第39話 死体発見
SAVE
———.......?」
僅かな物音が耳に残り、リルートは目を開く。
目が覚めると、目に映るのは天井だった。最初こそ違和感のある天井であったが、3ヶ月も経てば当たり前の様な天井、蝋燭の灯りのみで、辺りはまだ暗い。リルートはまだ知覚できてない身体をゆっくりと起こす。
「まだ暗いな.......」
そうぼやきながら、リルートはドアノブに手をかけた時、違和感を覚えた。
「..........?」
何も違わない、当たり前の、至って平凡なはずの扉を開けた時、リルートはそれを見る。それまで気づけなかったのは、知覚の遅れからくるものであった。
鮮血に濡れた床と壁、吐き気を催すほどの血生臭さと、そこには首に大型のナイフの突き刺さる....レイが壁に寄りかかったまま息絶えていた。
「.......レイっ——!!」
リルートはレイの元に駆け寄るが、呼吸はなく、体温こそまだあるが、もう死んでいる。リルートは泣きながらもレイを揺さぶる、だが目を覚ますことなどなかった。
******
〜午前4時半〜
「ナイフで喉を掻き切られている、さほど争った形跡もない....眠らされていたのか....?」
村長の言葉に対して、リルートは口を動かせない。死んだことが現実になっていくようで、周りの野次馬たちも、全て空想のようで、どうやって人を呼んだのかも覚えてはいない、ただそこに”人の死“が存在するだけだ。
「なんで....僕が守れてたらっ....!!」
ライトは泣きながら言う、様々な感情が入り混じるその声は、悔しさ、悲しさ、心の痛みを代弁するかのようで、何を、どう言葉にすれば良いのか、ライトにどう声をかければ良いのか、リルートは思考するが感情がそれを停止させようとする混乱した脳で必死に考える。レイの殺された理由もわからない、なんでこんなことになったのかもだ。だからこそ、彼女の無念を晴らしたい。そんな思いが強くリルートの心に刻まれていた。
「聞きたいことがある」
村長がリルートに声をかけ、続ける。
「君の部屋の前にいて、そして見つかった以上は君が頼りだ、何か知っていることはないかい?」
リルートは起きたことを思い出しながら唇を震わせながら言う。
「えっと.....30分くらい前で....物音が聞こえて起きたんです....」
「殺されたのっていつだったんだろう....」
自室の椅子に座り込むと思考する。起きた時の出来事を。
物音と、開いた時にはすでに息絶えていたレイ。少し考えるとリルートは部屋を出て、アモスのところへと向かう。
「アモス〜、ちょっといい?」
扉をコンコンと叩き、しばらくするとアモスが扉を開き出てくる。
「....どうしたの....?」
「アモスはレイさん達がどれくらいに帰ってきたのか知ってるんですか?」
「うーん....自分は君と分かれてからはそのまま部屋にいたけど君以外には足音はちょっと聞こえたりしたけど......でもそれ以外特に音はしなかったよ......」
リルートが悩むそぶりを見せるとアモスは言う。
「.........ライトさんに聞いたほうが早いと思うけど......」
「まあそうだよね....ありがとう!」
「ライト、大丈夫.....?」
憔悴し切った顔でライトは俯いている。リルートは掛ける言葉に迷っているとライトはか細い声で言う。
「......気分は....あまり良くないですね........それで......何かようですか?」
「.....レイさんと何処まで一緒にいたかを、教えてくれませんか?」
リルートの問いにライトはしばらく黙っていたが、ゆっくりと口を開く。
「.........昨日は......午前2時くらいに帰りました......レイさんの家まで送ってから分かれました.....宿屋についたのもその後すぐです....」
「宿屋って....私たちがいた所とは違うよね」
「......そうですね.......」
私たちが宿屋に帰ってから2時間後くらいには帰ったんだったら....レイさんはどうしてこっちの宿屋に来た....?ライトさんの方の宿屋ならわかるけど......というか争った形跡がなかったって......それに....
「カルック祭りって人が多い分さ、もっと警戒すると思うんだよね.....」
リルートはそう言ってそのまま言葉を続ける。
「ほら、祭りで話したときもさ、犯罪とかが増えたりするーみたいなこと言ってなかったっけ? それだったらもうちょっと警戒するからさ、争った形跡もないってことはないんじゃないかな?」
リルートの言葉にライトは口を開く。
「......村長が言ってました.....眠らされてたかもって........だから争う形跡も.......」
「でも眠らされてたとしてもさ、人がいないとは限らないよね、人が多いなら運んでる所を見られたら一巻の終わりじゃないかな?」
リルートの言葉にライトはしばらく考えると言う。
「ごめん、ちょっと色々整理したいからさ.......待ってほしいな....」
ライトの言葉にリルートはコクリと頷くとライトの部屋から出ると、殺された現場にいる村長の元に向かうのであった。
「村長、何かわかったことはありますか?」
リルートの問いに村長は首を横に振る。
「いや、わかってはいないよ、ただ気になることがあるんだ」
「気になることって?」
「やっぱりあそこで殺したことだよ」
「そんなに気になるんですか?」
村長は壁や床に付いた血を指差す。
「血痕を見る限りだとここで殺されたには違いないんだ、暗殺は誰の目にもついてない.....だけどどうして死体はそのまま放置されたんだ....?」
リルートは自分の部屋の方を指差すと言う。
「それは....部屋が変わったのもあってなんですけど....物音が聞こえて起きたから.....だからしたくてもできなかったんじゃないかと思うんです」
リルートの言葉に村長は少し考えると言う。
「じゃあどうやってレイを宿屋に連れてきたかがわからない、なんでここで殺したかもそうだ」
「確かに....どうしてわざわざここに.....」




