こどものヒーロー
こどものころ、わたしはヒーローだった。
「ううっ、ちくしょう。はなせよ!」
「ふん、よそものははやくこのほしからでてけよ。さもないと、おれたちがいたいめにあわせてやる!」
「ひっ、たすけてっ……ユーミ」
たすけをよぶこえがきこえる。
きしにとって、せかいでいちばんたいせつな、ふたりのおひめさま。
しろのひめと、くろのひめ。
わたしはそのこえをきいて、かぜのようにふたりのもとへかけつける。
「そのこたちをいますぐはなせ!」
「「ユーミ!」」
「なんだ、おまえはいきなりでてきて!」
「よそものにみかたするのか!」
「あたりまえ。だってわたしはそのこたちのナイトだもん!」
「なんだと、こいつ!やっちまえ!」
わたしはむてきだった。
ひかりのはやさでこうげきをよけて、ひめをきずつけるわるものたちをうちたおす。
「なんだ!?こいつ!ばけものみたいにつええ!」
「ちくしょう!おぼえてろよ!」
どんなてきにまけなかった。ふたりをまもるためなら。
きょだいなわるものだって、たおしてきた。
「だいじょうぶだった?ふたりとも」
「ありがとう、ユーミ」
「ふ、ふんっ、へいきだい。で、でも、たすかったぜ……。その、ありがとよ……」
ナイトにはひめのえがおだけがホウシュウだ。
そうしてきしは、ふたりのひめをずっとまもりつづけた。
ずっと、ずっと。
そして……。
「「もう、ナイトなんていらないよ」」




