俺氏、痴話げんかに巻き込まれる
OS再インスコする羽目になったよう。
むにゅっ。むにゅむにゅっ。
またしても柔らかいものに触れて、目が覚める。
「のわわっ! なんでまだいるんだよ!」
俺は飛び起きて慌てふためいた。
フォンシーヌ、いや蒼龍は、妖艶な笑みを浮かべながら、ベッドから身を起こした。
「あら、私はあなたについていくって決めたもの」
「一度アパルトメントに帰れって言っただろ!」
「そんなのは私の勝手」
埒があかない。そんな中、都合の悪いことに明るい声で、「おっはろー、ナオト!」と言いながら、アルティナ姫が部屋に入ってくる。
「うわっ! なんでそいつがここにいるんだよ!」
「いや、まあ、その」
もはや言い逃れはできない状態に、蒼龍が追い打ちをかける。
「私、この人に一生ついていくと決めたの」
目を白黒させるアルティナ。
「な、どういうこと? そいつ一体何者なのさ?」
「実は……かくかくしかじか」
「っ!」
俺の話を聞くやいなや、アルティナは蒼龍に襲いかかった!
「ちょ、いきなりどういうことだよ!」
蒼龍は、アルティナの拳をかわしながら、微笑んで答える。
「そりゃそうよ、一度はジェミニ王の命を狙った私ですもの」
「そうだ! あの時はどれだけ心配したことか!」
蒼龍と激しい格闘を演じながら、アルティナは怒気露わにして叫ぶ。
さて、ここで俺はどうすべきか。
1 仲裁する。
2 ほっとく。
……しかたない。仲裁しよう。答えは1だ。
「俺は!」
そうなるべく大きな声で切り出した。
「そいつと約束した。殺さないと」
「どうして!」
「なんかの役に立つかもしれないだろ。それにアルティナ。お前がもし蒼龍を殺すというのなら。俺もこの世界救うのやめるぞ」
これは脅しだ。卑怯だと思われるかもしれない。でもそうしないと、アルティナを止められそうにない。
「そこまでだ」
そう言って、寝室に現れたのは、アケリア王ジェミニ。
「久しぶりね」
そう、クールに蒼龍は言い放った。
「あの時以来だな。死んだと思っていたのだが」
「私だって死んだと思ってたわ。でも生きてた」
そうだ。俺の作った設定では、蒼龍はジェミニにやけっぱちの攻撃をしかけ、負けたのだった。
「救世主、ナオトよ。この女を本当に助けるつもりなのだな?」
「……ああ。約束したし、それに何かの役に立ちそうだからな」
「ふ、まあよい」
「ち、父上?」
目を白黒させるアルティナ。
「ナオトがそう言っているのだ。救世主の言うことは聞かねばならぬ」
「……」
「それはそうとだ、ナオト。レンがこちらの結界を破って侵入しようとしている。いよいよきゃつとの決戦だ」
「わかりました」
俺はこの世界の創造主だ。ならばレンに勝てるはず。そしてあの女に聞かなければならない。
――俺氏、二人のけんかを仲裁する。
最近更新してなくてすいませんした!