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風になりたい
落ちた花弁を墓標にして
私は風になりたい
生きた証は雨風に攫われて
小さな鳥や猫に啄まれ
残った自我は揺蕩うことを知らず
吹き続ける風の一部となって
陽に照らされ
海に溶け入り
名もない町の木々と同化して
雄大なる自然の恵みを
いつか君のもとへ
もはや思い出にも居ぬあなたのもとへ
寄り添う風に
果てしない自然になって
誰とも知らぬあなたのために
真っ赤な花弁をなぞる
風になりたい
ただ真っ直ぐに
ただ思いのままに
ただあるべき姿になって
それでも君のもとへ
必ず届く思いの印を
花の匂いを乗せて
流離い行き去る
風になりたい