぁ」
「そーそー、楽しくなるって」
男二人は少女をニヤニヤとした顔で勧誘するが少女は断固拒否をし続ける。
「.......別に関わらなくてもいいんじゃない....?」
「うーん、どうだろー?」
二人はその場を去ろうとしたその時、男が少女の腕を掴む。
「ちょっと、離して!」
「少しだけだしさぁ?」
少女は抵抗するが男は手を離さない。アモスはゆっくりと表に出ると声をかける。
「.....あの........」
アモスは声をかけるが全く気づかれない。アモスがもう一回声を上げようとした時、リルートが声を上げる。
「ストップ! 嫌がってるでしょ!」
リルートの声に男は振り向くと声をかける。
「嬢ちゃんも来ねえか? 奢ってやるよ」
「え、マジ?」
リルートは目を輝かせ、男の方に行こうとするがアモスが静止させる。
「......多分やめたほうがいいと思う.....常套句だし....」
「常套句って?」
「女の子を誘う時は大体.....まあいいや」
アモスは改めて咳払いをすると男二人に聞こえるように言う。
「えっと......その子も嫌がってるし....離したほうがいいと思うよ......」
アモスの言葉に対して男は聴く耳を持たず、少女を掴んだまま去ろうとすると、アモスは続けて言う。
「......逃げるなら衛兵を呼びますよ」
アモスの言葉に男はピクリと止まり、少し悩むそぶりを見せるがアモスの真剣な表情を見て少女から手を離す。
「チッ.....クソがッ!!」
男はそう捨て台詞を吐いてその場を去ると、リルートは少女に声をかける。
「大丈夫そう?」
リルートの言葉に少女は服をパタパタと払うと、鋭い目付きで答える。
「ああ、まあ別に助けてなんて言ってはいないけどね、ありがとう」
少女はツンとした態度で言うと、すぐに大通りの方向へと向かい、アモスとすれ違ったところで、アモスは少女に聴く。
「......魔法使いだよね、君」
アモスの問いに少女は一瞬だが硬直し、アモスに問う。
「だったら何?」
「......彼らに魔法を撃つ気......だったよね....正当防衛になるとは思えないけど......」
アモスの言葉に少女はため息をつくとヤレヤレという感じで答える。
「別に殺す気なんてない、だけどああいう連中は痛い目を見ないとまた続けるからね?」
そう言って少女はその場を去っていくのであった。
「うーん、あの男の人たちが悪い気がするけど......」
リルートは悩みながらいうとアモスは言う。
「あっちが悪いから別にいいとは思うんだけど.....まあ終わった事だしもういっか.......」
「じゃあ買い出しに行こう!!」
リルートはそういってアモスの手を引き、大通りへと出るのであった。
〜夕方〜
「いやぁ、随分買ったねぇ」
リルートは食料の入った紙袋を両手に抱えながら言う。すごく笑顔で気分も良さそうであるが、アモスは考え込んでいた。
「........明日はギルドに行って何か仕事をとってきたほうが良さそうだね」
「え、でも登録する必要あるの?」
「.....一応“世界冒険者統括ギルド証“があるから仕事は受けられるよ」
「へー、便利なもの持ってるんだね?」
「まあ一応ね.....とりあえずもう帰ろうか....」
「そうだね! お腹減ったし!」
そうして二人は宿屋へと向かうのであった。




