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悪神の威を借る使徒  作者: 辻斬り権兵衛
1/12

魔王の脅威は

初めましての方は初めまして。

今回は、開いていただきありがとうございます

拙作では有りますが、読んでいただければ幸いです。

今話は少し先のお話で、実際の本編は次話からになります。

その日は、月も星も何処かに隠れてしまったかのような不気味な夜だった。

外は、該当の薄暗い明かりが点々とあるだけで、ほとんど真っ暗。

いくら夜目が聞くと言われているドワーフでさえ、今日は家で良い子におねんねしているであろうそんな夜更けに、王都の外れの寂れた酒場からは二人の男の話し声と微かな光が漏れ出していた。


「久しぶりだな」


「そうだな。長いこと王国を離れてたからな。」


「お前がいない間、いろいろあったんだぜ」


「この夜とかか?」


「それもあるな。なんでか分かんねえが()()()()()から星も月も姿を表さねえ。辛気臭くてやになっちゃうぜ」


「そうか。ちなみにおい、あの噂聞いたか?」


「なんだよあの噂って」


()|王《・が…死んだんだ。」

話を切り出した男は、最後にか細い声で捻り出すかのようにそう言った。


普段の酒場では、他者の声で確実に掻き消されて聞こえないだろうそんな声も二人だけの酒場では良く通る。


「ま!魔王が!?おい、それって」

その言葉を聞いていた男の反応は劇的だった。

尋ねるその声には、いろいろな感情がごちゃ混ぜとなっていたが、何よりも驚きがあった。


「確かな情報だ。先月の13日に聖皇国の皇都内を引き回された後、広場で首を落とされたんだ。」

そう語る男の顔には苦悶の表情が張りつき目は充血し焦点も定まっていない。


「噂で魔王が捕らえられたとは聞いていたが…でも、死ぬような玉か?聖皇国のでっち上げだろう?あの国と魔王勢は対立が激しいから、印象操作のために「()()()()()」…」


「俺は見たんだ。魔王の処刑を。」


「今まで姿が見えないと思っていたが聖皇国に居たのか。じゃあ、本当に、魔王は死んだのか?」

尋ねる声も震えがひどい。


二人の間にしばらく沈黙が流れ

飲み込まれそうな深夜の静寂に耐えきれなくなったのか男もポツリポツリと語り始める。

「俺は最初、あの魔王が捕らえられたって噂を聞いて、殆ど信じる気持ちなんてかけらもなかった。ちょうど、皇都で晒されるって事で面白半分で見に行ったんだ。」


「それで、晒されてたのは魔王だったのか?」


「ああ」

「っ!」

やっとのことで絞り出されたその答えに、たまらず息が漏れる。


「あれは確実に魔王だ!広場で引かれながら俺の前を通り過ぎた瞬間、俺は生きた心地がしなかった!目で見えてるものを理解するための思考回路も停止して、ただ純粋に逃げなきゃと思った!でも、体がまるで動かなかったし、感覚全てが失われたような、死を感じた!やっぱり、あれは魔王だった!あの恐怖は忘れもしないっ!」

ヒステリックな程に感情的に吐き出されたその言葉は夜の暗闇に溶けて行く。


「それで、魔王は自分の足で断頭台に歩いて行って、頭を落とされた。介錯を務めた聖騎士も、腰がひけてて落とすまでに何回も何回も斧を振るってた。」


「…」


「それで、首が、落ちたんだ。目の前に。俺の。めちゃくちゃ怖かった。魔王の首は酷い表情をしてた。しかも、それが、こっちを見てたんだ。しっかりと。身体から切り離されて、地に落ちた後も、しっかり俺ら見物人を見てたんだ。」


「落ち着いてくれ。実際に見たわけじゃないからなんとも言えないが、気にしすぎるな…とも言えないな。あの魔王の斬首なんて想像が出来ない。本当に死んだのか?」


「首は城壁外に晒されている。防腐処置もされてるだろう。気になれば見に行ってみろ。」


「…いや、やめておく。でも本当に信じられない。お前は、本当に魔王が死んだと思うのか?」



「…分からないよ。分からないんだよ。怖くてしょうがない。魔王の死後から夜も変わった」


「おい!確か処刑は先月の13日って、それってこの暗い夜が始まった日じゃ!」


「そうだよ!だから!でも、俺は見た!でも!…分からない。本当に魔王は死んだのか?お前は、お前はどう思う?本当に魔王は死んだと思うのか?」


半ばすがるような質問に、


「…()()()()


返す言葉は一言だけ。


「…()()()()()()()()()()()?」





魔王が台頭した時代では、彼の存在によって多くの影響があった。

人々は、魔王を恐れ、崇拝することもあれば嫌悪する者もいた。


魔王については様々な議論がなされたが、その中でも魔王の能力については議論が尽きなかった。


ある学者は、魔王は魔眼を持っていたと主張したが、その魔眼の力に関しては謎だと言った。

魔王を知る者達の中では、その能力を時魔導だと言いう者も有れば、状態異常の魔法、はたまた能力など無く実力が有るのみという声も上がった。


皆がそれぞれ異なる見解を持つ中、ただ一つ声を揃えて言うのが、「魔王は恐怖の象徴だ」と…

僕の印象的なお話に伊坂幸太郎さんのゴールデンスランバーが有ります。

子供の頃に見たのですが、最後の刑事さんと記者さんだったかの会話がすごく印象的で今でも初めてそれを見た時の衝撃や記憶を覚えています。


今回の話では、その部分をちょいと借用させていただきましたが、これをきっかけにゴールデンスランバー見たという方など出てきてくれたら嬉しい限りです。

ちょうどコロナの自粛中ですし、ちょうど良いのでは無いでしょうか?

おススメです。

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