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妖縁奇縁  作者: T&E
69/76

最終話 奇縁 その2

「「「ごちそうさまでした♪」」」



建物に戻った四人は、用意してあった弁当を食べ終え

一息ついていた



「や~、かなり美味しかったね~♪

こんなお弁当食べたの久しぶりだよ♪」


「ふぅむ・・・、持ち運びできるように作られてなお

これだけの質を保てるとは恐れ入ったわい♪」



やはりと言うべきか、出されたものは

かなり高級な品だったらしく、

それぞれ満足そうな顔を見せる真狐と海狸


少年も、充分堪能できたらしく

玲香に自然とお礼の言葉を告げていた



「まあ、ありがとうございます♪

皆さまがお気に召していたださったようで何よりですわ♪」


「うん、ほんと美味しかったよ♪

ところで、ご飯の後すぐに聞くのもなんだけど、

夕食は「あれ」をするんだよね?」


「ええ♪ 夕食までは時間がありますので、

頃合いを見て用意させていただきます♪」


「む、なんじゃ? 夕餉には大層なものを

用意してあると言うのか?」


「そゆこと♪ まあ楽しみに待っててちょうだい♪

それじゃ、みんなでたっぷり遊んだことだし、

夕食までは自由行動ってことにしようか?」


「そうですね、この建物内には色々ありますので

自由に過ごしてもらって構いませんが、

外出される際はあまり遠くへ行かれないように」


「ふむ・・・、では言われた通り

夕食は楽しみに待っておくとして・・・、

それまではどうするかの、史陽?」



自由に過ごしていいと言われ、

少年は建物内を探検しようと考える


しかし、それを真狐へ伝えようとしたその時、

大きなあくびが勝手に出てしまった



「おや・・・、ふふ♪ どうやら史陽は

少々眠くなってしもうたようじゃな?♪

今日はわしと一緒に昼寝をするか?♪」


「あらら・・・♪ ま、あれだけ遊んで

お腹いっぱいに食べたんじゃ

眠くなって当然だよね♪」


「それでは、夕食までひと眠りされても構いませんよ?♪

何か体にかけるものでも用意しましょうか?♪」


「そうだ♪ お昼寝するなら、いっそのこと真狐ちゃんが

膝枕でもしてあげればいいんじゃない?♪」


「それは・・・、無論わしはいいが

史陽が恥ずかしがるのではないかの・・・?

何分今はこの恰好じゃし・・・」



膝枕、という提案に頬を赤らめつつ

現在の姿を鑑みて海狸の提案に疑問を呈する真狐


少年も、水着の真狐に膝枕されることが

少し恥ずかしいと思ったらしく、

その提案をやんわり拒もうとする


しかし、口を開けた瞬間再びあくびが出てしまい、

あまりのんびりと会話をしていられないことに気が付いた


更に、眠くなったことを意識してしまったためか

段々と瞼も重くなり、それに伴い考える力もなくなっていく


とにかくひと眠りしたいと考え、

少年は素直に真狐たちの提案へ乗ることとした


少年が目をこすり、頷く動作を取りながら

昼寝したいことを告げると、

真狐が驚きながら照れたような笑顔を浮かべる



「え・・・、なんじゃ、膝枕で良いのか・・・?

いや、まあ、わしはさっき告げた通り構わんが

お主が恥ずかしくは・・・」


「もう、真狐ちゃんったら♪ 史くんが

膝枕して欲しいって言ってるんだから

素直にしてあげなよ♪」


「そうですわ、真狐様♪ 私たちのことは気にせず

どうぞお二人でゆっくりなさってください♪」


「むぅ・・・、ん・・・、で、では、

お言葉に甘えようかの・・・♪

よ、よし・・・、史陽、こっちへおいで・・・♪」



二人に背中を押されて一応は決心したのか、

真狐はどこかぎこちない動作で迎え入れるように

手を広げつつ少年の名前を呼ぶ


とはいえ、その頬は非常に緩んでおり、

嬉しさを感じていることは傍から見て丸分かりだった


少年は、静かな言葉で返事をすると、

膝立ちでゆっくりと歩み寄り、真狐の膝へ頭を乗せる


挿絵(By みてみん)


そのままほどなくして、静かな寝息を立て始めた



「寝ちゃったね・・・♪ 史くんったら

随分寝つきがいいじゃん♪」


「真狐様がお側におられるのです、

安心なさっておられるのでしょう♪」


「それにしても、水着の真狐ちゃんに

膝枕してもらおうだなんて今日だけで随分大胆になったね~♪

遊び始めたころはおっぱいが揺れる度に目を逸らしてたのに♪」


「少しは見慣れた、ということなのでしょうか?♪

とはいえ恐らくは単純に眠かっただけというのが正しいかと♪」


「こ、これ、二人とも・・・、

もうちっと声を落としておくれよ・・・?♪」


「おっとごめんね?♪ じゃ、私たちは

夕食の準備とかも兼ねて外に行ってるから、

真狐ちゃんも休んでていいよ?♪」


「良い時間になればこちらからお呼びしますので、

気にせず休憩なさっててくださいね♪」


「う、うむ・・・、ではお言葉に甘えるとするか・・・♪」



海狸と玲香の好意へ受け取ることにした真狐は、

静かに部屋を出ていく二人へ小さく手を振ると

改めて少年へ視線を向ける


少年は相変わらず静かな寝息を立てており、

真狐の膝へ頭を乗せたまま幸せそうに眠っていた



(良く眠っておるな・・・、

本当にとても安心しておるようじゃ・・・♪)


(二人の言う通り、わしの膝があるから

このように眠れておるのかのう・・・、

もしそうならば、とても嬉しいぞ・・・♪)


(こうしてお主に膝を貸すのはあの時以来じゃが・・・、

やはりあの時と変わらぬ純粋さを持ったままじゃのう)


(そして、あの時よりもずっと距離は縮まったはず・・・、

だというのに、なぜ呪いは最後まで解けておらんのじゃ)


(いや、その原因は分かっておる・・・、

史陽がこうして心を開いてくれている以上、

わしからの歩み寄りが足りないとしか言いようがない)


(一体何が足りないのか・・・、

やはり幾度となく考えてみても

答えなんぞそうやすやすと浮かばぬものじゃな・・・)


(じゃが、ひとまずは・・・、

この久方ぶりに訪れた二人きりの時間を

楽しむことにしようではないか・・・♪)


(それに、答えを見つける手掛かりに

なるやもしれんからのう・・・♪)



あれこれと考えていた真狐だが、

最終的には思考を放棄し、少年の頭を

優しく撫でながら慈しみの笑みを見せる


そして、習慣からか習性からか、

自分もそのまま寝入っていた・・・


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