始まりの時
初めまして、洋です。
今回は初めての作品で、ずっと思い描いていた作品になっています。
何もかも初めての事ですので、読みづらいかと思いますが楽しんでもらえると嬉しいです。
今後も更新していきますので宜しくお願いします。
気が付くと僕は暗闇の中に立っている。
「また、この夢か」
毎日のように同じ夢を見ている、暗闇をひたすら歩いていく夢だ。出口のない場所を歩いていると朝になる、と言うのがいつものパターンなのだが、今日の夢はいつもと少し違っていた。
「声が聞こえる?僕を呼んでる?」
僕は声のする方へ歩いていく、暗闇の奥に光が見え、そこから声がするみたいだ。なんだかその声はとても暖かく、懐かしい感じがした。
回りが明るくなると、僕の前に女の子が立っていた。
「君は誰?」
僕が、女の子に話しかけた瞬間、体に衝撃が走った。
「ぐぅぁ!!」
目が覚めると、僕の体の上で猫が飛び跳ねていた。
「蒼早く起きんか、また、みどりに怒鳴られるぞ。私は、朝飯抜きは嫌だからな、早く起きろ!」
「ん…サラかぁ、おはよぉ…」
「おはようではない!早く起きろ!」
この猫は、サラ。僕が小さい頃に出会った不思議な猫だ。僕には炎の様な猫に見えるけど、他の人には、赤目の黒猫に見えるらしい。
それと、僕は、小さい頃から生き物と会話が出来る能力がある。ただ、生き物全てではないみたいだ。
「蒼?どうしたのだ?涙が出てるぞ、そんなに痛かったのか?」
「まぁ痛かったけど、多分さっきの夢かな?」
「夢?いつも話してる夢か?」
「うん…今日の夢は少し違っていたんだ。実は………」
僕は、サラに、夢の話をした。
「なるほどな、その女の子に見覚えはあるのか?」
「よくわからないけど…どこか懐かしい感じはしたかな」
サラと話をしてると。
「あおちゃんおはよー」
この女の子は、双葉めぐり。僕の1つ年上で、まぁ、幼なじみだ。僕は、小さい頃に両親を事故で亡くし、双葉家でお世話になっている。
「めぐ姉おはよう」
「あおちゃん、またにゃんちゃんと話してたの?」
「シャァー!!」
「にゃあ!」
「まあまあにゃんちゃん怒らない」
サラが怒っている。もちろん、僕以外の人には声は聞こえない。
「相変わらず不思議だよねぇ、あおちゃんのその能力。あっ!朝ごはんだからおいで」
「わかった。すぐに行くよ」
それを伝えると、めぐりは一階へ下りていった。僕も、着替えを済まし一階へ。
「おはよう、蒼」
「おはようございます、みどりさん」
リビングに入ると、みどりさんが朝食の準備をしていた。みどりさんはめぐりのお母さんだ。
「サラちゃんもおはよう」
「にゃーお」
「蒼、もう少し時間がかかるから、めぐりの相手してあげて」
「わかりました」
リビングから庭を見ると、めぐりが竹刀を持って僕に手を振っていた。
「あおちゃん早くー!」
僕は、めぐりから竹刀を受けとった。
「あおちゃん、いつでもいいよ!」
「宜しくお願いします」
めぐりには手加減は必要ない。手加減したら僕の方がやられてしまう。
「行くよっ!はぁぁぁっ!」
僕は気合いを入れた。
「俊足!!」
僕は、一気にめぐりとの距離を縮め、懐に入ると竹刀を振った。
「あおちゃん、なかなかよかったけどやっぱり、まだまだあおいわね」
めぐりは、軽々と身をこなしよけた、竹刀すら使わないとは。
「めぐ姉、やっぱり凄いね。でも、次はどうかな?」
僕は、居合いの構えをし、そして。
「一ノ瀬流剣技、弌乃型火愚椎」
めぐりとの距離を縮めると。
「あおちゃん、同じ手は効かないよっ!」
めぐりは竹刀を振り落とす。僕は、めぐりの竹刀を刀身の根元と鍔で受け流した。そして、その勢いで回転し斬り込む。
「はぁぁぁっ!」
めぐりの後ろにまわり斬り込んだ。
「甘いよ」
「えっ!?」
次の瞬間、めぐりの竹刀は僕の首筋にあった。僕は何が起きたのか分からなく呆然とした。そしてめぐりに話した。
「はぁぁっ、めぐ姉はやっぱり凄いや!全然敵わないよ」
「さっきの剣技はちょっとやばかったよ」
「あははっ、それでもちょっとなんだね」
めぐりは強い。僕は、その強さに憧れてめぐりに剣術や体術を習っている。
「はぁ」
「蒼も強くなったわね」
「いえ、まだまだです。もっと強くならなきゃ」
「やっぱり、あの人の子なのね」
「えっ!?」
みどりさんは誤魔化すように話題を変えた。
「あまり、無理はしないように!朝ごはんにしましょう」
いつの間にか、みどりさんは僕とめぐりの稽古を見ていたようだ。サラも駄目だなと言わんばかりの顔で僕を見ていた。
「いただきます!」
ご飯を食べてる途中でめぐりが話しかけてきた。
「あおちゃん、高校はどうするの?」
「めぐ姉と同じ高校に行くよ」
「私と同じは今のあおちゃんじゃちょっと厳しいかな」
「えっ!そんなに厳しいの?」
「実力は問題ないと思うんだけど…後1つ足りないかな。それに、私が剣術の師って言うのが一番かも」
そう言うとめぐりは苦笑いをした。
「私、一応学園1位だからね」
僕は驚いた。めぐ姉が学園トップ!?
「みどりさん本当?」
「残念だけど、本当よ」
「そんなに強かったんだぁ」
「だから、私に習ってるあおちゃんの実力はすごいの!でも、それだけじゃ足りないわけよ」
「そうね、めぐりの言う通りだけど、やってみないとわからないかもよ」
「お母さん!あおちゃんに期待を持たせないの!」
みどりさんは舌を出してウインクした。
「それでも、やっぱりめぐ姉の高校に行きたいよ」
僕の決意は揺るがない。めぐりという大きな目標があるからだ。
「わかった。やってみないとわからないもんね」
「頑張るよ」
「うんうん。それよりさあおちゃん?今日の夢ってどんな感じだったのかな?いつも見ている夢じゃないの?」
「夢?」
「あっ!?ごめんね、あおちゃんが猫ちゃんと話してるの聞こえちゃってさ。気になっちゃって気になっちゃって」
「なるほどね、今日の夢はちょっと違ってさ」
僕が話そうとした時、サラがめぐりに威嚇をしているのに気づいた。
「にゃーご!にゃー!!シャァー!!!」
相変わらずサラはめぐりにはなつかない。
「あおちゃん、なんて?」
「あぁ、ごめん」
僕は、サラの言葉を話した。
「小娘よ、わたしの名はサラだ!猫ちゃんではない!蒼に付けてもらったこの名はわたしも気にっているのだ!」
めぐりはサラにパンチをくらっていた。その後、サラはみどりさんの方へ向き真剣な顔で話した。みどりさんは、話の内容がわかったみたいな顔をしていた。
「みどりさん?話の内容わかりましたか?」
「なんとなくだけどね、でも、蒼お願いしていい?」
「はい…」
「みどりよ、蒼と私に何か隠してる事があるのではないのか?私は、話をするタイミングは今だと思うのだがな。それと、蒼には、幼き頃から話をするか迷っているように思うのだが」
「そうですね。もう蒼も知っておくべきかもしれませんね」
サラは言った。
「まぁ、その話の前に夢の話をしてやれ蒼よ!」
「わかった」
僕は、みどりさんとめぐりに夢の話をした。めぐりは驚いたみたいで口開けたままこちらを見ている。みどりさんは何かを決心したみたいだった。
「蒼全てを話すわ、蒼の両親、お姉さんの話を」
「お姉さん!?」
「ご飯食べたら場所を変えましょう」
そう言うと、みどりさんは支度をしはじめた。
「僕の過去かぁ」
「私は、蒼の過去興味があるがな」
「僕に姉さんが」
僕は、夢で出会った女の子を思い出していた。話を聞けば何か分かるかもしれない。
この出来事から僕の人生は大きく変わって行くのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回は「過去そして旅立ち」。
また宜しくお願いします。