第10話 ゴブリンクエスト
「ヒャッハー!! 今から教育をしていくぜえ!! まずはダンジョンや洞窟に行くのに必要なのはなんだあ!?」
荒くれ者の問いにリルートは挙手をして答える。
「はい先生!! 回復薬と食料、あと灯りになるものと予備の武器です!」
「よし正解だ! 寝袋も忘れるな!! 次だ、てめえは今までに見たこともねえ化け物を見つけやがった! どうするか言ってみろお!!」
「まずは隠れて観察します! もしくは見つかる前に逃げます!!」
「ようし! 大分覚えてきたようだな!! ヒャッハー!!」
荒くれ者は椅子から立ち上がるとアドレットを指差す。
「最初はあいつと同行してもらう! 研修も兼ねてなあ!!」
「イエッサー!!」
リルートは元気よく返事するとアドレットは苦笑いをしながらこちらを見る。
「あはは....やっぱりコレだけは変わらないっすよね.....」
アドレットは掲示板の方向へ向かうと依頼書を一つ持ってくる。
「それじゃあ....これにするっす、ゴブリンの巣潰しっす」
アドレットの言葉に荒くれ者の顔がギョッとなる。
「おいおい! そんなところにこいつを連れて行ったら危険だぜぇ! ヒャッハー!!」
荒くれ者の言葉にリルートは困惑する。
「ゴブリンって緑色の魔物ですよね? 今まで村に来たのをみたことはありますけど....村の大人達で撃退できてましたよ?」
「あー、まあその認識で間違ってはないんすけど....まあそれくらいが丁度いいっすかね、まあ大丈夫っすよ」
アドレットの優しいその声とは裏腹に荒くれ者は心配しながらも元の表情へと戻る。
「それで何かあったら遅いだろ!! ちゃんと守ってやるんだぞヒャッハー!!」
「というわけっす、とりあえず行くっす」
アドレットは受付嬢に依頼書を渡すと、二人はギルドを出るのであった。
「ゴブリンの巣ですか? ゴブリンって転々としながら生きているイメージがあるんですけど....」
リルートの問いにアドレットは答える。
「いや、村を襲ったり道中で出るのは住処を追い出されたり食糧の尽きたのが主で、実際は洞窟に暮らしているんすよ、まあ他にもゴブリンキングとかホブとか、色々種類はいるんすけどそこはまあ大丈夫っす」
「洞窟ですか? まあ冒険者といえばダンジョンとか洞窟の探索ってイメージですね」
リルートは額に指を当てて考えているポーズをしながら歩いているとアドレットは真剣な表情で言う。
「洞窟のゴブリンは厄介なんすよ、外はもちろん、ダンジョンなんかよりもずっとね、まあ実際に会えばわかるっすよ」
そうして二人は厩舎へと向かい、馬車へ乗るのであった。
アドレットは地図を取り出すと印をつける。
「ここから馬車で2時間っす、まあそれまではゆっくり出来るのでしっかり休むっすよ」
そういってアドレットは足を崩すと本を読み始める。リルートもしばらくの間外を眺めていたが、ふとアドレットに話しかける。
「そういれば、アドレットさんはかなりのベテランじゃないですか、ずっと冒険者をやってたんですか?」
何気ない質問にアドレットは答える。
「俺はあそこで冒険者をする前は放浪の旅をしてたっす、俺含めた4人で各地を転々としてたんすが....まあ色々あってあのギルドに所属したんすよ」
「その3人というのは..」
「別に大した話じゃないっすよ、そこまで面白い話でもないっすしね、リルートさんの話も気になるっす、どうして冒険者ギルド、それもウチに所属しようってなったんすか?」
アドレットの問いにリルートはしばらく考えると答える。
「昔から冒険者というのに憧れていたんです、巨大な怪物を倒して、自由気ままに生きる、そういうのが私は好きだったんです。あそこのギルドに入ったきっかけは偶然です、だけど大手でちまちまと薬草採取をしていくよりも、こっちで冒険者らしいことをしたいなって....」
リルートの言葉を聞いてアドレットは笑う。
「いいっすね、そういう若い考えというか、なんでも出来るその自信! とても素晴らしいことだと思うっすよ」
アドレットの言葉に疑問を抱いたリルートは申し訳なさそうに口を開く。
「ちなみに今の年齢は....?」
「あ〜......若いとか言ったから年齢が気になったんすか? いいっすよ、26歳っす」
二人はそうやって笑いながら馬車の時間を過ごしリルートはしばらく仮眠をした。そして2時間が経過し、その洞窟へと辿り着くのであった。
SAVE
「リルートさん、着いたっすよ」
アドレットはリルートの身体を揺らし、リルートはゆっくりと目を覚ます。
「あれ....もう着いたんですか....」
「それじゃあ行くっすよ」
「それじゃ、ありがとうございましたっす」
アドレットは馬者に銀貨を2枚渡すと馬車を降りる。
「あれがゴブリンの巣....」
数百m先に見える小さな暗穴を見ているとアドレットは人差し指を立てる。
「一応おさらいっす、馬車で話した通り、ゴブリンは鼻がよく、夜目が効くしとても狡猾っす、罠なんかもあるんで気をつけるっすよ」
「わかりました、じゃあ早速いきましょうか!」
そうして二人はゆっくりと洞窟へと忍び込むのであった。
そろそろ初依頼が始まりますね。
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