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第19話 仲間

 〜ハルル山脈峠道〜

 「お客さん、峠道に入りますよ」

 「はいよー」

 リルートは御者に対して力無く返事をする、一人での馬車は御者と会話するもののそれ以外にやることがない、道具の整理、武器の整理、食料を貪りながら時間を潰す。峠道は道の整備が行き届いていないのか、揺れが激しい。若干の不快感を感じながらもリルートは横になるとグラグラと揺れる馬車の中で目を瞑る。心地よい眠気、山は涼しく気候が良い、リルートはそのままゆっくりと眠りについた。



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 「お客さん、つきましたよ」

 「んあ....」

 御者の声でリルートは目を覚ますと身体を起こし、リュックを持つと馬車から降りる。

 「待ち場所はここだよね.....それで砦は....」

 リルートは地図を取り出すと現在地を確認する。

 「....どんな人が来るんだろう....来るのは5、6人くらいって聞いてたけど....」

 リルートが考えていると後ろから静かに声を掛けられる。

 「君も討伐に来たの?」

 振り向くとそこには左目に3本の引っ掻き傷のある青年がいた。女のような高い声と一纏めにされた髪、そしてひょっこりと生え出たアホ毛がゆらゆらと揺れていた。

 

 「君もってことは....」

 「そう、自分も討伐に来たんだけど....よろしく」

 リルートは握手をするために手を出すと喋る。

 「私はリルート、よろしくね!」

 リルートの手を取ることなく青年は口を開く。

 「僕の名前は“アモス”だよ、しばらくの間だけどね」

 二人がしばらく待っていると馬車から何人かが降りてくるのであった。

 「それじゃあみんな揃ったし! まずは自己紹介にしない?」

 茶短髪で童顔の少女が皆を仕切り、話し始める

 「じゃあアタシから! アタシの名前は“ミール”、好きな食べ物は〜.....りんご! 恩寵は[消音]なんだけど....アタシのキャラ的に地味なのよねー! 年齢は16歳、よろしまっとう!!」

 ミールはピースをしてポーズを決める、リルートは愛想笑いをしながら拍手をすると周りも静かにパチパチとする。ミールが座ると隣のアフロ頭の無精髭を生やした男が立ち上がる。

 「じゃあそこの子が空気を明るくしたんで行くとしようじゃないか! 俺の名前は“ダイン”、年は19歳だ! 好きなものは最強なやつだ!」

 ダインは親指を立てて自信満々に言うとミールが聞く。

 「最強ってなんなのかすっごい知りたいんだけどー!」

 「最強は最強だ! つまり俺だ!」

 ダインは鼻高々に答えるとリルートは困惑しながら答える。

 「なんかすごい人ですね! そういえば恩寵はなんなんですか?」

 「俺の恩寵は[魔法吸収]だ! 魔法攻撃ならある程度効かない! まあこんな恩寵がなくても俺は最強だからな!」

 ダインは大笑いしながら言っているとアモスが立ち上がる。

 「自分の名前はアモス、17歳....恩寵は[重化]」

 アモスの言葉に反応しダインは聞く。

 「もしかして身体を重くできるのか!?」

 アモスはダインの問いに対して静かに答える。

 「いや、重く出来るのは持っている剣だけだよ」

 そう言って腰に下げていた剣を引き抜くと、刀身の先がグニャグニャと歪んだ真っ黒の剣を出す。

 「なかなかごっつい剣だねー!」

 ミールはそう言ってペタペタと触っているとアモスは剣を鞘へとしまう。

 「おいおいミール! 人の剣を易々と触るんじゃねえ! 男の魂がこもってんだぜ!?」

 ダインは笑いながら言う、アモスは静かに何も喋らない。

 「じゃあ次は私だね」

 そう言ってリルートは立ち上がる。

 「私の名前はリルート! 15歳で恩寵は[武器再生]だよ!」

 「若いねえ、俺と違って活力が溢れてやがるよ...!」

 「ダインさんもだいぶですけどね!」

 リルートがツッコむとダインは笑う。

 「違いねえな!!」

 「それじゃあ最後に僕の番ですね」

 赤髪の青年ははゆっくりと立ち上がる。

 「僕は“イルン”、年は18歳、恩寵は[錯眼]です」

 「[錯眼]?初めて聞いたんだけどどういうやつなの?」

 イルンの右目の瞳孔は十字が刻まれていた、赤と青の混雑した眼を見せるとイルンは続ける。

 「遠くのものは小さく、近いものは大きく見えるでしょう? だから例えば目の前に小石を近づけたら大きくなるでしょう?」

 「まあそうだね」

 イルンの言葉にリルートは答えると続ける。

 「大きくなったように見えた小石を遠くに出すと、その時に見えた大きさのまま出すことができるんだ」

 「どういうことなのかわからせんぞ!!」

 ミールはイルンのアホ毛を掴む。

 「あはは....まあ見てもらった方が早いんだけど一日に一回しか使えないから無理なんですよね、それに距離は5mほどですけどね、それにイメージができないと大きさや距離にずれが生じちゃうんです」

 

 「すげえ....! わからんけど!」

 「ほえー、よくわからないけど、そんな恩寵あるんだんねん?」

  ミールはふざけながら答えるとばっと立ち上がり声を上げる。

 「そんじゃあそろそろ砦に向かおうか!!」

 ミールの言葉に皆が立ち上がる。

 「わかりました!」

 リルートは元気に答えるとミールはリルートの肩に手を回す。

 「いいじゃんいいじゃん! それじゃあ行こっか!」

 「まあ俺がいれば余裕だがな!」

 ダインは胸を張りながら言い、イルンは笑いながら答える。

 「頼もしいです、それじゃあいきましょうか」


 そうして5人は砦へと向かうのであった。

新たな仲間も増えて新しい仕事、ファンタジーですね、面白そうだと思ったらブックマークをして頂けると嬉しくなります。

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