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冒険少女の繰り返し  作者: 山田浩輔
冒険者の心得
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第16話 過去の異名

 「落ち着いたようっすね」

 アドレットはリルートからゆっくりと離れる。

 「アドレットさん....ごめんなさい....ありがとう....」

 リルートの言葉にアドレットは微笑む。

 「その言葉が聞けて嬉しいっすよ。ちょっと頼りない先輩かもしれないっすけど、でも苦しんでいる人を助けられたなら。それでいいんですよ」

 アドレットはそう言って立ち上がると洞窟の方を向く。

 「洞窟に行けるっすか? 無理そうならここで....」

 アドレットは言葉を止める、それは服を引っ張るリルートの手であった。

 「私も....行きます....! 諦めたくありません.....」

 アドレットはリルートの手を引く。

 「わかりました、じゃあ行くっすよ!」



 そうして二人は、洞窟へと向かうのであった。

 


 「罠は.....ないっすね」

 アドレットは隈なく罠を探しながら進む。

 「マジックキャスターがいるのに罠がないんですね」

 「そうっすね....何かおかしいっすね」

 アドレットは困惑しながら歩いていると奥から4匹のゴブリンが現れる。

 「行くっすよ!」

 アドレットはゴブリンにナイフを投げると突撃する。

 「アドレットさん! 壁が変です!」

 

 ホブゴブリンがいたところを指差し、アドレットが壁を見ると壁が変色しホブゴブリンの顔が見えた瞬間に散弾銃を撃ち込むと、閃光弾を地面へと投げる。

 閃光が辺りを照らした瞬間にアドレットはゴブリン達は薙ぎ払い、全滅させる。

 「よし、行くっすよ」

 「わかりました!」

 そうして二人は洞窟の奥へ進み、あのゴブリン達の死体を見つけるのであった。


 (やってきた.....あいつに勝つ方法は....あるの....?)

 「ゴブリン....みんな死んでる....」

 「ここにいるゴブリン、死んでからまだそこまで時間が経ってないっす....もしかしたらまだ犯人がいるっす....」

 二人は警戒する、突然の出来事でリルートは場所を覚えていない、少女が出てくるのを待っているとアドレットは口を開く。

 「ホブゴブリン....あいつは壁に同化してたっす、もしかしたら壁に——」

 その時、黒い槍が生成するのをリルートは目にすると同時に叫ぶ。

 「後ろです!!」

 アドレットはすぐさま後ろを振り返ると飛んでくる槍を剣で弾く。

 


 「あら? 気づかれてないと思ってたのに、勘が鋭いの?」

 壁から突然、あの時の少女が現れた。あの時の憎い笑顔、リルートは怒りを必死に抑えると聖剣を構える。

 「リリシア、10年ぶりっすね」

 アドレットはコートの下に手を入れるとリリシアは笑う。

 「懐かしいわねファルメル、今はアドレットという名前、だったかしら? あなたには10年前——」

 リリシアが話そうとするがアドレットは腰に装着されたクロスボウを発射する。だがボルトは槍に防がれ、リリシアは微笑む。

 「随分と安く見られたものね? まあいいわ、死んで?」

 槍が大量に生成されると一斉に二人の方向へ向く。

 「あれは黒槍っす....耐久力は低いっすけど....殺傷力が高いから、絶対避けるっすよ」

 「わかりました....気をつけます....!」

 アドレットは足先に粘液を出すと滑るようにして素早く走る。リリシアと一瞬にして距離を取り、剣撃を浴びせようと大きく振りかぶる。

 「速いのね?」

 リリシアは素手でその剣撃を止めようと手を出した直後にアドレットの靴先から毒針が飛び出ると同時にポケットから火炎壺が落ちる。

 「あらあら、随分と巧妙ね」

 リリシアはアドレットの剣撃を蛇のように避けると数本の毒針を全て指で掴み、同時に火炎壺をふわりと掴むと後ろへ投げる。

 アドレットはすぐさま剣の刀身を外すとそこから第二の刃が柄から飛び出し、2連目を与えると同時に閃光弾を投げる。


 「眩しい、だけど殺傷力はないわね」

 リリシアは外された刃で第二の刃を弾き返すと黒槍をアドレットに向けて一斉に放つ。

 アドレットはすぐさま体勢を変え、後ろに飛び、受け身を取るとすぐさま剣を捨て、もう一本の剣を取り出す。

 「行くっすよ!!」

 「了解です!」

 リルートの間合いがリリシアに届くころにはアドレットは距離を詰め、二人は同時に左右から攻撃を行う。

 「ファルメルは速いけど、あなたはダメね」

 リリシアの周りに黒槍が大量に生成されるとリルートの聖剣にぶつかり、二つとも粉々に砕ける、一方アドレットは黒槍を躱しながらもリリシアの腕を切り落とす。

 「アドレットさん! 私は気にせずにどうぞ!」

 「わかったっす!」

 リルートは折れた聖剣で攻撃を続け、アドレットはナイフを投げると同時に煙玉を投げ込むとリリシアの首を狙って一撃を与える。

 「危ないわね」

 アドレットの一撃を軽々と躱し、リリシアはナイフを掴むとリルートに向かって投げる。

 「リルートさん!」

 アドレットはナイフを蹴り飛ばすとそのままの勢いでリリシアの顔に蹴りを入れる。

 「捕まえた」

 リリシアは蹴りを喰らいながらもアドレットの足を掴むと上へと投げる。

 「それじゃあね」

 アドレットの落下先に上向きに大量の槍が生成される。アドレットが死を覚悟したその時、リルートは叫ぶ。

 「私のことは気にせずにお願いします!!」

 「.....わかったっす....!」

 アドレットはコートを開くと大量の爆弾が落下し、その瞬間に爆破する。

 「....ッ!」

 リルートは爆風に巻き込まれて吹っ飛ぶ。土煙が舞い上がる中でリリシアは笑う。

 「そう来なくっちゃね? 爆滅のファルメル」

 「その名前はもう無いんすよ、今の名は”アドレット“ただそれだけっす」

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