第?話 復刻する序章
「私には.....そんな力ない.....私の恩恵が凄かったとしても....私はそんなの強くない.....」
リルートはそう言った。誰も知らない、だが今言っても状況が変わるわけでもない、どうすればいいかなんてわからない。急にみんな死ぬなんて、誰が予想できただろうか。
「.....後悔することもたくさんあった、それは俺もお前も同じだ、だからこそ、今やるんだ......」
「それでも...もうだめだよ....こんな悲しい思いをし続けるなんて....」
リルートは涙をポロポロと流しながら、静かに答える。今までたくさんの仲間を失い、本来味方であった人達とも戦い続けた。それを無意味に繰り返すことが、少女には耐えることなどできず、弱音を吐く。
「そうかもしれない、だけどお前にしかできない、俺がお前を信じているからだ」
信じる.......?
彼は私を信じると言った。ただ純粋に、真っ直ぐな眼を向けて、痛いほど優しいその声は、私を星の光のように静かに照らす。
その時、クルトの首が足元に落ちた。
「..あ.........あぁ....ッ」
声にもならない声でリルートは息を出すことすらうまくできず、マルクスはその時、リルートに崩剣を当てた。
「.....覚悟を決める時間もなくてすまない、自分勝手なのも承知している。俺を恨んでくれ......」
その言葉と同時に、リルートの意識は闇の底へと、ゆっくりと落ちた。
今までとは違うほどに、不思議な感覚だった。夢の中にいるような、闇の中で初めて.....意識があった気がした。
どうしてなのかな.....
目の前に見えるのは、アモスだ。今更なぜ.....いや———
「———もう死んだんだ、私の記憶のアモスなんだよね....?」
私はアモスの記憶、亡霊に向かって話した。アモスは何も答えない。それを見て、リルートは涙目になりながら、無理やり笑顔を作って、絶望しながら笑う。
「あは.....は.....やっぱりそうだよね......いつもそうだよね........ずっと....ずっと孤独なんだね.....私って......」
「誰にも言えないし.....苦しくても誰にも頼れないし........私って......なんのために生まれたんだろう....こんな辛い思いばっかりなんて......」
その時、アモスは今まで一回も見たことのない、微笑みだった。
「.....大丈夫だよ.....リルート、君はずっと.....頑張ってたと思うよ」
「私が言うのもどうかと思うけど頑張ったつもりだよ.....! 頑張った......つもりなんだけどな....」
リルートはさらに下を向く。
何もない、世界はきっと消える。何度も苦しむ。繰り返し続けるんだ。
「リルート、君は.....未来を守るために生まれたんだよ、みんなの幸せを守るために」
「......でも結局変えられなかった.....今度もそう.....記憶が消えて全部やり直しちゃうんだよ!!」
流れる激情、痛み、心の底全てを吐き出してもまだ沸き続けるそれをどうすればいい?
「奇跡だってきっと起こるはずだよ、だって、これは決められた運命でもない、紛れもない現実だから」
「奇跡なんて.....そう簡単に起きないんだよ.......もう何をしても.......」
「....確かにそうだね......でもさ、言ったでしょ? 現実である以上0なんてありえない、可能性が0に近くても、それは0じゃない、都合のいい奇跡だってきっと引き出せる」
アモスはそう言ってリルートを抱きしめる。
「だって......自分にとって君はお調子者で鈍感で、でもいざという時は頼りになって....みんなの為にずっと頑張ってた、だから自分は.....君を信じてる」
「やればできる、信じる限り、可能性の芽はそこにあるんだよ、だから———
.......みんなをSAVEするんだよ。