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妖縁奇縁  作者: T&E
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第七話 勝負 前編 その2

「史陽が無事に家の側まで戻って来たぞ」


「やっと帰って来たね、なんか変な所で止まってたから、

トラブルでもあったのかと思ったよ」


自宅で位置情報を確認し続けていた二人は、

少年がなかなか帰ってこないことに首を傾げていたが、

ようやく近くまで戻ってきたことで胸を撫で下ろしていた


「もう目と鼻の先かのう、よし、きちんと玄関で出迎えてやるとするか」


「あっ、じゃあボクも行こうっと♪」


多少なりとも心配していた分早く顔を見たいのか、

真狐と海狸は二人そろって玄関へ待機する


数分後、安心どころか二人とも更に驚くことになるとは知らずに・・・






「ここが史陽様のお住まいなんですか? 随分綺麗にしていらっしゃいますね」


無事に少年の家まで辿り着いた玲香は、

少年の家を軽く見回してから褒め称えた


自分が手入れをしているわけでもないので、曖昧な返事をしつつ、

少年はふと、真狐と海狸のことを頭に思い浮かべる


結局二人へ連絡を取ることは出来なかったが、

頭の良い二人なら状況を見ればいくらかは察してくれるだろうと思い、

少年は玄関の戸を開けて玲香を家に招き入れた


「史陽、よう帰っ・・・た?」


「史くんおかえ・・・り?」


「お邪魔致します」


笑顔で少年を迎えた二人は、すぐ後ろを追いて入って来た

玲香の姿を見た瞬間、目を丸くしてしまう


二人が玄関で待っているとは思っていなかった少年だが、

すぐに気を取り直すと、なんとか察してもらうため、

不自然でない形で状況を説明出来るような言葉を探し始める


(はて・・・、誰じゃろうか・・・、どこかで覚えがある匂いのような、

そうでないような・・・、いや、ともかく今はここを離れるべきか)


(女の子連れてくるなんて史くんやるね~♪

どうせ何か理由があるんだろうけど、後でいっぱいからかっちゃおうっと♪)


真狐と海狸は、思い思いに考えを巡らせつつ、

音を立てないように気配を殺しながら下がろうとした


それを見た少年は、想像通り二人がちゃんと察してくれたことに

胸を撫で下ろす


しかし次の瞬間、三人はそろって固まってしまう


「お二方とも初めまして、私、神楽玲香と申します」


「普通の人間」からは見えないはずの真狐と海狸に、

玲香が深々とお辞儀をした


三人とも目を丸くしながら玲香を見つめるが、

そんな視線にも気付くことなく、玲香は挨拶を続ける


「この度は、歩き疲れていた所へ史陽様からお声を掛けて頂いたもので、

図々しいことは承知でしたが、お言葉に甘えさせて頂くことに致しました」


「そ、そうか・・・、史陽よ、人助けとは感心じゃな・・・」


「へ、へぇ~、そうなんだぁ、史くん偉いね~・・・」


狼狽えつつも玲香へ返事をする真狐と海狸、

少年は、何故二人の姿が玲香に見えるのか分からず、

困惑していた


「と、ともかく、玄関で立ち話というのもなんじゃ、

どうぞこちらへ・・・」


「そ、そうそう、何か飲み物でも出そうか、うん」


「ありがとうございます♪ では改めてお邪魔します」


真狐と海狸に促され、玲香は少年と共に中へ入る


しゃがみ込み、自分の履物を揃える玲香に感心していた少年だが、

立ち上がった玲香が怪訝そうな顔になったのを見て、

どうしたのかか声をかけてみた


「いえ、その、そちらのお二方の腰から尻尾が出ているようで・・・、

それに良く見ると頭に耳が・・・」


はっとした表情で少年が真狐と海狸の方へ振り向くと、

二人が同じように尻尾を押さえつつ、苦笑しながら振り向く


出会いがしらの邂逅で、耳と尾を隠す機会を失ってしまったようだ


「えっと~、これはね~、コスプレってやつなんだよ~♪」


「そ、そうそう? 好きでこういった格好をしておるだけで・・・」


咄嗟に海狸が言い訳をして、それに続く形で真狐も説明する


しかし、玲香の目はより一層険しくなり、

鋭い視線を二人へ向けた


「ではその尻尾と耳は作り物だと仰るのですか・・・?

その割には随分精巧に動くようで・・・」


「それに・・・、今気づきましたが、お二方から、

何やら人ならざるものの気配が漂っています・・・!」


玲香にあれこれと指摘され、真狐と海狸は諦めたようにため息を吐く


「はぁ、これは誤魔化せそうにないのう・・・」


「まさか見えるタイプの人がこんな近くにいるなんてね~・・・」


「やはり・・・! あなたたちは物の怪の類いなのですね・・・!」


二人の言葉で自分の疑問に確信を持った玲香は、

少年の前に立ち、庇うように後ろへ下げようとする


「史陽様はお逃げ下さい、この二人は物の怪です・・・!」


慌てふためきながらも、少年は二人とも悪い妖怪ではないと

説明しようとしたが、玲香は聞く耳を持っていそうにない


「わしらを悪い妖怪とでも思っておるのか・・・、心外じゃのう・・・」


「でも史くんみたいに好意的な人が例外で、

普通の人は大抵そういう印象を持っちゃうものだし、

そもそも悪い妖怪っていうのも強ち間違いじゃないっていうのがね~」


「間違ってはおらんかもしれんが、話がややこしくなりそうじゃのう・・・」


鬼気迫るといった表情の玲香に対し、余裕綽綽といった様子で

やり取りをする真狐と海狸


そんな中、少年は玲香に説明しようと話しかけていたが、

玲香は二人に集中しており、全く聞いていない


「史陽様、私は大丈夫ですので、早く・・・」


自分たちをにらみ続ける玲香に、

真狐と海狸はどうやって話をするか悩んでいた


「このままでは埒があかんぞ、さてどうするやら・・・」


「仕方ないからさ、ひとまず落ち着いてもらおうよ」


「? 何をするつもりじゃ・・・?」


真狐の問いかけに答える代わりに、海狸は胸元から葉っぱを取り出す


「へへ~、これを、ほいっと♪」


海狸が軽い掛け声と共にそれを放り投げると、

葉っぱはまっすぐ飛んでいき、玲香の体に貼りついた


「これは・・・? きゃあっ!」


貼りついた葉っぱに疑問の声を上げた瞬間、

玲香の体が大きな音と共に一瞬で煙に包まれる


そして煙が晴れると、そこには縄で縛られた状態の玲香がいた


「なっ・・・! これは一体・・・!」


「ふむ、捕らえたのか・・・、後がややこしくなるかもしれんが致し方ない」


「全然話聞いてくれないんだもん、とりあえずこうするしかないよね」


驚く玲香を余所に、真狐と海狸が少年たちへ近寄っていく


なんとか拘束から逃れようと玲香が身をよじっているが、

腰から下までをきつく縛られてしまい、動くこともままならない


「うっ・・・くっ・・・」


「胸だけはわざと縛りつけておらんのがお主らしい縛り方じゃな・・・」


「芋虫みたいになっちゃうよりはセクシーでしょ?」


切羽詰まった様子の玲香とは対照に、落ち着いた様子で

玲香を眺める二人


流石にいたたまれなくなり、少年は玲香の拘束を解くよう

海狸に要求した


「あ~・・・、ごめんね、ひとまずお話が済んだら解いてあげるから、

ちょっとだけ待ってて?」


しかし、海狸に話を終えてからと拒否され、渋々要求を取り下げる


「それにしても、まさかボクたちの姿を見ることの出来る人に

出会えるとはねえ」


海狸たちが誤って姿を見せたのではなく、

玲香の方に二人を見る力があったと聞き、

驚いた少年は海狸に詳しい説明を尋ねた


「うん、えっとね、ボクたちは人から姿を消すことが出来るっていうのは

もう知ってるだろうけど、人の中にはそんなボクたちの姿を

自分の力で見ることの出来る人がいるんだ」


「そういう人ならざる存在を見る力、

まあ史くんに分かりやすく言えば、霊感みたいなものかなぁ・・・、

ともかく、この子はそういう力を持ってるみたい」


「まあこの子は見えるっていうだけで、特にボクたちへ危害を加えるような力が

あるわけじゃないみたいだけど」


海狸のかみ砕いた説明を聞き、少年は納得したような声を出す


そんな二人の側で、真狐が玲香に話しかけていた


「玲香と言うたな、すまんがその状態のまま話を聞いてくれ」


「話・・・? 一体何を・・・」


「まずわしらは、お主の見立て通り立派な妖怪じゃ、

しかし、決してあの少年に危害を加えるものではない」


「そんなこと、信用出来ません・・・!」


「ふむ、まあ無理なきことか・・・、

じゃが、本人が言えば信じざるを得まい?

史陽よ、こちらへ来ておくれ」


真狐に呼ばれた少年は、海狸との話を中断して真狐の方を向く


「丁度良い機会じゃ、わしとの関係を、自分の口から

一言でこやつに説明してもらえぬか?」


その言葉に快く返事をした少年は、

すぐにでも説明しようと口を開きかけたが、

そこで何と言えばいいか考え込んでしまった


簡潔に説明するなら、当然馴れ初めから説明するわけにはいかない


真狐と自分、二人の関係を一言で表そうとすれば、

「恋人」であると、自らの口で言う必要がある


そこに気が付いた少年が、真狐の方を向くと、

真狐は悪戯っぽい笑みを浮かべながら少年の言葉を待っていた


「ほれ、どうした? 早う言っておくれ・・・?」


説明など二の次で、実際は、少年の口から恋人という言葉を

聞きたいだけの真狐


少年はようやく真狐の意図に気が付いたが、

一度説明すると言った以上、後に退くことはできない


頬が熱くなり、心臓が早鐘を打つのを感じながら、

少年は玲香に、真狐が自分の恋人えあることをはっきりと伝えた


「ふふ♥ よう言うてくれた♥ そういうわけじゃから、

わしは史陽に危害なんぞ加えんよ?」


少年の体を横から軽く抱きしめ、片腕を胸の中に挟み込み、

頬と頬をくっつけながら、真狐は玲香に向かってはっきりと言う


「え・・・? じゃあ、本当に・・・? でも、まさか・・・、

妖怪と人が・・・」


驚きながらその言葉について考えようとする玲香に、

いつの間にか少年の側へ来ていた海狸が更に言葉をつなげた


「ちなみにボクは~、史くんの恋人2号だよ~♥」


海狸はそう言いながら、真狐と同じように少年を抱きしめ、

頬を擦りつける


「こりゃ、誰が2号じゃ、そこまで認めてはおらんぞ」


「え~、いいじゃな~い、ねぇ史くん・・・♥

ボクたち、もう恋人と言ってもいいくらい仲良くなったよねぇ・・・?♥」


「史陽を困らせるでないわ、全く・・・」


両側から抱き着かれて真っ赤になる少年と、

楽しそうに言い合う真狐と海狸


その様子を眺めていた玲香が、徐に口を開いた


「なるほど・・・、良く分かりましたわ・・・」


「おお、分かってもらえたか」


「良かった~、それじゃあ縄を解こうかな」


海狸が指を鳴らすと同時に、玲香を縛り付けていた縄が

煙となって消滅する


自由になり、ゆっくりと立ち上がった玲香は、

改めて三人に向き直ると、力強い目で真狐と海狸を睨み付けた


「あなたたちは・・・、いたいけな少年を色香で誑かしているのですね!?」


「おお? 今度はそう来るか・・・、

まいったのう、余計に話をこじらせてしもうた」


「あれ? 結構ラブラブな雰囲気を出したつもりなんだけど・・・、

何か間違っちゃったかなぁ?」


誤解を解くどころか、より一層誤解を深めてしまった二人だが、

さして困った様子は見えない


少年は、誤解を解こうと口を開いたが、声を出す前に、

真狐がその口を閉じてしまった


(今あ奴に何かを言ったところで聞く耳は持っておらん、

更にこじれてはいかんから、ここはわしらに任せておれ)


耳元でそう囁かれ、少年が一つ頷き、大人しく口を閉じていると、

それを確認した真狐は少年から離れてゆっくりと立ち上がる


「それで、お主の言う通りわしがこの少年を色香で魅了していたとしたら、

お主は一体どうしようというのじゃ?」


「力ずくでどうこうしようなんて思ってないよね?

またさっきみたいに捕まえちゃうよ?」


真狐の言葉に合わせて海狸も立ち上がり、

玲香にそう言い放つ


海狸の言葉を受けた玲香は、一度深く呼吸をすると、

二人を真っすぐに見据えた


「無論、私に悪い妖怪を退治するような力などありません・・・、

ですが・・・、一つだけ思いつきました」


「私の色香で・・・、史陽様の目を惹けば良いのです!

そうすればきっとあなたたちの魅了が解けるでしょう!」


玲香が言い出したとんでもないことことに、

三人はそろってあんぐりと口を開ける


しかし、すぐに真狐と海狸が我に返ると、

不敵な笑みを浮かべながら玲香に挑発するような視線を向けた


「ほほう、面白いことを言い出すのう・・・、

なら、やってみるが良い♪」


「いいね~、キミの魅力で、見事この少年を助け出してごらんよ♪」


二人が揃って煽るようなことを言い出したので、

我に返った少年は三人を止めようとする


しかし、それを察知したのか、真狐と海狸は即座に振り向くと、

少年の発言を遮るように、二人同時に人差し指を少年の唇へあてがった


(すまんがもう少しだけやらせてくれぬか・・・?

決してあ奴に怪我をさせるような真似はせんと誓うから、

今だけ見逃しておくれ・・・)


(史くんごめん・・・、でもなんだか分からないけど、

あの娘のこと、からかいたくて仕方なくなっちゃったの・・・、

だからちょっとだけ黙ってて・・・?)


自分たちの唇にも人差し指を当て、ウィンクをしながら小声で囁く二人


悪戯妖怪としての本能がうずくのか、自分たちの話を聞かないことや、

自分たちを悪い妖怪だと決めつけていることへの腹いせか、

理由は分からなかったが、ともかく二人は玲香をからかおうとしているらしい


少なくとも危険なことはしないだろうと判断し、

少年は心の中で玲香に謝りつつ、諦めたように頷いた


(すまんの、史陽よ)


(史くん、ありがと)


真狐と海狸は、小声で少年に礼を言うと、

改めて玲香に向き直る


「さて・・・、では早速始めるかのう?」


「勝敗は分かりやすく、この少年を色香で誘惑して、

顔を一番真っ赤に出来た人の勝ちってことにしよう~♪」


「・・・分かりました、それで結構ですわ」


玲香は静かに返事をして勝負を了承していたが、

成り行きを見守っていた少年は、、

あることに気が付き、大きく動揺していた


玲香に迷惑をかけてしまうことばかり気にしていたが、

良く考えなくとも、自分を誘惑する色香の勝負をするならば、

当然自分も巻き込まれてしまう


少年の表情が変わったことに気付いたのか、

真狐と海狸は悪戯っぽい笑みを浮かべながら振り向いた


(安心せい、間違っても本気で魅了するような真似はせんよ♥)


(そうそう、派手なことはしないから大丈夫だよ♥)


少年に対する信頼か、はてまた遠慮がなくなって来ただけなのか、

本気を出さないと言ってはいるが、

二人は少年にそれなりの誘惑を仕掛けるつもりなようだ


「誰から仕掛けるのじゃ? 誰もいかないのならわしから・・・」


「あっ、ボクも最初にやりたいな~」


「いえ、私が先にやらせて頂きます!」


すぐにでも少年を救うつもりなのか、我先にと争う二人に、

玲香は鋭い声で自分が先手を取ると主張した


「ほう、面白い、ではお手並み拝見と行こうではないか」


「ちゃんと出来るのかな~? 期待してるよ~?♪

あっ、下着までならOKだけど、全部脱いだりするのは禁止ね~?♪」


「そっ、そのような破廉恥なことは致しませんわ!」


からかうような海狸の言葉に激しく応答しながら、

玲香が一歩前に進み出て、同時に真狐と海狸が少年から離れる


玲香の表情は、笑顔を浮かべる二人とは対照的に、

真剣な眼差しで少年を見つめていた


「史陽様、今しばらくお待ち下さい・・・、

すぐ正気に戻してさしあげますね」


胸いっぱいに申し訳なさを感じながら、

少年は玲香が何を仕掛けてくるのかと身構える


「で、では、やらせて頂きます・・・!」


力強くそう宣言した後、玲香は全員の見守る中、一度深呼吸をして


「・・・にこっ♪」


少年に向けて、満面の笑顔を見せつけた


「・・・? 何をしておるのじゃ・・・?」


「ねえ、早く何か仕掛けないの・・・?」


後ろから見ていては、玲香が何をしているのか良く分からないのか、

真狐と玲香から疑問の声が上がる


しかし玲香は、外野の声には聞く耳を持たないと言わんばかりに

少年へ笑顔を見せつけ続けた


「にこ~♪」


「・・・どうやら笑っておるようじゃな、

笑顔を見せているというわけか・・・?」


「ねえねえ、これのどこら辺が色仕掛けなの・・・?」


「えっ・・・? こ、これは殿方を虜にする爽やかな笑顔です・・・!


「それは・・・、やるだけ無駄だと思うぞ・・・?」


「そ、そんなことはありません!」


肩を叩きながら声を掛けられた玲香は、

散々なことを言われながらも力強く二人に反論する


「さあ史陽殿、この笑顔で正気に戻って下さい・・・!」


二人の芳しくないの反応に動揺しつつも、

もう一度少年に向けて笑顔を見せる玲香


その笑顔は、雲りのないまごうことなき爽やかな笑顔といえるものであり、

何気なく向けるだけで充分に男を虜に出来る可能性を秘めている


しかし、色仕掛けという観点で見れば、不十分極まりなく、

身構えていたこととは方向性が大きく異なる玲香の行動に、

少年は肩透かしをくらったようにぽかんと口を開けていた


「あら・・・? ふ、史陽様・・・、お気に召しませんでしたか・・・?」


少年の反応が想像とは異なるものだったためか、

玲香も笑顔を止めて少年に話しかける


どう言うべきか、何を言うべきか少年が迷っていると、

会話を遮るように海狸が声を出した


「はい、終了、そこまで」


「結果は・・・、全然赤くなってないね」


「そ、そんな・・・、私、何か間違っていたのでしょうか・・・?」


平然と結果を伝える海狸に対し、大きく動揺した玲香が再び少年に尋ねている


「何というか、微塵も動揺させられんかったのう・・・、

虚を突いていたのは確かじゃが・・・」


「どうやら、勝負のやり方をこれっぽっちも理解してなかったみたいだね?」


「う、うう・・・、こんなはずでは・・・、

で、ですがまだ勝負は着いていません、まだあなた方の番が残っております!」


余裕の笑みを浮かべる二人に対し、悔しそうな表情を浮かべる玲香


「よかろう、なら次はわしがお手本を見せてやろうかの」


そう言いながら真狐が一歩進み出たが、不意に振り向いて玲香へ話しかける


「折角じゃから簡単に説明してやろう、この勝負の勝ち方をな」


「か、勝ち方・・・、ですって・・・?」


真狐の言葉に狼狽える玲香だが、真狐は気にせず話を続けた


「と言ってもそう難しいことではない、

用は性的な興奮を与えれば良いだけじゃからな」


「なっ・・・、せ、性的・・・!」


「そうじゃ、例えばその服を脱ぎ捨て、下着姿を見せるだけでも効果はあった、

そのうえ胸でも触らせれば充分すぎるじゃろうな」


「そ・・・、そんな破廉恥なことを・・・!?」


「出来ないというのならお主の負けじゃよ、

後でもう一度チャンスをやるから、それまでに良く考えておくのじゃな」


「それと・・・、わしらの色仕掛けもよ~く見て参考にするといいぞ♪」


そう言うと、真狐は少年の方へ向き直り、

ゆっくりと側へ寄る


真っ赤な顔で真狐に言われたことを考える玲香と、

悪戯っぽい笑顔で真狐と少年を見つめる海狸


二人が見つめる中、真狐の色仕掛けが始まろうとしていた

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