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妖縁奇縁  作者: T&E
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第一話 邂逅 その7

「うむ、もう充分に休めたから大丈夫じゃ♪

手間を掛けさせてすまなんだのう」


しばらくの間二人でじっとしていたが、

そのお陰で女性は体調が回復したらしく、

お礼を述べつつ少年から体を離し床の上に座り込んだ


少年は、どこか名残惜しそうな顔を見せつつも

軽く応答して床に座り女性と向き合った


「さて、どこまで話したであろうか・・・、

そう、わしが狐だと名乗ったところじゃったな」


「どうじゃろう? 明かりの下、近くでじっくりと見れたわけじゃが、

この耳と尻尾が本物であることを分かってくれたかや?」


自身の耳と尻尾を軽く撫でつつ、女性はそう問いかける


元々あまり疑ってはいなかったのか、

少年は軽く頷き、女性の言葉を信じると告げた


「おお、こんなに早く信じてもらえるのか、ありがたい♪

やはり主は、わしが見込んだ通りの男じゃ♪」


「それともう一つ、興味本位でわしの耳や尻尾を

触らなかったことについても礼を述べておこうか」


「何分、変化の勘が戻りきってないうえに元々敏感でのう、

軽率に触られると体に良くなかったのじゃ」


少年に微笑みかけながら、女性は優しい言葉でお礼を述べる


女性の言葉を全て理解出来たわけでなかったが、

お礼を言われたことだけは理解出来たので、

少年は頬を掻きながら照れ笑いを浮かべた


「それでは改めて話を・・・、そうじゃのう、

まずは自己紹介からしようではないか」


「わしの名は真狐・・・、妲山真狐じゃ」


「こんな見た目じゃが、先ほども言った通り狐じゃよ、

もっと詳しく言えば妖狐じゃが、まあお主に危害を加えるつもりは毛頭ない、

とにかくよろしくのう」


女性は真狐と名乗りながら頭を下げ、改めて少年に挨拶をする


少年もまた、慌てて頭を下げつつ自分の名前を真狐に伝えた


「ふむ、ぬしの名は栄稔 史陽というのか、良い名じゃ」


「しっかりと覚えたからの、史陽♪」


屈託のない笑顔を向けられながら名前を呼ばれ、

少年の鼓動がわずかに跳ね上がる


自分も相手のことを名前で呼ぶべきかと迷っていると、

再び真狐が口を開いた


「それでは史陽、何故わしが突然おぬしの家を訪ねたのか、

何故人の姿で狐を名乗っているのか、色々と疑問があるじゃろう?」


「それを大まかに説明するため、とりあえず昔話をしておきたいのじゃ」


「少しばかり長くなってしまうかもしれんが、聞いてくれるかや?」


真狐の表情が変わり、神妙なおもむきで少年に問いかける


その真剣な表情に少しだけ重苦しい雰囲気を感じた少年は、

緩みかけた頬を直すと、一つ頷き話を聞く体勢に入った


「聞いてくれるのじゃな、ありがとう・・・」


「昔々・・・、年数を数えてはおらぬのじゃが・・・、

恐らく200~300年も前の話かのう・・・、

わしは悪戯好きの妖怪狐じゃった」


「人の食べ物を取ってみたり、人を驚かせたりというつまらん悪戯から、

美女に化けて男を誑かすという少し危険な火遊びまでいろいろとやっていた」


それまで静かに話を聞いていた少年だったが、

話の中に聞きなれない単語が出て来たので、言葉の意味を真狐に尋ねてみる


「む? 誑かすという言葉が分からんか、そうじゃのう・・・、

まあ色々な意味があるのじゃが・・・、わしの場合は、

要するに色香で男を誘惑しておったのじゃよ」


「服を開けさせながら艶っぽい視線を向け、術をちょいと掛けるだけで、

男は簡単に支配することが出来た・・・、

ああ、お主にはそんなことをせんから怯えんでおくれよ?」


具体的にどう誘惑していたのか少し気になりかけていた少年だが、

真狐の言葉に慌てて相槌を打ちつつ、話の内容に集中し直した


「そんなことをいろいろとしている内に、誰かが呼んだのか、

どこかでわしの存在を嗅ぎつけたのかは分からぬが、

わしを退治しようと呪術師が現れた」


退治という言葉に動揺しつつも、少年は真剣な表情で話しを聞き続ける


「手ごわい相手ではあったが、そやつも男であった故に、

わしは色香を使い、術をかけて支配しようとした」


「しかし詰めを誤ってしまい、わしは敗れてしまったのじゃ」


「普通ならばそのままやられてしまう所なのじゃが、

色香が利いていたこともあったのか、やつはわしを哀れみ情けをかけてくれた」


「そしてわしは呪術によって妖力を封印され、あの山に縛られるだけに留まった、

お主が今日登ったあの山にのう」


「とまあ、まだ肝心な部分まで話が進んでおらんのじゃが、

話の内容は理解できたかえ?」


それまで真剣な表情で話しをしていた真狐が、

表情を和らげつつ少年に問いかける


少年は、率直に一番驚いたことを口にした


妖怪という空想や物語にしかいないはずの存在が実在し、

目の前にいるという事実について


「むむ? お主は妖怪を見たことがないのか・・・?」


真狐の問いかけを肯定しつつ、

少年はそもそも妖怪のことを信じている人間がほとんどいないことを告げる


「なんと・・・、妖怪を信じている者は今やほとんどおらんのか・・・、

いや、半ばそうではないかと思っておったのじゃ」


「わしは何百年とあの山に縛られておったが、そこから見える景色は年々変わり、

同時に妖怪の姿もどんどん減っていた」


「妖怪が気軽に人間と接していた時代は終わってしまったのではないかと、

何年も前から心のどこかでその懸念は芽生えておったのじゃ・・・」


目を伏せながら、真狐は少し悲し気な声で静かにそう呟く


どう声を掛けるべきか、とにかく慰めようと少年が口を開きかけた時、

真狐が顔を上げて口を開いた


「じゃが史陽、お主はすぐにわしのことを妖怪じゃと信じてくれたのう♪」


「実を言うと、わしのことをどう信じてもらおうかと

あれこれ悩んでおったのじゃが、

思うておったよりもずっと簡単に事が進んで助かったそい♪」


「おまけに、わしが人に害をなしたり、男を誑かすと聞いても

微塵も怖がらないのだから、ぬしはとても懐の深い男じゃのう♪」


自分を怖がらずに受け入れてくれた少年の態度がよほど嬉しかったのか、

真狐は耳を下げ、ゆっくりと尾を振りながら少年に笑顔を向ける


少年は頬を赤く染め、照れ笑いを浮かべながら

嬉しそうに真狐の言葉を否定した


「ふふふ、照れんでもよかろうに・・・♪」


「おっと、とりあえずそれ以外に気になった部分はないのじゃな、

では続きを、肝心な部分を話すとしよう」


「わしの封印を司っていたのは、

お主も見たはずじゃが、道中にある小さな社だったのじゃ」


「それが長い間に朽ちて行き、

いつの間にかわしの封印そのものは解かれておった」


「しかし、妖力については別な呪いが掛かっておる故、

微塵も戻っていなくてのう」


「妖力がなければわしはただの狐も同然、喋ることも出来ず、

何かに襲われればひとたまりもない」


「じゃから、出来る限り安全なあの山に留まり、

力を取り戻す機会を伺っておったのじゃが、

妖力どころか日々を生きるので精いっぱいじゃった」


「そんな時にお主が来てくれたのじゃ♪」


「そしてお主の行動によりわしの呪いは少しだけ解けて、

幾ばくかの妖力が体に戻った」


「お主にはいくら感謝してもしきれんくらいじゃよ、ありがとう♪」


満面の笑みを浮かべながらお礼を言われ、

少年は照れくさそうに笑うと共に

自分が何をしたのか少し考えてみる


昼間出会った狐に、つまり真狐にしたことと言えば、

姿形を観察し、いなり寿司を差し出したことしか思い浮かばない


少年は、何故少しだけ呪いが解けたのか真狐に尋ねてみた


「おお、そういえばわしの呪いについて言っておらんかったのう」


「率直に言えば、わしの妖力を封じておるこの呪いは、

わしが心から人を愛し、心から人に愛されることで・・・、

「真実の愛」を得ることで解けるそうなのじゃ」


「散々男を誑かし続けたわしに「真実の愛」など

見つけることが出来ぬと思うたのか、

はてまたそれを見つけた時、わしの罪は許されると思うたのかは分からぬが、

ともかくあの呪術師はわしにそう告げた」


「しかし山の中でいくら考えても、

何をしてもその「真実の愛」とやらについては一向に分からず、

わしの呪いは一切解けなんだ」


「そんな調子で百年も経ったであろうか、

その辺りからもう呪いを解くことなど諦め、

この山で一生野狐として生きようと決めておった」


感傷に浸りながら話しているのか、

どこか悲哀も込められてそうな笑みを浮かべつつ、顔を伏せる真狐


しかし、すぐに顔を上げると笑顔を浮かべながら真っすぐに少年を見つめた


「だが、そんなわしに希望を与えてくれたのがお主じゃ」


「山頂でお主と出会った時、わしは少し驚かせて食べ物を奪おうと考えておった」


「しかし、お主はわしを見ても驚かず、

おまけに自分から食べ物を恵んでくれたではないか、

それも大好物のいなり寿司を♪」


「ああ、あのいなり寿司は本当に美味じゃった・・・、

出来ることなら毎日でも食べていくらいに・・・♡」


よほど気に入ってしまったのか、真狐は頬に手を添え、

うっとりとした表情でいなり寿司の美味しさについて呟いている


少年が口を挟まずその様子をじっと眺めていると、

その視線に気が付いたのか、真狐はすぐに話を戻した


「・・・こほん、話が逸れてしもうたが、

ともかくお主はいなり寿司を恵んでくれた」


「そしてその時、わしの中に少しだけ、

今まで感じたことのない感情が芽生えたのじゃ」


「最初は気のせいだと思っておったのじゃが、

いなり寿司を平らげて少しの間休んでおったわしは、

いつの間にか人の姿に化けておった」


「そこでわしはようやく気付いたのじゃ、妖力が少しだけ戻ったことを、

それと・・・、わしの中に生まれた感情が

愛や恋といった類いのものだということを・・・♡」


「つまり・・・、少なからず、

わしはお主を好きになったということじゃ・・・♡」


頬を赤らめ顔を反らしつつも、熱っぽい視線を少年に向けながら、

真狐は気恥ずかしそうに好意を伝える


少年は、頬が熱くなり心臓の鼓動が跳ね上がるのを感じながら、

真狐の言葉を聞き間違えたのではないかと思い、

何と言ったか聞き返そうとした


しかし寸での所で思いとどまり、どう返答するべきか口籠りながら考える


そんな少年の様子を見ていた真狐が、嬉しそうに笑いながら声を掛けた


「ふふ・・・、その様子じゃと、お主もそう悪い気はせぬようじゃのう?

少し安心したぞ♪」


「何せ、人の形をしていてもわしは妖狐じゃからのう、

もしかしたら拒絶されるかもしれんとは思うておった」


着物を軽く握りしめながらそう呟く真狐、、

どうやらそれなりに勇気を振り絞った告白であったらしい


真狐に告白された瞬間、反射的に何かを聞き返さなかったことに

胸を撫で下ろしながら、少年は拒絶などしないことを真狐に告げた


「そうか・・・、史陽は優しいの・・・♪

・・・まあ、恐らく拒絶はされんと見当をつけておったから、

本当はそれほど心配していたわけではないがのう」


少年の言葉に安心したのか、真狐は余裕の笑みを浮かべ、

強がりともとれるような発言をしている


しかし少年はその言葉を純粋に受け取ったらしく、

何故自分に拒絶されないと思っていたのかという疑問を抱き、

その理由を尋ねてみた


「ふむ、それを説明する前に一つ二つほど

頼みたいことがあるんじゃが構わぬか?」


特に考えることなく、少年は真狐の問いかけに頷く


「かたじけない、まず頼みたいのは、

わしをお主の側に置いて欲しいということじゃ」


思いがけない要望に戸惑う少年だが、

真狐は気にせず言葉を続けた


「無論、出来るだけお主の迷惑になるようなことはせん、

自分の食い扶持は自分で用意出来るし、せいぜい寝床をもらえればそれでよい」


「ただ、可能な限りお主の側におりたいのじゃ」


「お主の側でお主に寄り添い、お主のことをもっと好きになりたい・・・♡」


「わしのことを・・・、受け入れてくれるかのう・・・?♡」


真狐の顔からはさきほどの余裕がいつの間にか消えており、

わずかに不安な表情を浮かべながら少年の顔を覗き込んでいる


少年は顔を赤く染めながら、

ほとんど深く考えずにその申し出を受けてしまった


「おお、受け入れてくれるのか、ありがたいのう♪」


少年が受け入れると答えた瞬間、真狐の表情が一気に明るくなり、

軽く飛び跳ね、巨大な胸を揺さぶりながら全身で喜びを現した


些細な動きでも激しく揺さぶられる巨だな胸に、

少年の目が釘付けになってしまう


「そうそう、もう一つの頼みごとも言わんとな」


少年の視線が胸に奪われ始めたころ、突然真狐が跳ねるのを止めて

再び少年に話しかける


少年は慌てて視線を戻し、真狐の顔を見つめながら話に耳を傾けた


「もう一つの頼みはな、あることを確かめてみたいんじゃよ」


「あることというのはわしの呪いが解ける条件についてじゃ」


「わしがお主に好意を持ったが故、少しだけ呪いは解けたのじゃが、

呪術師の言ったことを真に受ければ、

逆にお主がわしに好意を持った時にも呪いは解けるはず」


「未だ「真実の愛」についてはよう分からんが、

とにかく呪いが解ける可能性は探って行きたい」


真狐の言葉に、少年は再び軽くうなずく


「しかし、愛するということは少しだけ分かった気がしたのじゃが、

愛される方はよう分からんでな、

試しに手っ取り早い方法でわしに好意を抱かせてみようと思う」


手っ取り早い方法と聞き、少年は何をしようとしているのか真狐に尋ねる


「ふふふ・・・、何を・・・、とな・・・?♡」


少年の問いかけを聞いた真狐の顔に、段々と妖艶な笑みが浮かび上がる


挿絵(By みてみん)


「もちろん決まっておろう、この乳房を使って・・・、

お主をわしに惚れさせようとしているのじゃよ・・・♡」


その言葉と共に真狐は着物を肩まではだけさせ、

豊満な胸を大胆に露出させてしまった


「ほれ・・・♡ どうじゃ・・・?♡ わしの乳は大きかろう・・・?♡」


今ならさきほどのようにこっそり盗み見をする必要もない、

堂々と見てよいのじゃぞ・・・♡」


巨大な胸の上半分が露わになり、少年は思わず息をのむ


少年の目は、すぐ釘付けになってしまった


「思った通り、お主もやはり男よのう・・・♡

容易く夢中になってしもうとるではないか・・・♡」


「これがお主に拒絶されんと踏んでおった理由じゃよ、

先ほど体を預けた時、お主がわしに欲情しておったことはすぐに分かった」


「じゃから恐らく拒むまいと思ったのじゃ・・・、

例え妖怪相手であろうともな・・・、

ほれ、もっと良く見ておくれ・・・♡」


真狐は自身の胸を軽く持ち上げたかと思うと、

まるで少年に差し出すように少しだけ突き出した


持ち上げられていることでくっきりと分かる胸の形、

中央にはっきりと見える、胸の大きさを表す谷間


下着の類いを付けていないのか、

着物以外に少年の視線を遮るものはどこにもない


何よりもその胸の持ち主が積極的に見せていることもあり、

少年はより一層、食い入るように谷間を見つめ続けた


「随分気に入ったようじゃのう、

そのように顔を赤らめて息を荒げるとは、

なんとも初心な反応じゃのう・・・♡」


「ではこのようなことをされたらどうなるかや・・・?♡

ほれ・・・ほれ・・・♡」


真狐は自身の胸を横から持ち上げると、

緩やかに、しかし力強く両側から押し付ける


あたかも胸の谷間で何かを挟み込むような動きと、

力加減に合わせて分かりやすく形を変える柔らかさが

少年を更に興奮させてしまった


「ふふふ、こちらも気に入ってもらえたか・・・♡

ではどうじゃ・・・?♡ もっと近くに来て、間近で見てみぬか・・・?♡」


「顔を埋めてみてもよいぞ・・・?♡ なんならそのまま挟み込んでやろうか・・・?♡」


真狐の言葉で、少年は反射的に自分の顔が目の前の巨大な胸に挟まれ、

両側から何度も胸を押し付けられる姿を連想してしまう


興奮しすぎてしまったのか、少年の鼻から血が流れ始めた


「くっくっ・・・♡ 鼻血なんぞ出しおって・・・♡」


「わしの言葉でいやらしい想像でもしおったか?♡

お主もなかなか助平なやつじゃのう・・・♡」


「じゃが・・・、お主がここまで来れば

その想像は現実になってしまうぞ・・・♡」


「さ、来るがよい・・・♡」


真狐は両胸を支えていた手を放し、そのまま胸の側で小さく手招きをする


その動きに導かれるように、

少年は朦朧とした頭でふらふらと歩み寄っていく


「そう、良い子じゃ・・・♡ ほれ、もっと近う寄れ・・・♡」


そして少年は、言われるがままに真狐の側まで近づいた


「ふふふ・・・♡ すっかり虜になってしもうたか・・・♡」


「まあ無理もない、かつてわしは、

目を付けた男を一度たりとも逃したことはないからのう♡」


「さあ、わしに顔をよーく見せておくれ・・・♡」


妖艶な笑みを浮かべつつ、真狐は目の前まで来た少年の両頬に手を伸ばし、

真っすぐに自分の方へ向ける


少年はされるがままに顔を動かし、真狐と目を合わせた


「ふふふ・・・、思った通りの、だらしない・・・笑顔・・・」


少しの間見つめ合う二人だが、真狐に異変が訪れる


その顔に浮かんでいた妖しげな笑みは次第に消え、

悲しげな表情が浮かんできた


真狐の表情が変化すると共に、少年の意識も少しずつはっきりとしてくる


目の前にある悲し気な顔に気が付いた少年は、どうしたのか真狐に尋ねた


「違う・・・、こんな顔ではない・・・・・・」


しかし真狐は少年の問いには何も答えず、

意味の分からない言葉を呟くばかりである


「わしは・・・、そんなつもりでは・・・」


「なぜ・・・、かような痛みが・・・・・・」


再び理解出来ない言葉を発する真狐に少年が声を掛けようとしたその時、

突然真狐が少年の頬から手を放す


「変なことをしてすまぬ・・・、すぐに服を直すから少し待っておくれ・・・」


少年から手を離したと思えば、

真狐は目を伏せながらいそいそと着物を直し始める


余計に訳の分からなくなってしまった少年だが、

鼻から血が垂れ落ちていることに気が付き、

ひとまず机に置いてあったティッシュで栓を詰めることにした

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