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妖縁奇縁  作者: T&E
75/76

最終話 奇縁 その8

「おかえり真狐ちゃん、おかえり史くん♪」


「お二方とも、お帰りなさいませ♪」


「うむ、ただいま♪ それと・・・、二人には

随分あれこれしてもろうたのう・・・♪」


「改めてお礼を言いたい・・・、ありがとう♪」



二人そろって建物の入口へ戻ったところで、

海狸と玲香から暖かく迎え入れられる


真狐に倣い、少年も二人にお礼の言葉を伝えた



「・・・その様子だと、ばっちり上手くいったみたいだね?♪」


「ええ・・・、私にも分かりますわ♪」


「ん・・・、まあ、な・・・♪」



二人の言葉に照れ笑いを浮かべつつ、

抽象的な問いかけを肯定する真狐


このやり取りが何を意味しているかは

さすがの少年にも理解できた



「呪いも解けたみたいだし、

どうやら探し物は見つかったみたいだね♪

これでやっと肩の荷が下りたよ♪」


「お二人が結ばれてとても嬉しいです・・・♪

私も協力した甲斐がありましたわ♪」


「ああ・・・♪ お主たちにはとても世話になった、

わしと史陽がこうなれたのも二人の協力があってこそよ、

どれだけお礼を言っても言い足りんな♪」



真狐の言葉に同調し、少年も微笑みながら頷いて見せる


すると、海狸も笑みを浮かべながら

二人の言葉に対してこう返答した



「うふふ、そんなにかしこまってお礼を言わなくてもいいよ?♪

ボクも玲香ちゃんも、やりたくてやったことではあるんだから♪

それに、あくまでもボクたちがしたのはちょっとしたお手伝いだけだし♪」


「そうですね♪ 私もお二方の仲を深めたかったのは確かですので、

想いが叶って良かったですわ♪

とはいえ、私たちが手を貸さずともいずれはそうなったと思いますが♪」


「お主たち・・・、わしらのことをそこまで・・・」



徹底的に協力しながらも、したくてやったことだとして

お礼の言葉もそう必要はないと告げる二人


その気遣いに真狐が思わず涙ぐみかけたところで、

不意に海狸が少年へ歩み寄ってきた



「二人がばっちり結ばれたことだしぃ~・・・、

これでボクも、ようやく史くんに

本気でアタックできちゃうね♪」


「・・・へ?」



海狸の思わぬ言葉に少年と真狐が呆気にとられていると、

玲香も少年へ近づいてこう告げる



「では私も・・・、差し出がましいことだとは思いますが、

もう少しだけ、史陽様と仲を深めたいと思います♪」


「いや、差し出がましいってお主・・・、え・・・?」



続けざまに衝撃の発言をされ、

二人はそろって大口を開けつつ海狸と玲香の顔を見る


口に出さずとも疑問が浮かび上がっていたのか、

少年と真狐の表情を見た海狸はこんなことを言い出した



「真狐ちゃんはもう「真実の愛」を見つけちゃったみたいだから~、

史くん、今度はボクとも「真実の愛」を探してもらおうかな~?♪」


「あ、でもボクは心云々にそうこだわらないから、

体だけの関係でもばっちりだよ~?♪」


「私は・・・、やはり身体ではなく

心の繋がりが欲しいところではありますね・・・♪」


「とはいえ心は真狐様のものでしょうから・・・、

やはり体、ということになりましょうか・・・?❤」


「あ、じゃあそっちは真狐ちゃんとも分けないと

いけないだろうから~、半分を更に二人で、ってところかな?」


「いや、ちょっと待て、お主らさっきから

何の話をしておる・・・」


「だ~か~ら~、要するにあれだよ・・・、

史くんのこと、私たちにもちょっと分けてちょ~だいっ?♪」



可愛らしく微笑みながら、海狸がとんでもない発言をする


突拍子もない言葉に少年が言葉を失っていると、

玲香が身を屈めながら耳元でこう囁いてきた



「史陽様・・・❤ あなた様が真狐様と結ばれても、

私と海狸様の想いは変わりません・・・❤」


「ですから・・・、都合の良い関係、

でも構いませんので、私たちとも

ちょっとだけ結ばれてみませんか・・・?❤」


「のう玲香よ、この耳は飾りではないんじゃぞ・・・?

というかお主、そんなに積極的じゃったか?」


「まあ、聞こえておりましたか?♪

うふふ、失礼いたしました♪」


「そうですね、私も真狐様や海狸様を見習って、

少し自分の欲求へ忠実になろうと決めたのです♪」



強張った表情で声をかける真狐に対し、

涼し気な表情で返答する玲香


そこへ海狸も加わり、更に話はややこしくなっていく



「ね、いいでしょ~?♪ ここまでお手伝いしてあげたんだから~、

少しくらい私たちにも分けてよ~?♪」


「たわけ、分けるも何も史陽はわしの恋人じゃ、

前は大目に見ると言うたかもしれんが、

やはりお主たちには譲ったりせんぞ」


「そんなことをおっしゃらないでください♪

私たちも、真狐様に負けないくらい史陽様のことを

お慕いしているのですから・・・♪」


「ほほう、言うではないか・・・、

言うに事欠いてわしと同じ、そう申すか?」


「同じは言い過ぎかもしれないけど・・・、

でも私たちだって史くんが好きってことは

確かなんだからね~?」


「それは分かっておる、が、だからと言って・・・」



問答を続ける三人に対し、

完全に蚊帳の外となってしまった少年


かと思いきや、海狸が身を屈めたかと思うと、

少年に軽く胸を押し付けながらこう囁いてきた



「ね・え~・・・❤ 史くんはぁ・・・、

ボクたちのこときらい~?❤ そんなことないよね~?❤」


「ボクたちだって、史くんのこと大好きなんだよ~?❤

だ・か・ら~・・・、ちょっとだけ、

私たちのお願いも聞いて欲しいな~?❤」



妖艶な言葉を耳元へ投げかけられ、

少年の顔が赤く染まる


更に、真狐が口をはさむより早く

側にいた玲香も少年を抱きしめながら声をかけてきた



「史陽様❤ どうかほんの少しでいいので

私たちの想いも受け取ってくださいませんか・・・?❤」


「真狐様への想いは理解しているつもりですので・・・、

時々でいいのですから、私たちとも・・・❤」



両側からいやらしく囁かれ、

少年は顔を真っ赤にして狼狽える


そこへ見ていられないと言わんばかりに真狐が詰め寄ると、

二人から少年を引き離しつつ

その胸にしっかりと身体を抱きしめた



「いい加減にせぬかお主ら、

まったく、海狸はともかく玲香まで・・・、

やけに手助けしてくれると思ったらこういう魂胆があったのか」


「そりゃそうだよ~♪ 私が損得なしに

こんなことすると思う~?♪」


「私は・・・、最初はあまりそんなつもりもなかったのですが、

やはり想いは抑えきれないと思いまして・・・」


「むうう・・・、先ほどの感銘を

返してもらいたいところじゃ、ところなんじゃが・・・」



平然と受け答えをする二人に対し、

真狐は少し悩む表情を見せる


少年は、真狐の豊満な胸の谷間に

顔を埋める恰好となってしまい、

興奮を抑えることで精一杯となっていた


その状態が少し続いた後、

真狐が力なくため息を吐いたかと思うと

少年を抱擁から解放しつつこう問いかける



「はぁ・・・、のう史陽よ・・・、

理由はどうあれ、わしもお主も

この二人には随分世話になった・・・」


「じゃから・・・、こ奴らの話に・・・、

ほんの少しだけ、耳を傾けてやるとするか?」


「お主とわしの心の繋がりが固く結びついていることは、

此度の出来事でとてもよく分かった」


「それを断ち切れるものは、きっとこの世のどこにも存在せん」


「じゃから・・・、その繋がりに・・・、

少しだけ、二人を加えてやってもいいかもしれん、と、

わしは思うのじゃが・・・」


「なんだかんだと言って、

わしも二人のことを嫌いではないからな・・・」


「とはいえ、お主が気に病むと言うのであれば

もちろん無理は言わん、その時はお主の意思を尊重するよ」



葛藤した様子を見せながらも

渋々と言った様子で二人を受け入れるという提案をする真狐


その顔を見た少年は、一度海狸と玲香の顔を見て

少しだけ考える素振りを見せる


そして改めて真狐へ顔を向けると、

自分も、真狐に対する想いとは少し違うが、

二人のことは好きだと告げた



「だ、そうじゃ、それで・・・、

お主らはどうするのじゃ?」


「一番は紛れもないわしじゃが・・・、

二番手三番手くらいには置いてやっても構わぬぞ?」



嫌そうな顔をしつつも、それでいて

諦めたようにそう告げる真狐


その言葉を聞いた二人は、満面の笑みを見せたかと思うと・・


揃って駆け寄り、少年を間に挟み込むような形で

真狐のことを抱きしめた



「わ~いっ♪ 真狐ちゃん史くんありがと~♪

これからもよろしくね~♪」


「とても嬉しいです♪

お二人とも、よろしくお願いします♪」


「こ、これ、抱き着くでないわ・・・、

まったく・・・♪ 本当にとんでもない奴らじゃな♪」



嬉しそうに真狐へ抱き着く二人と、

満更でもない表情でそれを受け止める真狐


とにもかくにも、真狐と少年は結ばれたが、

この四人の少し奇妙な関係はまだまだ続くようだ


しかしその中で一人、

少年は新しい絆ができたことを喜べないでいた


というのも、好きや嫌いといった感情の問題ではなく、

単純にそれどころではないというだけである


何せ今の状況は、後ろから海狸と玲香に

柔らかな乳房を思い切り押し付けられているうえ、

二人の胸に押されて正面にいた真狐の谷間に目一杯顔が埋まっていた


おまけに全員が水着姿だったため、

柔らかく生暖かな肌と直接触れ合っている


三人分の胸と密着して興奮を抑えることができるはずもなく

少年の頭は茹で上がったようになり、

何も考えられなくなっていき、そして・・・



「そうは思わんか、史陽?♪ ・・・史陽?

先ほどからやけに静かじゃが・・・、あ、これは・・・」


「ありゃりゃ・・・、しまった、つい嬉しくて史くんごと

真狐ちゃん抱きしめちゃったから・・・」


「大変です・・・、早く止血しないと・・・」



三人が気付いて少年を解放したときには

手遅れとなっており、少年は大量の鼻血を流しながら

完全に意識を失っていた



「わしが抱きしめた時はまだ大丈夫じゃったろうに・・・、

すまんことをしてしもうたな」


「全員分のおっぱい、しかも水着だったから、

これは今までにないくらい刺激が強かっただろうね~、

多分すぐには目が覚めないかな」


「しかし・・・、これはまた随分と

幸せそうな顔をしているものじゃ・・・♪」


「まあ、今回は史くんも頑張ったから、

ある意味それに対するご褒美にはなったのかな?♪」


「それよりも、早く史陽様をお部屋に運びましょう、

このままでは体調を崩されますわ」


「おお、そうじゃな、よし、わしが運ぼうではないか」


「あ~、取られちゃった、まあいっか、

ここは真狐ちゃんに譲ろうっと」


「ふふ・・・、お主らの介入を一応は許すが、

一から十まで譲ったりはせんよ♪

さ、史陽よ行こうか♪」



少年を抱きかかえ、建物に向かって

ゆっくりと歩き出す真狐に、それへ続く海狸と玲香


結局少年の目が覚めたのは、夜が明けてからだった・・・


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