暫定的プロローグ
ファンタジー世界へ飛んでいきたい。
RPG系のゲームをやったことがあるならば一度くらいは幻想世界へと思いを馳せ、自分の身長くらいある大剣を振り回したり魔法をぶっ放したりして、モンスターを蹴散らす妄想をしたことがあるだろう。
俺の場合は可愛い女の子が悪役に連れ去られ、危機一髪のところを救いだしたりする話がお気に入りだ。
すでに3桁に至るパターンがある。
ちなみに大抵の場合その子は片思いしてた女子でしたが、なにか?
ほかにも、ドラゴンの出演回数は圧倒的に多い。
無論、かっこいいからだ。
ドラゴンの背に乗って大空を飛びまわったりしてみたい。
だいたい、現実世界内での退屈に退屈を塗り重ねたような生活を毎日耐えることを強要されている時点で、空想やら妄想やらにふけらないとでもやっていけないわけである。
そんな異世界という素晴らしい妄想材料を提供してくれていたのが基本テレビゲームだったわけだが、中学生になってからは自分のパソコンが使用できるようになったこともあってその役割はオンラインゲームに完全シフトしていった。
そこで、出来心だったのかなんなのか未だに真相はわからないのだが、俺はネトゲのメインキャラで女性キャラクターを使っていた。
もしかしたらゲームという異世界では現実とは極力違う自分でいたかったのかもしれない。
非日常とは日常から乖離したなにもかもを求めることであるからして、女性キャラを使用していたことをだれが責められよう。
単純にごつい男のけつを追い回すより可愛い女魔術師を好きなように操るほうが面白いだろうという考えもなかったわけでもないが、俺は自分に素直だから問題なし。
問題なのは、その浅はかとまではいかないが深い理由もなくネカマをしていた結果、異世界で俺が本当に女になってしまったということだ。
結論。
この俺の境遇を考慮すると、トラウマを作りたい人はオンラインゲームでネカマを演じることを全力で推奨する。




