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 俺はなんだか悲しくなる。雨のせいかもしれないし、背を焼くような借金のせいかもしれない。頼れる家族がいないことも、進路が定まらないことなども、あるいはその一因なのかもしれない。


 窓の外でザアザアと雨が降って、屋根にぽつりぽつりと当たった雫が、窓をゆらりゆらりと下っていく。全部、下っていく。

 アスファルトはきらりと艶めいて、下り坂に流れていく。路肩に出来た穴ボコが水たまりになって、不満のままに揺れている。

 部屋の中で俺は、堪らなくなって涙を流す。胸はどくどくと音を立てて、頬を雫が濡らして、行くあてのない気持ちを胸の中に溜めている。


 俺の隣で恋人は汗ばんだままに眠っている。時折寝返りを打っては、アーとかウーとか寝言を漏らして、静かに寝息を立てている。

 俺はなんだか憎らしい気持ちになって、恋人の頬を睨みつけ、伸びた爪で撫でてやる。ムカムカはおさまらないが、それでもいいやという気分になる。

 俺は再び壁を見て、外の雨音に聞き入って、やはりどうにもならないこの気持ちは、心のうちで大きくなっていくばかりである。


 いつかの日を空想してみる。胸がにわかに凪いでいく。しかし再び目を閉じれば、現実のあれこれが激しく責め立てる。

 どうして俺はこうも上手くできなんだ。どうして、俺はしねなんだ。

 心臓がギュッと痛み、数日前に作った打撲が、ジンジンと騒ぎ出す。

 現実は、過去よりもよっぽど愚かだ。

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