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楽園都市。  作者: 馨。
2/2

幽霊船長。

青い青い海。深みのあるその青は、空よりも広く感じられる。

風によって揺られて波を起こし、波の上を泳ぐ客船を揺らす。

客船からは、孤島が見える。

名前を調べようとスマートフォンの電源をつける。

「えっ。」

思わず、声を漏らす。

『圏外』

スマートフォンにはそう表示された。

こんな場所もあるんだなと、この世界の広さを感じる。

にしてもおかしい。

先程から生き物という生き物がいない。

カモメもいなければ魚も見当たらない。

それに、自分以外の客も見当たらない。

ただ、それについて深い詮索はしなかった。

流れていく、景色にうっとりしつつ、離れていく孤島を目で追う。



光る画面の中では一人、操縦席に立つ者がいる、彼こそがこのゲームの主人公である。

このゲームのルールは簡単。

船を操縦し、客を目的地まで運ぶというもの。

その道中客を『全員』事故などで殺してしまった場合ゲームオーバーというごく一般の市販のゲームである。

今は、最高難度の『エクストラモード』に挑戦中である。

エクストラモードとは、客は一人ので一度のミスも許されない、それに関わらずほぼ攻略不可な数の災害が発生するという鬼畜モードである。



やはり、海は綺麗である。

深い青さがなんとも言えず綺麗だが、月が反射する海もまた良い。

船にのって少ししか時間が経ってないように感じるがもう夜である。

少し、うとうとし始めたその時だった。

船が大きく揺れる。

船内アナウンスが入る。

「地震です。津波に注意して下さい。

地震です。津波に注意して下さい。

ただちに、船内に避難して下さい。

ただちに、船内に避難して下さい。」

これは、ヤバイなと思いつつ、船内へ続くドアへ手をかける。

開かない。

焦る。

汗が吹き出す。

潮風が焦る体に染み込む。

波の音が強くなる。

反射的に振り向く。

そこには。

巨大な波。

津波だった。



「津波とかどうやって避けるんだよー」

辛うじて津波を避けきる。

「まじ、鬼畜難易度だなこりゃ。

ただ、ハイスコア叩き出せば大会の優勝報酬でネット通貨貰えるし頑張るかー。」

誰かに説明するように話している彼。

彼はこのゲームのプレイヤーである。

とある、ネットゲームの大会に参加していてたまたまこのゲームが大会運営に選ばれたゲームだったという話なのである。

彼は海が好きである。

ただ、それだけの話。

彼の中では。



ぎゅゅゅゅん

凄いカーブで津波を辛うじて避ける。

「あ、危なかった。」

そんな安心もつかの間。

また船内アナウンスが入る。

「海賊船です。

船内へ避難して下さい。

海賊船です。

船内へ避難して下さい。」

海賊船だ。

海賊船なんか、映画でしか見たことがない。

少し興奮するが、身の危険を案じ船内へ入ることにする。

ドアが開かない。

そっか。

開かないんだ。

って。

それって。

詰み?

人生の。

詰みってやつ?

だよな。

うん。

ヤバイ。

汗が吹き出る。

噴水の如くだ。

この汗で海作れちゃうんじゃねとか思いつつもう死ぬ覚悟を固める。

楽しい人生だった。

船に乗る前のことは全く覚えてないけど。

海賊船はこちらへ近づいて来るやいなや、大砲を発射する。

それは自分の方まで。

「どわぁぁぁぁあ!!??」



「海賊船とかワロス。

ほんと鬼畜だな。

はい、乙乙。」

愚痴りつつも船の先端を上手く使って海賊船を撃退する。

「にしても、この乗客の女、なかなか可愛いな。」



その時、またもや船は急旋回。

船の先で海賊船に突っ込む。

見事命中し、何人か海に放り出され海賊船は何処かへ逃げ帰る。

だが、その進行方向の先、不自然にぶくぶくしている場所がある。

もう、疲れた。

船旅が、こんな大変なんてなぁ。

もうさ。

ほんとに。

あいむたいやーどだよ。



「さて、ラストだな。

なになに…

こりゃたまげたな。

攻略するっきゃねぇな。」

攻略サイトを見ながら彼はこうつぶやく。



またもや船は大きく揺れる。

先程の泡が大きくなっている。

もうなんとなく予想は出来ている。

もうなんでもいいや。

そして、その泡の出処から、大きな触手が十本でで来る。

それは。

クラーケン。

ついに、幻獣まで出て来たか。

幻獣じゃなくて、怪獣か。

ま、いいや。

もう、私知らね。



「やっぱ、こういうのってテンション上がるよなー。

うんうん。

ただ、逃げるのがメインらしいし、

逃げるか。

一か八かだな。」



船はまたまた急旋回。

もう慣れた展開である。

もう、船の行く方へ身を任せる。

トップスピードで走り抜ける船に追いつないクラーケンを振り払って走る。

港が見えてくる。

やった。

やっと帰れる。



「よし、クリアだな。

最後は港n…あ。」


画面は真っ暗になりそこには。



やっと、帰れる。

その瞬間身体を浮遊感が襲う、船が港に止まりきれず陸に乗り上げている光景が下に広がっている。

当の私は空中浮遊。

そのまま、頭から落下。

意識は途絶える。

そして、脳裏にある文字が表示される。



Game Over




@

彼は物語を書き終えると溜息をついた。

我ながら駄作である。

これはマジだ。

うん。

明日からいい作品書くわ。

『明日から』


こういう書き方初めてやったわ。

この*←使うやつ。

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