008.クエスト
翌日、俺は心もとないGLを持ち魔法店へと向かっていた。
魔法店とはその名の通り魔法の類いを扱っている店だ。魔法展開書や魔導具、魔法関連の本等が売っている店だ。ここなら魔法を使う手掛かりがあるだろうと思い向かっている。因みにこの知識は宿の看板娘のメリッサさんに聞いたものだ。昨日の夜に魔法について知りたいと相談したところ、ここをお勧めされた。何でも冒険者の中でもよく利用されているらしい。
うっし。着いたな。一応職業を冒険者にしておいて……よし。じゃあ入ろうか。
店の外見は二階建てで少しボロい。しかしそのボロさが良い味を出している。なんと言うか、昔ながらの名店、みたいな。ドアの付近には植木に植物が植えられている。多分これ、この間採取したラッカー草系統のものだな。
中に入る。先ず目につくのは無数の棚だ。その棚一つ一つに紙を筒状に丸めたものが入っている。恐らくこれが魔法展開書だろう。ついで目につくのは重厚な道具たち。多分これが魔導具だ。
朝早いからか中は閑散としているが、魔法展開書の棚を熱心に見ている俺と同い年ほどの少女が一人いる。その少女は黒い髪に黒い目。顔立ちも日本人風だ。まさか俺と同じ……?
「……な訳ない、か」
まあ、一概にそうとも言えないが。これで違ったときがめちゃくちゃ恥ずかしいし、あのウインドウも何も言ってなかったしな。
さてさて~、俺が見たいのは魔法関連の本だ。ええっと、何処に~……おっ、あったあった。お値段は~……げっ。一冊7000GL。俺の所持金が6000GLだから全然足りなねぇや。
悔しいが、出直しだな。試練でも達成して金集めかなぁ。
俺は店のドアを開ける。ふと、少女の事が気になり少女の方を一瞥する。……あれ?今、こっち見てた?いや、気のせいか?
* * *
魔法店を出た俺は冒険者ギルドへとやって来ていた。魔法店を出た後とはいえまだ早朝だ。やはり人の姿は少ない。
俺は依頼ボードの前に立つ。
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依頼ボード
・ゴブリンを五体討伐
・ワイドウルフを三体討伐
・スライムを六体討伐
・スライムの森にある洞穴の調査
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ふ、む。採取系統の依頼はなし、か。
……あれ? この隣のボード、昨日あったっけ?
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パーティー募集。
【条件】
年齢:16~18
性別:問わない
人数:上限4人
メンバー
・マリン
・サチ
・サリー
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ふーむ。パーティーかぁ。年も俺とドンピシャだし、性別も問わないときた。だが、俺は恐らくパーティーを組むと足枷になると思う。いや、パーティーのメンバーが弱いとかじゃなくて、報酬の分別とか、EXPとかだ。それに、メンバーの全員は名前的に女性だろう。怖いのが女性トラブルだ。無理やりヤられたとか言われたら堪ったもんじゃない。
これは、ないかなー。
「あんた、これ受けんの?」
ない。と考えていた時、後ろから声を掛けられる。誰だと思い振り向くとそこには二人の女性がいた。
「……少し、考えていたところです。あなたは?」
「そこの募集紙を出したマリンよ」
「同じくサリーです」
なんと。この二人はこの募集紙を出した本人たちだった。マリンは赤く長い髪に俺と同じような剣を腰に携えている女性だ。なんと言うか、身体が凄く大人びている。年は多分俺より年上。サリーは青く短い髪にローブを纏っていて、頭には大きな魔女帽子を被っている。多分魔法使いだ。
「何で迷っているのよ? 戦いにおいて、数っていうのは大事なことよ。貴方ソロでしょ?」
「んー。そうなんですけど、ねぇ」
まあ、本人たちの前で女性トラブルがあったら嫌、なんて言えないよな。
「マリン、察してあげましょう」
「察っす? 何を?」
「女だけのパーティーに男が一人で入るのはかなりのリスクがあります。無理やり犯されたとでっち上げられることもあると聞きますし。そうでしょう?」
「えーっと、まあ、そんなところです」
自覚してたのか。なら幾らか信用出来るのか?
「はぁ!? そんなことしないわよ!」
「世間一般で見ればこういうこともあるんです。もっと冒険者を知るべきですね」
サリーさんは多分、マリンさんのストッパーなんだろう。マリンさんだけだとなんか危ない気がする。
「……ただ、私たちも男手が欲しいのも事実です」
「そうね。女だけだと舐められそうだし」
あー……まあ、確かに俺が依頼を出して、やって来たのが女+男一人と女だけで組まれたパーティーでは圧倒的に前者の方が安心は出来るだろう。
「ええ。ですので、今回合同で依頼を受けてパーティーに入るかを判断するというのはどうでしょうか?」
「んー。まあ、それなら……」
あり、なのか? 俺だって別にパーティーを組みたくない訳ではない。戦闘だって格段に楽になるだろうし、何より楽しそうだ。しかし、女性だけってのがネックなんだよな。看板娘のメリッサでもそうだったが女性との接し方が。正真正銘の高校生の時は大丈夫だったんだがなぁ。
そんな事を考えている時であった。
「……、」
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クエスト発生!
クエスト名:パーティーの良さ
達成条件:仮パーティーを組んで彼女たちと苦難を乗り越える。
達成報酬:10000GL、良質な鉄の剣、職業の書
期限:一週間以内
●受ける 受けない
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……クエスト? 初めて聞くな。それに、なんだこの大盤振る舞いな報酬は。しかも達成条件もフワフワだ。なんだ、苦難を乗り越えるって。怪しい。圧倒的に怪しすぎる。ってか、仮パーティーってなんだ?
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仮パーティーっていうのはその名前の通り仮初のパーティーだよ! 長く組むパーティーじゃなくて、その依頼限りのパーティーの事を言うんだ。
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ほほーん、なるほど。
……まあ、怪しいが、受けない手はないわな。
「じゃあ、先ずは仮パーティーっていうのはどうですか?それで依頼を受けて良かったらちゃんとパーティーを組む、みたいな」
「願ってもないです。それでお願いします」
俺とサリーは握手をする。
……温かい。それに、柔らか…って、なに考えてんだ気持ち悪い。煩悩を捨てろ。前にいるのは同業者だ。
「依頼を受けるのは明日で大丈夫?」
「ええ、大丈夫です」
「じゃあ明日のお昼頃ギルドに来て。ご飯を食べながら依頼の説明をする」
「分かりました」
おお、明日女の子3人とご飯が決まりましたよ。嬉しいなぁ。なに着てこうか……って、アホか俺は。
らここまで読んで頂きありがとうございました。「ここおかしくない?」という指摘や「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたらコメントしてくれると幸いです。




