14/76
第二話 紹介 その5
「ん・・・戻って来たか・・・」
朝食を済ませ、食卓に並んだパンをこっそりと少しだけ持って部屋に戻ると、
ベッドに座った真狐が眠たげな目を向けながら少年に話しかける
少年は量が少ないことを謝りつつ、真狐の前へパンを差し出した
「んん・・・、この匂いは食べ物か・・・、
確か、これはパンという食べ物じゃったかのう・・・」
「わしにくれるのか・・・、折角じゃからありがたく頂こう・・・♪」
差し出されたパンの匂いを寝ぼけ眼で嗅いだ後、
真狐はお礼を言いつつ両手でそれを受け取り、少しずつ口にする
「うむ・・・、以前登山客からこっそり拝借したことは何度もあるが、
やはりなかなかいけるのう・・・」
真狐は一口ずつゆっくりと噛みしめて味わいながら、静かに感想を呟く
少年は、真狐が食事する様子をしばらく眺めていることにした




