003.チュートリアル2
部屋のドアノブを回し部屋の外に出る。
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チュートリアル2が始まったよ! 階段を下りて宿の看板娘のメリッサに声を掛けよう!
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……いやー、ハードル高いっすよ。こちとらずっと引きこもってたゲーマーよ? 女の子に声かけるとか……。
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大丈夫! 君みたいな根暗童貞クソ陰キャでも看板娘は分け隔てなく接してくれるよ!
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言い過ぎだろ泣くぞゴラ。
俺はウィンドウに従い階段を下りる。
「あ、おはようございますサクマさん!」
階段を下りた俺を快く迎えてくれたのは小柄で白いエプロンをつけた茶髪のポニーテールの女性だ。
「あ、ああ。おはよう……ん、」
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今君は「昨日宿に入った新規冒険者のお客さん」だ。嫌われないようにお気をつけて。
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やかましいぞウィンドウ。
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看板娘に話しかけられたね。根暗陰キャが良くできました! 次は朝食を頼もう!
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ちょくちょく癇に触るなこの野郎。
「えっと、朝食を貰えるかな?」
「はい! Aセットにしますか?Bセットにしますか? Aセットはパンと軽いスープで、Bセットはスープオンリーとなります!」
「じゃあAセットで」
「かしこまりましたー! 席に掛けてお待ちを!」
そう言ってメリッサは厨房に駆けていった。俺はその後ろ姿を見ながら席に座る。
「(にしても、結構リアルなんだな…)」
俺はこの世界はゲームだと現状思っている。メニュー画面といいあのウィンドウといい、だ。しかしメリッサを見ていると現実だと錯覚させてくるのだ。あの表情、あの仕草。どれを取っても普通の人間だ。やっぱり、ここは異世界……?
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軽く時間が出来たね!この機に、この世界での目標を発表するよ!
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唐突にウィンドウが開いた。なんなんだ一体藪から棒に。
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結論から言っちゃえば君にして欲しいことは三つ。一つはこのゲームをクリアすること。これはサブ要素も含めてだね。サブ要素っていうのはメニューにあった「図鑑」や「試練」も含めたもののことだね。
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いや試練って軽く三桁あった気がするのだが?それを全てはキツくないか?
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頑張ってね!
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おい。
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二つ目はバグ等の不具合の報告だよ! このゲームはまだクリアされた訳じゃないからどこかで詰むかもしれないけどそれらも報告してね! 報告はメニュー画面のメールから送ってね!
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クリアされた訳じゃない?それにバグ等の不具合の報告……。テストプレイとデバッグを同時にやれってことか?
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三つ目は二つ目に似てるけど、個人的に気になる部分があったらメールで報告してね!例えば「メニュー画面の使い勝手が悪い」や「武器の効果がインフレしている」とかだね!こちらが認めればアップデートされるかも!
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まあ、納得したかどうかはともかく目的は分かった。納得したかともかく。
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それから君のいる場所なんだけどね、人括りに異世界とは言えないんだ。
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ん?ここって異世界じゃないのか?
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うん。さっき君が呟いたことなんだけどさ、
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いや呟いてないけどね? 心で思っただけだけどね? ってか勝手に心読まないでくれますかね今更だけど。
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「メリッサを見ていると現実だと錯覚させてくるのだ。あの表情、あの仕草。どれを取っても普通の人間だ」中々嬉しいことを言ってくれるじゃないか。そういう風にプログラムしたからね!
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プログラム? ってことはやっぱりここはゲームの中なのか? でも流石にこの画質でゲームは無理が……。
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君の世界の時間軸で話さないでくれないかい?生憎、僕の時間軸は君の数百年後にあるんだ。そしてそこはでは、君の世界で言う「フルダイブ型MMORPG」が完成されているんだ。
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へぇ。フルダイブ型ねぇ。話の脈絡的にここはその世界だと?
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うん、そういうことだよ。まあ、君はもう死んでるからダイブしてるかっていうと微妙なところだけどね。まあ、君は時間軸が違うからここを異世界と言っても過言じゃないかもね。
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あー、だから人括りにって言ったのな。
「お待たせしました! Aセットです!」
「あ、ありがとう」
頼んだ朝食が届いた。
玉ねぎ、コーン、ニンジンが入ったコンソメ味のスープ。それに二つのパンがついている。コンソメの匂いが漂ってきて食欲をそそられる。
「ではいざ……ん!」
旨い! 始めにくる塩味に野菜の食感。次の一口を早く口に入れたいと思えるような味だ! パンもまたいい! 柔らか過ぎず固過ぎず! そしてパンをスープに浸けるとまた旨い!
「ふぅー。……満足」
いやー満足だ。長い間ちゃんとした料理を食ってなかったからか余計に旨く感じる。
「ご満足いただけましたか?」
「ああ。凄く美味しかったよ!」
「では、Aセット一つで500GLとなります!」
……500GL? 金? いや、当たり前か。飯食ったんだもんな。食ったら払わなきゃな。……えっと、ウィンドウ? 持ち物ってどうやって取るんだ?
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………。
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ウィンドウ出してまで黙りコクらないでもらえますかね!?
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冗談です。メニュー画面を介さなくても念じればアイテムの出し入れが出来ます。
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ほっ、良かった。
「はい、500GL」
「丁度お預かりしました。次回もご利用お待ちしております!お皿もお下げしますね!」
んー、所持金2500GLか……。ちょっと不安だなぁ。早いところ稼ぐ術を見つけなければ…。
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朝食を頼めたね! 次は外に出てみよう!
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おっ、漸く外か。
俺は宿のドアノブに手を掛けた。
ここまで読んで頂きありがとうございました。「ここおかしくない?」という指摘や「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたらコメントしてくれると幸いです。




