第32話 虚構
激痛が左目に走る、眼球までには達していないのがまるで奇跡だ。まだ生きている.....
僕は目をゆっくり開くと、目の前に血濡れになったリアがいた。
「リア....!! なんで...!!」
僕はリアの傷を見る、地面は血まみれで....リアが生きてるのに.....もうすぐ死んでしまうのがわかった時...悲しみではない、怒りでもない感情が僕を襲う。
僕はゆっくりと立ち上がり、剣を構える。
「アモ....ス....逃げ....」
リアの忠告が耳に入るが....もうどうでもいい、このままいけば———
その時、僕は中空へ身体を投げ飛ばされていた。平衡感覚が狂う。痛い、そのまま僕は壁に激突する、だが[受け身]のせいでほとんど衝撃は来ない。
「か.......は........っっ!!」
血反吐を吐きながらもゆっくりと立ち上がったその時、天井が崩れ、視界は真っ暗になる。
*****
呼吸が苦しい....体に来る重圧と息を吸うにも吸いきれないもどかしさ....まだ思考できてるだけ良いのかもしれない....“自分”はリアを失った、なんで出てきたんだ? あそこにいるグレムリン達は既に死んでいたはずだ....全ての死体を刺して確認までした。だったら....誰がオーガを出した.....? オーガの足はそこまで早くない....追いついた速度で考えれば....すぐ後ろに誰かがいたはずだ....モンスターならば直接攻撃するはずだ....ならば....誰かがそこに.........
「............」
「...........い....?」
なんだ?
「.......だね...?....まだ......」
その時、目に光が入り込む。体にあった重圧は消え、そこにはを赤のラインの入ったコートを着ている眼の描かれたアミュレットをぶら下げた銀髪の男....それもエルフだった。
男は自分に話しかけてくる、自分は言葉を返そうとする。
「あ......え.......」
おかしい....声が出ない、掠れながらも僅かに発しただけで.....すごく痛い。
「まだ口は動くようだが.....混乱しているようだね? そこの子の仲間のようだ...」
男の言葉に自分は声を出す。
「あ.....あの...........その....子.....って....?」
自分の問いに男は息を大きく吸うと申し訳なさそうに言う。
「...おそらく仲間....なんだろ?」
男の目線にあったのはバラバラに刻まれたオーガとその胃袋からはみ出るリアの洋服とまろびでる内蔵であった。
「あ.....リア.......!?」
リアだったものに駆け寄ろうにも体がいうことを聞かない......男は自分の身体を抑える。
「君も重症だよ、とりあえずコレをあげるよ」
男はポーションを取り出す。自分はそれを飲み干すと身体がとても軽くなる。
「とりあえずここを出た方が良さそうだね、ほら、その子と一緒にね?」
そうして自分はその男の肩を借りながらリアだった物と共にダンジョンから出るのであった。
「いやあ....なかなか災難だったね? ここら辺でオーガなんて滅多に見ないからね」
男は不敵に笑う、何者かもわからないその男に対し自分は問う。
「あな....たの....名前は.....?」
「ああ、まだだったね」
男はゆっくり立ち上がると眼のアミュレットを見せつけるようにして静かに言う。
「私の名前はインヴァルス、人類最強と呼ばれる男だよ」
「人類...最強....? 初めて聞きました....」
困惑する自分に対してインヴァンスは顔を近づけると自身の左目を見せつける。その目は縦、そして斜めに銀色の線が入っていた。
「おや、私の名を知らないのか、まあ良いだろう。私は未来が見えるんだよ、10秒先までだけどね」
「初めて聞きました....その恩恵も....あなたの名前も...」
自分は困わkus&¥@-@:&!39
その時、アモスは目を開いた。日光の暖かさ、布団の温もり、外から聞こえる子供の声。
「.....夢か.....」
アモスはゆっくりと身体を起こすと、地に足をつける。
「3年前のことなのに...まだ覚えて...いるんだな....」
アモスはそう呟くと部屋の扉を開き、廊下へと出る。
「おはようございます!」
宿屋娘の声が耳に入るがそれはすぐに脳を通り抜ける。雑音にすらならない生活音、意識もそれを捉えることはない。
宿屋の玄関まで来ると、軽く深呼吸をするとアモスは扉を開く。また一日が始まる。




