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妖縁奇縁  作者: T&E
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第七話 勝負 後編 その1

「ど、どうもお手数おかけしました・・・、

さあ・・・、勝負の続きを致しましょう・・・」


数分後、正気に戻った玲香がしきりに髪を弄りつつ、

勝負の再開を申し出る


「ほんとにだいじょぶ・・・? もうちょっと休んでていいよ・・・?」


「いっ、いいえっ! 早く史陽様を助けなければいけないのですから、

次に行きましょう!」


「その意気ならまあ大丈夫かのう・・・、

じゃが海狸、お主は手加減してやれよ・・・?」


「もうっ♪ 分かってるよ~♪ よ~し、頑張るぞ~♪」


「頑張ってはいかんと言うに」


海狸は真狐の言葉を流しつつ、軽い口調でそう言うと軽快に少年の側へ近づき、

滑らかな動きでその場に座り込む


未だに少年よりも顔の紅い玲香は、

頬を叩き、口をきつく結びながら海狸の誘惑に目を向けた


「史くんも座りなよ?♪ あ、ボクは真狐ちゃんほど

派手に誘惑しないからまあ安心してね?♪」


海狸の言うことを素直に聞き、少年は再び座り込む


時間を空けたことで顔の火照りは多少収まったようだが、

鼻には栓をしたままで、仕草にも落ち着かない様子が見て取れる


「そうだね~・・・、ボクは声を出さずに史くんを誘惑してあげようか♪

そこのキミも良く見ててね~?♪」


そう言いながら玲香に一瞥をくれると、海狸はすぐに少年へ向き直り、

人差し指を真っすぐに立てた


そして、妖艶な視線を向けながら少年に問いかける


「この指を~、どうすると思う~・・・?♪

こうするんだよ~♥ あむっ♥」


そう言うと、海狸は突然、人差し指の先を口で軽く咥えてしまった


「ちゅっ・・・♥ ちゅうっ・・・♥」


そのまま海狸は小さな音を立て、弱々しく自分の唇に吸い付いている


一見すると、幼子が乳を恋しがって指に吸い付く行為と

同じようにも見えるが、海狸の表情や仕草がどこか艶めかしい


「んちゅっ・・・♥ ちゅっ・・・♥」


唇から発せられる水音と、上目遣いで向けられる海狸の視線や、

時折髪をかき上げるさり気ない仕草が、

少年に不思議な興奮をもたらし始めた


「ちゅっ・・・♥ ちゅぱっ・・・♥」


僅かに大きな水音とともに、海狸が指から口を離し、

犬のように舌を出しながら、やや過剰に荒い呼吸をしている


突き出された舌と人差し指の間が唾液で繋がっており、

海狸はその部分を、まるでご馳走を見るように恍惚の表情で見つめていた


そのまま海狸は息を整えると、もう一度人差し指を、

今度は付け根の部分まで一気に咥え込んだ


「ちゅっ・・・!♥ ちゅうっ・・・!♥ じゅぷっ・・・!♥」


更に力強い音を立て、頬がへこむほど思い切り指を吸引しつつ、

わざとらしく口内で唾液をすすり、いやらしい水音を周囲に響かせた


ただ指に吸い付いているだけのはずが、その様子を見ていると、

少年の心の奥底からに得も言われぬ情欲が湧き上がってくる


そのまま海狸が妖艶な表情で少年を見つめつつ、

咥え込んだ指をゆっくりと引き抜き始めたその時


「ほい! もうお終いじゃ!」


真狐が手を叩き、終了を宣言した


その瞬間、海狸は妖艶な表情を止めて、

真狐の方を見ながら平然とした表情で指を引き抜く


「ちゅぽっ、え~、もう終わり~?」


「当たり前じゃ、史陽にそれ以上はまだ早いわ」


「ちぇ~、これからだったのに~♥ まあいっか」


窘められても特に悪びれる様子のない海狸は、

微笑みながら少年に向き直る


「えへへ~、どうだった~?♪ 不思議とドキドキしてきたでしょ~?♥」


海狸が何をしていたつもりなのかはよく分からなかったが、

どういうわけか自分が興奮している、ということは理解出来たので、

少年はゆっくりと頷いた


「でしょ~♪ って、ありゃりゃ、今度はこっちの穴から

また鼻血が出て来ちゃったね、またティッシュ詰めとかないと」


少年の鼻から血が垂れて来たことに気が付き、

海狸は再びどこからともなく取り出したティッシュを鼻に詰める


少年は謝罪をしつつ、手当のお礼を海狸に言った


「くすくす♪ 別に謝らなくていいよ~?♪

ボクが興奮させようとしたことでちゃんと興奮してくれたんだから、

ちょっと嬉しいくらいかな?♪」


しかし海狸は特に気にしていないどころか、むしろ嬉しそうに微笑みつつ、

少年の手当を済ませた


「これで良し、と・・・、あ、さっきの続きをして欲しかったら・・・、

ううん、やっぱりなんでもな~い♪」


「まったくこやつは・・・」


何かをこっそり伝えようとしていた海狸だが、

横から睨みつける真狐の視線に気が付き、

すぐに立ち上がって少年から離れる


「えへへっ♪ ともかくこれでボクたちの番は終わりっ♪

さ~、次はもう一度キミの番だよ~?♪」


「・・・はっ! そっ、そうでした・・・!」


海狸が誘惑をしている最中も、そして誘惑が終わってからも、

両頬に手を当て、顔を真っ赤にしながら真剣な眼差しをしていた玲香は、

声を掛けられて我に返った


「さてどうするつもりかのう・・・? この少年の反応を見比べる限り、

先ほどと同じではお主に到底勝ち目はないぞ?」


「うっ・・・、うう・・・、そ、それでも恩義あるお方を

見捨てるなどと出来ません・・・!」


未だに真剣な勝負だと誤解している玲香に、

少年は謝罪をして全てを明かしたくなってしまう


しかし、少年が声を掛けようと手を伸ばしかけると、

それを見た玲香が真剣な表情になる


「待っていて下さい・・・! 今すぐにあなたを助けます・・・!」


少年の行動が救いを求めて手を伸ばしているように見えたのか、

玲香は余計に決意を固くしてしまった


「おっ、気合が入ってるね~♪ じゃあ早速行ってみよう~♪」


そう言いながら海狸が少年の側を離れ、玲香に場所を譲る


(落ち着いて・・・、あの二人がやったようにすればきっと・・・)


何度か深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、

玲香はゆっくりと歩き出した


「そっ、そのまま座っていて下さいね、史陽様・・・」


立ち上がりかけた少年を制止すると、

玲香も座り込み、緊張の面向きで少年を見つめる


そしてもう一度深く息を吐き出すと、両腕で勢いよく自分の体を抱きしめ、

真狐のように声を出し始めた


「あ・・・、あぁん・・・、うぅん・・・、んん・・・」


玲香は自分に出来る限り、精一杯真狐の真似をしているようだ


しかし、その声は艶めかしいと言えるものではなく、

感情のこもっていない、雑な演技としか言いようがなかった


「んあぁ・・・、はぁん・・・、やぁん・・・」


体を抱きしめる腕も、お腹を押さえているだけであり、

全身の動きは派手すぎるうえ、妙なリズムまでついており、

見た目は幼児のお遊戯に近い


どういう反応をすればいいのか分からず、

呆気に取られたまま玲香を見ていた少年だが、

助けを求めようと、真狐と海狸の方へ横目で視線を送ってみる


だが、真狐と海狸は二人とも揃って顔を逸らしており、

口元に手を当てながら、時折体を小刻みに震わせていた


「はぁあ・・・、うう・・・、これではだめですか・・・」


少年の反応が芳しくないことに気が付いた玲香が、

動きを止めて少年に向き直り、それに気が付いた少年も、

慌てて玲香の方へ向き直る


そして玲香の誘惑が一度終わったことに気が付き、

後ろで見ていた二人もこっそり向き直った


「先ほどの動作・・・、複雑すぎる故、

模倣も難解だったのでしょうか・・・」


「で、ですがまだ手は残されています・・・、

これならきっと単純な動きだから私にも・・・!」


再び何度か深呼吸をすると、玲香は人差し指を真っすぐに立てて、

ぎこちなく、やや控えめに口を開いた


「あ・・・、あ~ん・・・」


どうやら今度は海狸の真似を始めようとしているらしいが、

人の前で口を開く、という行為そのものが恥ずかしいのか、

玲香の顔は少年よりもずっと紅くなっている


だが、すぐに決意を固めたのか、玲香は唐突に

人差し指を口の中に咥え込んだ


「あ~・・・、あむぐっ・・・!?」


しかしその直後、玲香は涙目になりながら指を口から出してしまう


「いたた・・・、少々指を噛んでしまいました・・・」


海狸のやり方を見て勘違いしてしまったのか、

はてまた慣れないせいで歯と唇を同じように動かしてしまったのか、

玲香の指には少しだけ歯型が付いていた


玲香の言葉を聞いた瞬間、真狐と海狸の方から、

何か勢いの付いた音が聞こえてくる


その音に反応した少年が横目で二人の方を見ると、

顔を背けた真狐と海狸が、揃って体を小刻みに震わせていた


二人が何をしているのか理解した少年は、

力が抜けるのを感じつつも、怪我をしていないか、

玲香を気遣って声を掛ける


「あ・・・、だ、大丈夫ですわ・・・、ちょっと痛かっただけですので・・・」


わずかに赤くなった指を見せながら、怪我がないことを伝える玲香


安心しつつも、少年はこれ以上何かする前に玲香を止めようと口を開くが、

その瞬間、気合を入れるように玲香が頬を叩いた音が響き渡り、

少年は思わず口を止めてしまう


同様に、後ろを向いていた真狐と海狸のその音に気が付き、

自然と玲香に注目した


(こうなったら・・・、最後の手段ですわ・・・)


(上着を脱いで、下着姿を見せるだけでも充分に効果がある、

確かあちらの妖怪さんがそう言っていたはず・・・)


(私に残された方法は、もうそれしかありません・・・!)


目を閉じて、拳を握りしめながら小さな声で呟き続ける玲香


何を言っているのか聞こえなかったので、

少年は玲香に聞き返そうとしたがそれよりも早く玲香が動き出す


「え・・・、え~い!」


玲香は掛け声とともに勢いよく玲香が服を捲り上げ、

可愛らしい下着に包まれた豊満な胸を露わにしてしまった


目の前に巨大な胸がいきなり現れ、

少年の顔がすぐ真っ赤になり始める


「おお、ようやくまともに誘惑し始めたな、

なかなか勢いよく捲り上げたのう」


「思った通り、結構良いおっぱいしてるね~♪ 下着も派手すぎないし、

史くんにはちょうどいいくらいかな~?♪」


真狐と海狸は玲香の行動を面白がって眺めているが、

これ以上下着姿を見るのは良くないと考え、少年は咄嗟に顔を背けた


「ふ・・・、史陽様・・・、どうですか・・・?

ちゃんと見て頂けていますか・・・?」


固く目を瞑りながら服を捲っていた玲香が、

何の反応も返ってこないことを疑問に思い、

ゆっくりと目を開けて状況を確認する


「ふ、史陽様? どうされました? こちらを見て下さい・・・!」


少年が顔を背けていることに気が付き、

玲香が視線を向けるように要求するが、

少年は頑なに顔を向けようとしない


逆に、服を戻すよう少年が玲香に要求をし始めたが、

玲香も要求を聞き入れようとしなかった


「そんな・・・、今服を戻してしまったら、あの二人に勝てませんわ・・・!」


「ど、どうしても見てもらえないと言うのであれば・・・、

もう、こうするしかありません・・・!」


その言葉と共に、玲香は少年の頭を両手で掴む


そのまま少年の顔を無理やり自分へ向けるのかと思えば、

玲香は更に大胆な行動に出てしまう


「え・・・、えいっ!!」


挿絵(By みてみん)


玲香は少年の頭をそのまま引き込み、自身の胸に押さえこんでしまった


「さあ、これならどうですか・・・!?

私の胸で正気に戻って下さい・・・!」


玲香の胸が勢いよく自分の顔に向かってきたかと思えば、

柔らかく、肌触りの良い胸が自分の顔を完全に覆ってしまい、

少年の興奮は急激に高められた


「えいっ・・・! えいっ・・・!」


目を固く閉じながら、玲香は何度も少年の顔を自分の胸に押し付ける


その度に、玲香の胸が動きに合わせて形を変え、

自分の顔を自由に受け入れ、密着し、更なる興奮をもたらしていく


「こ、これでも足りませんか・・・? えいっ、えいっ、えいっ!」


少年の反応が聞こえないからか、玲香が更に力を込め、

少年の顔を思いっきり押し付けて来た


そこでとうとう興奮が限界を超えたのか、

少年の意識は途絶えてしまった


その様子を後ろで見ていた二人から、

驚きや感嘆の混じった声が上がる


「わ~お♪ 意外に大胆なことするね~♪

下着姿で思いっきりぱふぱふするなんて、

史くんきっと完全にノックダウンしちゃってるよ~?♪」


「確かにあそこまでするとは思わなかったが・・・、

そろそろ止めてやらんと史陽がまずいことになってしまうな」


そう言うと真狐は、未だに少年の顔を抑え続ける玲香の側に歩み寄る


そして両手を構えると、大きな音を鳴らして終了の合図を出した


「はいっ! そこまでじゃ!」


その音で我に返ったのか、玲香は動きを止めて目を開ける


「はっ・・・、もうおしまい・・・、あ、ふ、史陽様は・・・?」


「それを確認するためにも、まずはその手を離すが良い、

そのままではさすがに窒息してしまうぞ?」


「えっ!? あっ、きゃあーー!!」


そう言われた玲香は、自分が抱きしめているものを見た瞬間

思わず叫んでしまった


「だ、だだ、大丈夫ですか史陽様ー!?」


慌てふためきながら玲香が少年の顔を自身の胸から引き離すと、

顔中が鼻血で真っ赤に染まった少年の姿が現れる


「おお・・・、見事なまでに色んな意味で真っ赤に染まっておる・・・」


「これは・・・、キミの勝ちってことになるのかなぁ・・・」


後から近づいてきた海狸と真狐は、共に少年の顔を覗き込み、

呑気なことを言っているが、玲香は顔を真っ赤にしながら

少年へ呼びかけ続けた


「も、申し訳ありません! わ、私としたことが、あ、あんな破廉恥なことを!

し、しっかりして下さい!」


「これ、少し落ち着け、気を失っておるだけじゃ」


「そうそう、史くんまだこういう刺激的なことに慣れてないから、

割とすぐ倒れちゃうんだよね~」


騒ぐ玲香を落ち着かせようとする真狐と海狸は声をかけるが、

二人の言葉が聞こえていないのか、玲香の声は収まらない


「あ、あんな、あんなことを・・・、わ、私は・・・、きゅう・・・」


「な、どうした・・・!?」


「おっと、危ない・・・」


羞恥心のあまり、限界を迎えてしまったのか、

騒ぎ続けていた玲香はゆっくりと倒れ込む


その体を海狸が辛うじて受け止めた


「なんじゃ、気を失ってしもうたのか・・・?」


「そうみたい・・・、よっぽど恥ずかしかったんだねぇ・・・」


倒れてしまうのは予想外だったのか、真狐と海狸は少し心配そうに

玲香の顔を覗き込む


「うう・・・、は・・・、はれんちな・・・」


「・・・まあ、大丈夫、か・・・?」


「とりあえず、あっちで史くんと一緒に休ませてあげようか・・・」


「ひとまずはそれが良かろう、あ、そ奴の服は一応直しておいた方がよいな、

それと気を失っている間に悪戯をするでないぞ?」


「も~、流石にこの状況でそんなことしないよ~・・・、多分」


玲香の顔色を見て、特に問題はないことを確かめると、

気を失った二人を休ませるため、二人は居間へ移動した

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