第40話 誰が彼女を
「宿屋に来た理由.....考えるだけ無駄な気もするんだよね....」
リルートの言葉にライトは俯きながら言う。
「そうかな.....まあそうですよね....今更わかってももう....」
「うーん....やっぱり眠らされたわけじゃないんだとして....だったら警戒されないような相手だったと私は思うんだよ」
リルートは頭をひねらし、悩みながら言うと一つの考えが頭によぎる。
「例えばレイさんの知人とかさ、そういう人が会っていた所をライトさんは見てないの?」
リルートの問いにライトは思考を巡らせるが、首を横に振る。
「そっか.....ちなみにレイさんの家で分かれたんだよね?」
「はい.....そうです.......」
「私たちが帰ったのが11時だし、その3時間後に事件が起きたと私は思うんだ」
「そうですね.......」
「ああ、ライトはこの宿に泊まっていたね。2時には帰ってきてたのを私は見たよ。基本朝昼晩、娘や夫と交代でずっといるからねえ。4時に交代なのに2時に娘が来たんだよ、いつもは時間にはうるさいのにねえ」
宿屋の女将は言い、壁にポツンとくっついたフックを指差す。
「掛け時計が落ちて壊れちまったんだよ、新しいのを今日、買いに行く予定なんだがね、本当に面倒なもんだよ」
女将の言葉にリルートは質問する。
「時計....壊れたんですか?」
「ああそうだよ、壊れたのは3時くらいだったかなぁ....時間の感覚がわかんなくなるし、大変だったよ!」
「ロビーからしか出入りできないし....まあそもそもここに来る必要もなかったかな......」
そうしてリルートは宿屋を出ると、そこには村長がいた。
「あ、村長さん」
「すまないが一度来てくれないか」
村長の手招きにリルートはついていき、村長の家に着くのであった。
「はっきり言って....どうしても君が怪しくなってしまうんだ、リルート」
「........ぇ.....」
村長の言葉にリルートは動揺して言葉を返せずいると村長は言う。
「だがね、客観的に見たらって話だ、君が第一発見者で、君の部屋の前だったから、ただそれだけで判断するのもどうかと思っていてね。だからこそ聞きたい、君の考えを」
「.....やっぱり眠らされたとは思えません、私の部屋の前だったのは....バレないようにするためのはずです。私が部屋を移動したと知らなかったから.....そう思います」
「そうか....私もそうだとは思う。君が居たおかげでレイの殺人にいち早く気づけたが.....それで容疑者から外していいと思うのは.....祭りでアリバイを持っていた人間は多い、他にもライトだったり、そうなると怪しい人物は、祭りに参加していなかった人や、君やアモス、その日宿屋に居た人たちってことになる」
「宿屋にどれくらい居たんですか.....」
「祭りで出ている人が多かったからね、10人ほどだよ」
リルートは少し考える中で一つの考えが思いついてしまった。
レイが眠らされてたとは思えない、警戒するはずだから....だったらレイと仲のいい人ってことになる....だけどレイと仲が良かったのってフィルちゃんやアモスさん、そして....もしもそうだとしたら......
「すみません、ちょっと調べたいことがあるので、いいですか?」
リルートの問いに村長は頷くと、リルートは家を出る。
リルートは家を出てしばらく道を歩く。そして後ろから誰もついてきてないことを確認すると息を吐く。
「はぁ.......」
村長も怪しい人物に入っている.....?
フィル、アモス、村長......この中にレイを殺した犯人がいるとでも....?.......少し.....話す相手を変えるべき何かもしれない。
「———ってことなの.....」
リルートはライトに先ほどのことについて話す。
「そうですか......正直3人とも疑いたくはないですが.....そうなんですね....」
「私はあまり詳しくないけどさ....レイと仲のいい人って他にいる?」
「........仕事先の人とか....いやでも僕が調べた限りだと祭りとかでの証言があるし......違いかな、友達とかもいるけど....でもそれも同じだったよ....」
ライトはだいぶ落ち着きを取り戻してはいるが表情はやはり暗い、ライトはしばらく考え込むと言う。
「もしも......アモスさんだったら........貴方はどうしますか?」
ライトの言葉にリルートは黙り、口を噤んでいるとライトは続ける。
「君の仲間に裏があったとして.....貴方はどうしますか.....?」
考えたこともなかった。ガルザルを命懸けで倒すのに協力し、今までも脅威に対抗するため、アモスは一緒に戦ってくれた。そんな彼を.....恐れている....?
「もしもそうだとしたら....................」
リルートの言葉は途切れる。思考すら放棄しだし口だけがパクパクと動かしているとライトは言う。
「すみません.....僕は今.....酷いことを言いました.....多分....怒りで耐えられなくて.....八つ当たりしたんだと思います.....冷静なつもりなのに全く冷静になれないのです....」
そうだ、親密な関係な人が死んで.....冷静になれるはずが.....




