表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖縁奇縁  作者: T&E
37/76

第四話 強敵 後編 その6

5分後、少年の鼻に栓を詰め、ベッドに寝かせた後、

海狸は少年の顔を覗き込んで顔色を伺う


「まあ悪くはないかな、これならすぐに目覚めるでしょう・・・、

さて、私もそろそろ行かなきゃね~」


そのまま少年の耳元へ顔を近づけると、

海狸は静かに囁き始める


「今日はとっても、と~っても楽しかったよ~」


「最後はちょっとドタバタしちゃったけど、

良かったらまた遊んでね~」


「それと、机に仕掛けたスマートフォン、

手紙と一緒に机の上に置いておいといたよ、

あれと真狐ちゃんに渡した奴は自由に使っていいからね♪」


「じゃあ、近いうちにまた遊びに来るから、

楽しみにしてくれると嬉しいな♡」


言うべきことを言った海狸は、少しだけ顔を動かし、

少年の頬に唇を近づける


しかし、それ以上何もすることはなく、

少年から離れると、そのまま開け放していた窓から外へ出てしまった


それとほぼ同時に部屋の扉が開き、真狐扮する少年が部屋に入ってくる


「海狸・・・? 帰ったのか・・・」


「まあ、あ奴のことじゃ、どうせすぐ理由を付けて遊びに来るじゃろう、

ひとまず元に戻るとするか・・・」


真狐はそう言いながらもう一度葉っぱを頭に乗せると、

目を閉じて集中する


そして次の瞬間煙に包まれたかと思うと、

そこには元の姿にもどった真狐が佇んでいた


「ふぅ・・・、なんとか誤魔化せて良かったが・・・、史陽の様子は・・・、

ふむ、きちんと手当はされておるな、これなら直目覚めるじゃろう」


ベッドに寝かされた少年の顔を覗き込み、

安心した様子で真狐が言う


「さて、史陽が目覚めるまで・・・、おや、これは・・・」


真狐が何気なく机の上に目をやると、海狸の置いていった

スマートフォンが目に映る


そして、添えられた手紙を読むと、

なんとも言えない表情になっていった


「まったく、柄にもなく気を遣いおって・・・、詫びのつもりか?」


「ま、そういうことならありがたく使わせて頂くか、

目が覚めたら史陽にも教えてやろう」


「・・・また遊びに来いよ、海狸・・・♪」


海狸が出て行った窓から外を眺めながらそう呟く真狐


その口元には、わずかだが、確かな笑みが浮かんでいた






そしてしばらく後、少年は無事に目が覚めたが、

手に残る感触や、自分の見たとんでもない光景が

脳裏に焼き付いてしまったらしく、

夕食時も、入浴時も、ずっと押し黙ったように俯いたまま、

終始顔が赤くなっていたという


当然就寝時も興奮のためか中々寝付くことが出来ず、

今日もまた、眠れない夜を過ごしていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ