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神様いっぱい物語  作者: エビムラー
未だ始まらず
3/5

知らないコト

『先日の落雷事故の被害額は、公共機関の停止なども含めると四億余りと言われており…』

『これだけの規模の落雷事故だったにも関わらず、幸いにも死亡者はゼロであったと…』

『現場付近で見えた光の柱は、空中放電現象によるものだとされており…』

『直前にあったとされる爆破事故との因果関係はないとのことで…』


「大変なことになっちゃってるわね」

「………ソウデスネ」

白い壁に白い床、白い天井の中に唯一置かれていたテレビのがめんが、ピッという音ともに消えた。目の前に座っているサングラスにスーツ姿の女性は、リモコンを机に置くとニコニコとした笑みを浮かべて、冷や汗の止まらないオレに声をかけてきた。


「それにしても派手にやったわねー。大変だったのよーあの後。現場の被害者のメンタルケアとか。記憶操作とか。周囲のビルディングの修理だったり、各公的組織への根回しとか。ほんとにもー。お姉さん大変だったんだゾ!」

「ソウデスネ」

「あの神格者なんてズタボロになっちゃってて、もうちょっとで天に召されるところだったのよ?まあ?仮にも戦神アレスの神格者だし?山場抜けたそのあとは割りとケロッとしてたけどね?」

「ソウデスネ」

「まあそれにしたってマサトくんやりすぎだし、この後永久投獄が確定しちゃってるんだけどネ!仕方ないわよネ!」

「ソウデスネ」

「ってさっきからソウデスネしか言ってないやないかーい!」

「ソウデスネ」


謎の関西弁?と共に頭にチョップをされた。痛い。辛い。ていうかそんなツッコミに対応する余力なんかないことに気付いてほしい…!


スーツの女性…本人はヤマさん、と名乗っていたは、ふう、と息をついて椅子に座り直すと、両手に顎を乗せて喋りかけてきた。


「まあ永久投獄云々は冗談よ。マサトくんはあの時初めて神の力を行使した…つまりそれが可能な人間、神格者になった。理解が及んでいなかったのは理解しているわ。……それに元を正せば今回の件はアレックス…アレスの神格者の暴走を止めれなかったこちらに非がある。むしろマサトくんは被害者なのよ」

「……すいません、やっぱまだ理解が追いつかないんですけど……神格者って…あとヤマさん達も……」


あの事件のあと、目が覚めたらオレはこのだだっ広い白い部屋に軟禁されていた。目覚めたと同時に医者がオレの体を診察していったが、その後は用意されていた内線で人と喋る以外、人は来なかった。……頼めばゲームや漫画、スナック菓子に清涼飲料水は出てくるし。運動がしたいといえばルームランナーやらダンベルやら腹筋ローラーやら、あとスカッシュの一式なども貸し出された。朝昼晩に出てくる食事も普通に豪華なものだった。…それでも外に出られないのだからやはり軟禁だろう。


そして今日何日かぶりに会った人がヤマさんで、自分の状況や事件のあらましを聞いたのだが……理解が追い付かない。それこそ漫画やアニメの世界の話だ。


まずオレの状況。オレは神の力を得た……いや、正確には行使する権利を得たらしい。ヤマさん達はそれを管理している国の組織…とのことだ。


神格者。神の力を借り受けて神の力の一端を振るう者。神に選ばれた人間。神に選ばれてしまった…不幸な人間。人間災害。神罰の代行者。


世界においてもあまり多くの人がいるわけではないらしく、存在そのものが秘密とされているらしい。理由は危険だから。普通の人間にとって、そして神格者にとって。


「普通の人間が神格者の存在を知ったら怯える他ないもの。そして怯えは時として暴力に変わる。そうなってしまえば神格者も自分の身を守るために、神の力を使ってしまうもの。だからマサトくんには普通の人間からは遠ざかってほしいの。秘密を知られないためにも」


互いを傷付けない為に。と付け加えられたような気がした。…そう、先日の事件は、その怯えが生み出した事件だったそうだ。神格者の男、アレックス。彼は神格者となってからもそれを誰にも知られることなく生きてきたが、それが自身の知人に露見した。そこから彼を排除しようとする行為が始まったらしく、それに耐え兼ねた彼は力を行使したが、それを制御しきれずに暴走したらしい。……それでも誰一人死者が出なかったのは、強靭な精神力の賜物だそうだが。


「そして私達は神格者を出来る限り一ヵ所に纏めて管理したいと思っているわ。……だからマサトくんにはここで暮らしてほしい。…あ、この部屋じゃないわよ。この地域。ここの外は比較的自然豊かだから安心してネ!」


……そう、オレは元の生活には戻れないと言われている。そりゃそうだ。オレだって戻らない方がいいのはわかる、わかるんだ。でも、それでも……。


「……急に飲み込めって言われてもキツいですって……」

「……そうね。いきなりだっていうのはわかってるわ。でもマサトくんには飲み込んでもらわなきゃいけない。そうじゃなきゃ、私達は貴方をここから出さないわ。……申し訳ないとは思っているけどね」

「………」

「……少し席を外すわ。だから考えて頂戴。ここにずっと閉じ込められるか、新しい世界に…神の世界に飛び込むかどうかを」


ヤマさんは立ち上がると。項垂れているオレの頭をポンポンと撫でて部屋から出ていった。……こんな答えのわかりきっている問題を解く時間をくれるヤマさんは、優しい人なんだなと思うと、ちょっと惚れそうになった。

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