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第44話 さよなら

 アモスは息を切らし、立ちあがろうにも立ち上がれない。ライトはすぐに呼吸を整えると震える手で黒色ナイフをリルートの方に向けて、詠唱する。

 「マグスキャントス......エクソ....シア.....」

 リルートが魔法を警戒したその直後、背後からの殺気にリルートは気付く。

 「ッ———!?」

 ナイフがリルートに飛んでいき、紙一重でそのナイフを避ける。ライトは頭を抑え、ゆっくりと後退りする。

 「まだ......[念力]が使えるんですか.....」

 リルートはそこで思考する。ライトの弱点とは何かを。


 (恩恵は身体能力に等しい....どんな人間だって制限が存在するはずだ、時計を弄って時間をずらしてバレてないってことは相当時間をかけてずらしているはず.......だったら時間制限はない....? 発動条件は......?)

 リルートはしばらく思考を続け、考えがまとまったその時、ライトはフラフラとなりながらリルートとの距離を一気に詰めるとリルートの首を狙ってナイフを振るう。

 「くっ.....!!」

 リルートは頬に擦り傷を作ることにはなったがその一撃を避け、ライトの左手に剣を突き出し、手を復剣が貫通する。

 ライトはそれでも一切怯まず、右手に持つ黒色ナイフでリルートを刺そうとした瞬間、リルートはそのままライトに体当たりをし、左手に貫通した刃が壁に突き刺さるとリルートはそのまま復剣を叩き折り、磔にする。


 「く....そ.....!!」

 ライトはリルートにナイフを振るうがそれを避けた瞬間に、ライトの右腕を拘束する。

 「離せ.......!!」

 リルートは全身の力を込めてなお、抵抗され、今にも振り払われそうになる、だがその精神力のみで痛みすらものともしなかった。


 しばらくしてライトは右手に持つ黒色ナイフを落とした。リルートは一切の油断もせず抑え続けているとライトは口を開く。

 「.......僕の[念力]で......殺せますよ.....」

  ライトは殺気を全開に言うがリルートは動揺せずリルートは“答え”を出す。

 


 「あなたの[念力]には....発動条件がある.....それは....手を頭に触れている時だけだ......」

 「.....それは僕がそうするように見せただけ.......」

 「だったらあなたは既に私を殺しているはず......そうでしょ....?」

 リルートの言葉にライトはしばらく黙る。ただの静寂が続く中でアモスもすっかり意識を取り戻し、ゆっくりと近づく。

 「アモス.....油断しないで....!」

 アモスは重剣を構え、近づこうとしたその瞬間、グシャリと骨や筋肉の折れる音が耳に響いた。


 「な......!?」

 音の主はライトだった。自身の腕を無理やり捻じ曲げ、切断していた。

 二人が驚く暇もなく、ライトはリルートに抑えられた右腕に向かって頭をぶつけ、その瞬間に土煙が巻き起こるのであった。




 

 「どこに.....!?」

 リルートが煙の中を闇雲に探し回るが、それでも見つけることはできず、土煙が晴れる時、ライトは既に出入り口の目の前にいた。

 「これ以上は.....付き合いきれません。さようなら、リルートさん、アモスさん.....!」

 「待て......っ!!」

 リルートはすぐさま階段を登り、扉を出て辺りを見回すが既にライトの姿はなかった。

 「逃げ.....られた.......」

 焦燥感のみがそこにはあった。リルートはその場で膝から崩れ落ち、意識を保つことができずに倒れるのであった。



 


 




  



  SAVE



 「.........ここは.......」

 わからない、白い布が天井で、床は布団が敷かれているようだけど固い。私はゆっくりと身体を起こすが、全身の痛みがそれを拒もうとする。しばらく目を開けているとライトの件を思い出し、身体に鞭を打つ思いで起き上がった。


 よく見るとそこは馬車だった。アモスと村長が何か話してる......私も行かないと......

 私はなんとか立ち上がると、フラフラとなりながらもなんとかアモス達の元へ向かった。



 「アモス.......村長さん......」

 リルートの問いに二人を振り返るとひょっこりとフィルが出てくる。

 「あー! お姉ちゃん起きたんだー?大丈夫ー?」

 フィルはリルートの顔を見て問い、村長は複雑な表情で言う。

 「話は聞いたよ、まさかライトくんだったなんてね........いまだに信じられないよ.....」

 リルートは何を言えばいいかわからず口篭っているとアモスは言う。

 「......もうすぐ馬車が出発するからさ...........」

 アモスはそれ以上言わなかった。ここから先の言葉は自身で考えろと、そう言っているようで、リルートはしばらく考えていると村長が口を開く。

 「私は.....今までこの平和な村で生きてた.....のほほんとして.....楽しくて愉快な人たちが当たり前のように生きてたよ、だけど、レイが殺されて......誰もかも疑ってしまって———」






 「”泣いてたんだよ“ 心が苦しくて、悲しくて、信じたいのに皆が怪しく見えてしまってたんだよ。もうどうすればいいのかわからないってね..........」

 村長はそう言い切ると表情を緩ませ、泣きそうな笑顔で言う。

 「行きなさい、君にはやるべき事があるはずだ」

 「......はい....本当にありがとうございました....!」

 




 「......じゃーねー!!」

 遠くで手を振るフィルの声が小さく聞こえる。リルートはようやく肩の荷を下ろすとそのまま仰向けになる。

 「よかったの.....?」

 アモスの問いに私は黙って頷く。この村でたくさん楽しい思い出ができた。アモス、フィルちゃん、村長さん、きっとそれだけじゃない、カルック祭りに来た人も、村にいた人達も.....もうあの日常は戻らないけど、進み続ける。私は諦めないよ、絶対に。



 「じゃあね、レイ」

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