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愛寂
「愛していた」と胸を張って言うことはできない。
君の顔も身体も「美しい」と、心の底から思ったことは数え切れるほどしか無かったかもしれない。
それでも、君を、君の顔を、身体を、声を、言葉を、今でも愛し、待ち続けている。
たった二ヶ月の日々に、数多くの思い出を紡んで、例えば深夜の学校や、ビジネスホテルで見た夜空の灯火を、たとえそれが一瞬であったとしても、酩酊の果てに思い浮かべる細やかな情景の一幕として、今でも鮮明に覚えている。
意識の混濁とした暗海のどん底で、本能だけが高位に立って、つまりは心の奥底から、再び出会いたいと願うその一瞬は、いまでも君のもので、君の声で、君の瞳で。
生苦と死苦の葛藤に心臓を早めても、私は君だけを一心に思っている。