表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水平線にとどく唄  作者: つるめぐみ
7/27

7.家

 クウは人間に会ったら殺されてしまうとばかり思っていました。

 けれどシャロンは、クウがお母さんから聞いた人間とは、すこし違うようです。

「立てる? 痛みはもうない?」

 シャロンに言われてクウは立ちあがってみました。すると、足の痛みは嘘のようにひいています。シャロンが治療してくれたからです。クウは嬉しくて、たくさん歩いてみせました。

 喜んで歩くクウを見て、シャロンも嬉しそうに笑います。

 ――やったー。これなら家に帰れる。

 そう思ったクウでしたが、嵐で流されてきたために家がどちらの方角にあるのか、わかりませんでした。

 ――どうしよう。どうやって家に帰ろう。お母さんは心配しているだろうな。

 クウが困っていると、シャロンが声をあげました。

「みんな、この子を助けたいの。出てきて」

 すると、シャロンの家からたくさんの人間が出てきます。

 そして、全員、海にむかって歩きはじめました。

 人間の行列の一番後ろについて、クウも歩きます。

 辿り着いた港にはシャロンが頼んで出してもらった船がありました。それはクウが見た、どの船よりも大きいものでした。

「では、あちらの方角に舵をむけてください」

 船に乗りこんだシャロンが進む方角を示します。大きな船が動き出すと、クウは船についてきました。

 今日は青空が広がり、海も奇麗な青に染まっています。

 ――もうすぐ家に帰ることができる。

 はやる気持ちをおさえながら、クウは船を追い越さないよう、ゆっくりと進みました。

 しばらくすると、水平線に見慣れた島が見えてきました。クウの住んでいる島です。

 ようやく家に帰れる。ほっとしたクウはお母さんを呼ぶ声を出しました。

 クウ、クウ、クウと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ