青年
久々の投稿です。今回は少し早足で書いたので誤字などが多いかも知れません、ご指摘などございましたら感想の方に書いていただければ幸いです。
獅子型討伐作戦の前日ユウとセラ、アーロンを含めた数人がグラジオラスの拠点の一室に集まっていた。討伐作戦の前日ということで部屋を少々重苦しい雰囲気が包んでいた。
「で、細かい作戦なんだが...」
ユウがアーロンに目を向ける。アーロンは頷きユウの言葉を引き取る。
「事前にユウ君とセラ君には説明してあるが君たちも聞いて欲しい。獅子型は少数で抑えて、残りのメンバーで魔力砲を撃ってもらいたい...と言っても個別に魔力砲を撃っても獅子型にはダメージは入らないだろう、そこで氷の魔法を扱えるセラ君に氷で銃身を作ってもらう。そこに皆で魔力を流し込み、一気に魔力を放出する。そうすれば獅子型を倒すことができるはずだ。魔力を溜めている間、獅子型が近づかないよう私とユウ君、他数名で獅子型を抑える」
その言葉にユウが補足する。
「獅子型を抑えるのは難しいところだけどアーロンさんの硬化魔法があれば大丈夫だと思うよ。獅子型の攻撃については俺も魔力強化で対応するつもりだし。まぁ俺たちがやられる前に砲撃組がきめてくれれば大丈夫だろ。...あと砲撃のタイミングはこっちから通信機で指示するからよろしく」
アーロンの硬化魔法は魔力を込めることで身体や持っている物などを硬化することができる。魔力を込めれば込めるほど硬度が増すので防御力は魔法使いの中でもトップランクだ。ユウもアーロン程ではないが魔力の収束を扱えるようになったため部分的に防御力を上げることができるようになった。そのためアーロンとユウ、他数名で獅子型を抑えるということになったのだ。
「アーロンさんにしてはかなり単純っていうか脳筋っていうか...面白い作戦考えたよな...」
「なに、これくらいでなくては倒せないのだろう?」
ユウが茶化すがアーロンは平然と返す。流石のユウも苦笑するしかない。
「基本的な通達は以上ってことで今日は解散しようか」
ユウの一言で張り詰めていた空気が弛緩した。
「各自今日はゆっくり休んで明日に備えてくれ」
その言葉で皆が部屋から出て行く 。しかしセラは部屋に残っていた。ユウが不思議そうに声を掛けた。
「どうしたんだ?そんな不安そうな顔して」
セラは緊張した面持ちで部屋に佇んでいた。どんよりとしたオーラが出てきそうな雰囲気だ。
「この前はやれると思ってたんですけどちょっと心配になってきまして...私が失敗したらユウさんたちが...」
セラは思い詰めているようだがユウは不思議そうな顔をするだけだ。
「失敗したらどうなるってんだよ?」
「だって砲撃が獅子型に当たらなければ作戦の意味が無くなってしまいますし、外れるならまだしもユウさんたちに当たってしまったりしたら...」
「いや砲撃のタイミングはこっちから指示するし当たることはないだろ...」
「それでなくても魔力を溜めるのに時間がかかってしまったらユウさんたちが抑えておくのが無理になってやられてしまうかもしれませんし...」
その言葉にユウはムッとした口調で言い、そして続けた。
「もうちょい俺たちを信用しろ。そう簡単にやられたりしねぇよ。それに別に失敗したって誰も責めやしないだろ。仮に失敗したとしても俺がどうにかしてやる。だから心配すんな」
「でも...」
なおも後ろ向きな事をいうセラにユウが語気を強めて言う。
「だから大丈夫だっての...それに師匠の所で修行したろ?」
「...はい、そうですよね...きっと大丈夫ですよね...」
「おう、大丈夫だから今日はもう休んどけ」
「分かりました」
そう言ってセラは部屋から出て行く。先程もよりは雰囲気も良くなっている。
「...さて、俺も明日に備えるか」
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ユウたちは渋谷の廃ビル郡付近で獅子型を発見した。獅子型にはユウが道路の穴に落とした時についたのか生々しい傷が幾つかある。ユウの周りにはいつものチェーンメイルに巨大なタワーシールドと片手剣を装備したアーロンとそれぞれ装備を整えた数名が待機している。
「OK、獅子型発見。砲撃組は配置についたか?」
ユウが耳に付けた通信機でセラに連絡をとる。
『大丈夫です。こちらも獅子型を視認しました』
セラたち砲撃組は廃ビルの屋上で獅子型の姿を捉えていた。既にセラが氷で巨大な砲を作っていた。
「じゃあ魔力砲のチャージを開始してくれ。セラは砲撃の指示を待ってくれ」
『了解です。チャージを開始します』
その言葉を聞いてユウが全員に作戦開始を告げた。
「...良し、作戦開始だ」
ユウの合図と共に獅子型へと肉迫する。ユウたちに気づいた獅子型が咆哮を上げる。
「ガァァァァァァァァ!!!」
以前自らに傷を付けたユウを見つけ、攻撃を仕掛けてくる。
だがユウは魔力を両手に集中して獅子型の攻撃を捌く。牙を爪を次々と弾く。しかし一瞬隙が生まれてしまう。
「チッ!!」
「ガァァァァ!!」
その隙を見逃さず獅子型が咆哮と同時に右前脚の爪を叩きつける。しかし.....
ガキィィン!!
つんざくような甲高い音が辺りを包む。アーロンが装備したタワーシールドが獅子型の爪を受け止めたのだ。受け止めたアーロンは少し後ろに押されるが踏みとどまる。
「...流石」
ユウがボソりと呟く。
「ユウ君、今の君は1人で戦っているわけではないのだよ?もっと気楽にやりたまえ」
アーロンは獅子型の攻撃を受け止めながら平然とそう言う。
「サンキュー、アーロンさん助かったよ」
言いながらユウは獅子型の横に回り込み電撃を纏った拳を土手っ腹に叩き込んだ。
「グゥゥゥ」
獅子型は呻き声を上げるがすぐに体勢を立て直す。やはりユウの攻撃に倒せるほどの威力はないようだ。
「まぁ倒すのは俺の仕事じゃないからな...できるだけ引き付けますよっと」
ユウは再度獅子型を攻撃し注意を引きつける。
(問題は魔力砲のチャージ時間か...)
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「これじゃまだ足りません!もう少し頑張ってください!!」
その頃、廃ビルの屋上でセラは自らも砲に魔力を注ぎ込みながら他のメンバーに呼びかけていた。砲撃組は人数が多いため魔力はかなり溜まってきているが、確実に獅子型を倒すためにはまだ心許ない。
(早くしないとユウさんたちが...)
セラの焦りは募るがまだ魔力は溜まらない...
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作戦開始から十数分、前線で立っているのはユウとアーロンだけだった。ユウは傷だらけでアーロンは持っている盾にヒビが入っていた。他のメンバーは生きてはいるが満身創痍で地に伏している。
「うらぁぁぁぁ!!」
バチィ!!
ユウが幾度なく攻撃を弾く。もはや反撃する余裕もなく攻撃を凌ぐことで手一杯だった。
「ハッ!!」
アーロンがシールドバッシュで獅子型の体勢を崩す。
「ユウ君!砲撃組からの連絡はまだか?流石にそろそろもたんぞ!!」
アーロンが額に汗を浮かべながらユウに問う。
「そろそろ来てもいいはずなんだがな...」
荒い呼吸を繰り返しながらユウがアーロンに言う。時間にしてみれば十数分だが、実際に攻撃を凌ぎ続けているユウとアーロンにしてはもはや数時間が過ぎているかのような錯覚に陥っていた。だがそこでユウに吉報が届く。
『ユウさん!!魔力砲の準備整いました!!』
「やっとか遅ぇよ...良し!今から獅子型に隙を作る!そのタイミングで撃ってくれ!!」
『了解です!!』
ユウはアーロンとアイコンタクトを交わす。そしてお互いに頷き獅子型との距離を詰めた。
「ガァァァァァァァァ!!!」
獅子型が爪をユウに繰り出してくるがアーロンがインターセプトし受け止める。
バキィィ!
獅子型の攻撃に耐え続けていたアーロンのタワーシールドが遂に砕けてしまう。しかしアーロンとユウの仕事は後は獅子型に隙を作るだけだ。
「オラァァァァァァ!!」
アーロンが攻撃を受け止めている間にユウは獅子型へと肉迫し、獅子型の顔面に雷を纏った右ストレートを叩き込んだ。
「ギャン!?」
結果獅子型の隙を作ることに成功した。ユウとアーロンは飛び退り、すかさず砲撃組に指示を出す。
「セラ!今だ!!」
『了解です!』
セラはそう言った瞬間に砲に溜まっていた魔力を解放した。剛ッ!と言った風を切るかの様な音なり獅子型へと一直線に魔力の奔流が放たれる。
「グゥ!!」
獅子型がそれに気付くが僅かに遅く魔力の波に包まれた。
ドゴォォォォン!!
轟音が鳴り響き辺りを土煙が覆う。
「...やったか?」
アーロンが警戒を解かないままそう言う。それにユウが不安げな言葉を返す。
「...いや、魔力砲が当たる瞬間に獅子型も回避行動を取ってた。当たってはいるだろうけど...」
「グルルルル...」
ユウの不安を裏付けるかのように獅子型の呻き声が聞こえる。土煙が晴れると顔の左側と左前足、そして胴体の一部が抉れた状態の獅子型が立っていた。夥しい量の出血をしており、内臓の一部が地面に向かって垂れ下がっている。
「嘘だろ...あれで生きてんのかよ...」
ユウが掠れた声を出し獅子型を見ているがアーロンは毅然と言った。
「だがここまで傷付いていれば後は我々で仕留められるだろう。魔力砲の再装填を待つまでもない。やるぞユウ君!」
その言葉にユウは我に返り首肯する。
「そうだな。息の根止めてやる」
「その意気だ」
そしてユウとアーロンは獅子型へ攻撃を繰り出す。獅子型は足を1本失っているため為す術なく2人の攻撃を受ける。
「グルゥァァァァァ!!」
ユウとアーロンは獅子型の返り血を浴びながら攻撃を叩き込み続ける。
「これで終わりだぁぁぁ!!」
バチィィィィ!!
ユウは拳を叩き込みトドメとばかりに電撃を放った。獅子型はゆっくりと地面に倒れた。歓声は無く、2人も喜びの声を上げるでもなくただその場に立っていた。
「やっと終わったな...」
ユウがしみじみと言った。
「そうだな...やっと終わったようだ...」
そこまで言ってアーロンは地面に倒れた。
「アーロンさん!?おい!大丈夫か!?」
急いでアーロンの脈拍を測り息があるか確かめる。
「.........良かった、死んではいないな」
アーロンが倒れたのも無理はない、獅子型が放ってきた攻撃の半分以上を彼が1人で防いだのだ。寧ろ今まで立っていた方が不思議なくらいだ。
アーロンが死んでいないと分かって安堵の息を吐いたユウが獅子型の亡骸を見ていると目に止まるものがあった。
「......なんだこれ?」
獅子型の体の抉れた部分の奥に拳大の大きさの赤い宝石の様なものがあった。それは心臓の鼓動の様な明滅を繰り返していたがやがて光は消え、くすんだ赤黒いような色に変わった。
「宝石か?いやでも自分で光る宝石なんてみたことないし、何でこんなもんが?」
ユウが首を捻っていると、後ろからパチパチと拍手のような音が聞こえた。
「っ誰だ!!」
ユウが振り向くとフード付きの外套を着込み、嫌な雰囲気で笑う青年が立っていた。フードは目深に被られ目元は判別出来ない。獅子型との戦闘での疲れと宝石に気を取られていたせいか全く気配に気づくことが出来なかった。
「あなたが獅子型を倒したんですかぁ?」
青年はまとわりつく様な声でユウに聞く。
「あぁ、俺たちが倒した」
その言葉を聞いて青年は更に口角を上げた。
「素晴らしいぃ!!まさか獅子型を倒されるとはぁ!!あれはかなりの傑作だったのですが、まさかまさか倒されるとはぁ!!!」
いきなり大きな声で愉悦に浸る青年に驚きを隠せなかったが、ユウは青年の言ったある一言が引っかかっていた。
「おい、ちょっと待て!お前今獅子型を作ったっていったか?」
「おっとしまったこれは口が滑ってしまいましたぁ」
全くそう思っていないような口調で青年はそう言う。
「答えろ!!」
青年の態度に苛立ちを隠せずユウが激昂する。
「えぇ、獅子型は僕達が作りましたぁ結構大変だったんですよぉ?壊されたのはショックですけど面白かったのでいいですぅ」
その言葉にユウは本格的にキレ始めた。
「面白かっただと?テメェその獅子型のせいで死人が出たの知ってて言ってんのか!?」
「あぁ、2週間前に死んだ人達ですかぁ?あれはあれで面白かったですねぇ」
流石のユウでもリュウ達の死を面白かったなどと言われては黙っていられない。ユウは青年に掴みかかろうとする。しかしガクリと身体の力が抜け地面に膝を付いてしまう。
「クソッ!」
「あれれぇ、獅子型との戦闘で疲れきっているようですねぇ」
青年がニヤリと笑う。
「チッ...お前の目的はなんだ?」
ユウは舌打ちし青年を睨む。
「ヤだなぁそんな目で見ないでくださいよぉ。別にあなた達を殺そうってんじゃないんだから...」
「ならなぜあんな獅子型を作った?」
「そこまで答えて上げる必要は無いですぅ。まぁ今日は面白かったのであなた達は見逃しますぅ。あなた達が生きていれば面白いことになりそうですしぃ」
「どういう事だ?」
「そのままの意味ですよぉ」
と青年は言い残しこの場を去ろうとする。
「あっおい待て!!」
青年はそれ以上は語らず、暗い微笑みだけを残して去って行った。
魔法感染6話を読んでいただきありがとうございます。テストも終わったのまたチマチマ投稿していこうと思います。感想などいただければ嬉しいです。改善点なども教えていただければ嬉しいです。




