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【コミック版配信中】妹の召使いから解放された私は公爵家の家庭教師になりまして  作者: 春乃紅葉@コミック版『妹の~』配信中
第三章 公爵家の家庭教師になりまして、平和な日常に笑顔が溢れてしまいます
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014 頼み事

 翌朝、エミルは今までにないほどご機嫌だった。

 お祭りのことを楽しみにしているのかと思って理由を尋ねると、意外な言葉が返ってきた。


「今日ね。騎士団の訓練所に遊びに行くんだ!」

「遊びではない。見学だ。コレット、君に頼みたいことがある」

「私にですか?」

「ああ。武器の手入れを頼みたい。食事が終わったらエミルと二人で訓練所の門前に来てくれ」

「はい」


 メルヒオール様が食事を終えて出ていくと、レンリはすぐに私の隣にやってきた。


「武器の手入れとは、どういう事ですか?」

「さぁ? どうしてかしらね?」

「昨日ね。メルヒオールさんの武器コレクション見せて貰ったんだ! 見て、ボクの剣! コレット先生とお揃いなんだ」

「お揃いとは?」


 エミルは腰に下げていた黒檀の剣を自信満々に見せると、レンリは笑顔で私に尋ねた。目が笑ってなくて怖いのですが。


「私も……頂いたの」

「私もじゃないですよ。怪我とかしないでくださいよ」

「しないわよ。ねぇ。レンリは私が剣を振り回していたら嫌?」

「そりゃあ振り回していたら嫌ですよ。僕、受けられませんし」

「そう……」


 一緒に出来ないから、いつも怒っているのかしら。

 エミルも私と同じ事を考えていた。

 

「じゃあ、レンリ先生の分も借りてこようよ」

「僕は良いですよ。向いてないの分かってますし、苦手なんですよ。痛いのが」

「痛いの苦手なの? だから回復魔法得意なの!?」

「どうですかね。――あ、今日の午後なのですが。フィリエル様が三人で本館に遊びに来ないかと仰っていました。昨日二人がいない時に誘いに来たのです。先日割ってしまったティーセットを新調したいそうで、屋敷に商人を呼ぶので一緒に選んで欲しいそうです」

「ハミルトンさんには……」

「許可してくださいました。ハミルトンさんはフィリエル様には弱いみたいで、僕やコレットと一緒だとフィリエル様が楽しそうにしているので、時間があるときは一緒に過ごして欲しいそうですよ」


 レンリは迷惑な話ですけど。と小声で漏らしていた。


 ◇◇


 訓練所の武器庫にはボロボロの剣が山積みにされていた。どれも綺麗に磨いてあって大切に使われていたことが分かるが、刃こぼれが酷い。


「この剣を訓練用に使いたいのだ。刃が折れないように保護と、鉄の剣のような重さが欲しい。今、経費削減が課題なのだ。出来るだろうか?」

「はい。やってみます。とても大切に使ってらっしゃるんですね。剣も喜んでいると思います」

「そうだな。俺は奥の施設で訓練を指揮してくる。終わったら、外で新米騎士を監督しているディオに伝えてから、そこまで来てくれ。出て真っ直ぐ進めば辿り着く」

「承知致しました」

「コレット先生。ボクも手伝うよ」

「エミル。頼んだぞ。では、後は任せた」


 メルヒオール様はエミルの頭をくしゃっと撫でると、武器庫を後にした。


 結構大量だけれど、その分やり甲斐があるし、頼って貰えて嬉しかった。

 それに何より、剣に囲まれてて幸せである。



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― 新着の感想 ―
[一言] ただの剣を名剣レベルにまで押し上げるコレットのお手入れ術が炸裂ですね!(笑)
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