Vivo(活発に)
『3出達成おめでとう!!』
部活別掲示板。
特に何も書かれていないほかの部に囲まれて、吹部だけがやたらと華やかだ。
木枯らしが吹く少し前に終わった吹奏楽コンクールの結果を、北風とともに校内に知らせていた。
私たち関原織姫学園___通称関織は、3年連続で全国出場。そして金賞を受賞した。
私は掲示板を見て、誇らしい気持ちで一杯になった。
教室に向かっていると、誰かに思い切り突き飛ばされた。
「まーりーちゃあん、おっはよぉぉう!!」
「ひゃあっ!!...おはようございます」
朝の恒例行事、というかもう儀式になっている。犯人は1つ上の栗原マイカ先輩。
イギリス人の母と、日本人の父の間の子で、今日もくるくるした可愛い金髪を肩まで伸ばしている。
「あ、先輩、カチューシャ可愛いですね!」
彼女の頭には、淡い紅色のベルトでできたカチューシャがのっていた。
「あ、これね。お母さんが金賞のお祝いにって」
いいなぁ...
2人できゃあきゃあやっていると、今度は襟をつかまれた。
「てめー、何朝っぱらからベタベタしてんだよ。気持ちわり―」
同じクラスの大嶋来瑠音。いつもはクルちゃんって呼んでる。
クルちゃんは見た目で分かる不良少女だ。うちの学校は私立のくせに不良が少なくない。まあ、女子校だから、大体の女子はあけっぴろげだけど...
特に吹部の不良はすごかったらしい。
今から10年くらい前、吹部には"レディース"と呼ばれる不良グループがいて、よく問題を起こしていたらしい。
あるときは、ユーフォやってた先輩、たしか翼紗って子が、レディースともめて、大変なことになったらしい。
それを機に、レディースたちは減っていき、今ではクルちゃんと、5年の先輩だけになった。
まあ、大したことはしてないけど...