第29話 冒険の意図
いつもそうだ、俺はルックスの中で一番弱い。
「ファルメルはどうして僕らの旅についてきたんだ?」
茶色の髪を揺らしラグナは俺に言う。俺は少し悩むと答えた。
「魔族を殺す旅、俺はそれに少しでも役に立ちたかったんすよ」
俺の答えに対し、ラグナは笑う、邪気のない整った顔がそこにある。
「そりゃあいいな! 僕たちのパーティでそう言う小細工できるやつあんま居なかったしなあ!」
違う、俺にはそれしかないんだ、この武器も、俺が弱いから工夫して———
「.......あ...」
ギルドの救護室でアドレットは目覚める。それをみたリルートが思わず抱きしめる。
「ようやく起きた! 心配したんですよ....!」
「すまないッス....あっさりやられちゃって....」
アドレットは照れくさそうに言うと荒くれ者は笑う。
「お前は起きると最初からわかってたぜ!! 毒針が刺さってて本当に死ぬかと思ったぜヒャッハー!!」
荒くれ者は滝のように涙を流しながら言う、まるで隠す気のない涙にアドレットは笑う。
「心配かけちゃったッスね、でもなんとかこの通り!」
アドレットはベットから飛び上がる。
「そういえばあいつについて話さないといけないッスね」
アドレットの声色は変わり、真剣な表情でアドレットは語る。
「あいつはマルクスの仲間の1人ッス、3年前の事件を皮切りに奴についていくものが増えていったッス、マルクスの下には5人の幹部を含めて数は30人ほど、彼らの目的はマルクスを守ること。村や街への被害はないものの軍部の騎士達は何度も送り出され、何人も犠牲になってるッス」
「.....5人の幹部ってもしかして.....」
「そうッス、さっきのフォルトナもその1人ッス、レルフェンス、フォルトナ、ベンクト、ヘヴァッジ、ハロルドは屈指の強さを持つッス、フォルトナの恩恵は[幸運]、あいつは神に愛されてるほどの運の強さを持ってるッス、奴に勝とうとしても、詰ませようとしても、いかなる準備をしてもアクシデントが狂わせるッス」
「そんなの....勝てるんですか?」
リルートの言葉にアドレットは答える。
「あいつの運は等価交換の様な仕組みなんすよ、幸運なことがあればその後に不運が、不運の後には幸運が、つまりその不運が隙ッス」
「それってわかるんですか?」
リルートの言葉にアドレットの表情は曇る。
「わかったら苦労しないんすがね、そもそもあいつ自体の身体能力も高い、どっちにしろ気をつけるッスよ」
一方その頃。
屋根の上を走るフォルトナであったが、次の瞬間に踏んだ瓦が外れ、地面に落下する。
「うお!?」
フォルトナはゴミ捨て場に落下すると全身がゴミまみれになる。
「あはは、本当に運が悪い....」
フォルトナはゆっくりと立ち上がると歩みを進めたその瞬間、猫の尻尾を踏み、顔面を引っかかれる。
「あ痛たたたた!」
フォルトナは顔の痛みを抑え、ふらつきながら大通りに出るがガラの悪い男に肩がぶつかる。
「おい! 前見て歩け!」
「いやあ、申し訳な——」
その直後、小石に躓くとそのまま橋から川へ落下するのであった。
「うあああああああ!!!」
「情報によるとマルクスは西方諸国にいるはずッス....本当に行くんすか? 西欧諸国は暗殺集団ダイスの根城があったり、4年前まで戦争もあったんですよ....?」
アドレットの言葉にリルートは微笑むと、感情にある迷いを捨て、言う。
「わからないです、だけど....行くべきだと思うんです」
「そいつらと....戦う気?」
アモスの言葉にリルートは答える。
「私は何か確信してるんだよ、わからないけど、それに意味があるって」
そうして2人はギルドを出ると、馬車へと乗るのであった。
「どうして.....戦おうと....?」
アモスの疑問にリルートは答える。
「そうだね、本当に、私が突っ込む様なことじゃないのかもしれないけどさ....」
わからない、だが私の鼓動が今までにないほど興奮してる、恐怖? 好奇心? どれも違う、ただ私は行かなければならない、そんな義務的なものだと私は感じたんだ。




