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第九話 謳歌 その1
季節は夏真っ盛り、舞台はある町の道路を走る車の中
その中で、一人の少年と三人の女性が
旅路を賑やかに楽しんでいた
運転している一人を除き、それぞれが思い思いに
窓から見える景色を眺めたり、談笑していたりと、
傍目に見ても楽しそうな様子が伺える
そんな中、その内の一人が、
開け放した窓から流れる風の変化を感じてか
そちらへ振り向き黄色い声を上げた
「あっ、ほらほらっ♪
史くん、真狐ちゃん、見えてきたよっ♪」
「おぉ、このような景色は一体何時振りかのう・・・♪
この美しさ、久しく見ない内に忘れていたようじゃ・・・♪」
「だね~♪ それにしても・・・、
ほんと、この辺にここまで綺麗な
「海」があったなんて♪」




