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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

"预后"

掲載日:2026/02/12

(うなじ)の匂いが、甘ったるく僕の鼻孔を苛めようとする

視線を、何処に向ければ良いのか解らなかった



夕飯後に家族で居間で過ごす際、胡坐(こざ)した僕の上に弟が座るのはいつもの事だった

「いつも」と違う事があるとすれば、それは昨夜の………




『何故、平気で居られるのだろう』と思った


僕に腰掛けた弟は、必然的に僕に後頭部を向けている為、表情が伺い知れない

それでも合わさった自分の躰と弟の背中から、弟の心拍数が上がって居ない事は簡単に解った


逆に、僕の心臓が早鐘の様に暴れて、一向に落ち着いてくれようとしない事は『弟には手に取るように解って居る筈だ』


頭がおかしくなりそうだった



こうして居ても、昨夜の弟の姿が、いま眼の前に在るみたいに幾度も蘇ってしまう


僕の下で、一度も視た事が無いような蕩けた顔を視せて、一度も聞いた事が無いような声で乱れて居た

僕があまりに強く弟の両手首を握り締めたせいで、まだ彼の躰には痕が残って居る


噛み痕だってそうだ

それなのに、隠そうともして居ない

父さんや母さんに聞かれたら、どう答えるつもりなのだろう



弟は学校とか友達とかネットとかの、どうでも良い話を母と繰り返しては、いつもみたいに笑って居る


心の中では、何を思って居るのだろう


どうして、こんな風に振る舞えるのだろう


僕はきっと、いまここに両親が居なかったら、弟を昨夜みたいに───いや、止めよう

今は少しでも落ち着きたかった


例えば、トイレにでも行こう

何か仕切り直しが必要だ

ここままじゃ僕はおかしくなる


弟を押し退けて立ち上がる


大丈夫、別にいつもの行動の範疇だ

おかしくない

誰も怪しまない


居間を出ようとすると、弟が駆け寄って僕の背中を抱いた



「お兄ちゃん、お風呂入ろう!」


叫び出してしまいそうだったが、堪えた



呼吸を整えてから、「入らねえよ」とだけ答える

突然、父が「二人で入れよ」「面倒くせえ」と割り込んできた


言われてみれば、いつの間にか時刻的に『そろそろ僕たちが風呂を済ませないと、両親が苛立ち始める位のタイミング』に時計の針が動いてしまって居た


僕は「解ったよ……」と答えると、困惑しながら居間を後にした




我が家の浴室は洗面所に面して居て、服を脱ぐのは必然的にそこになる


ズボンの中を視せたくない


ズボンの中を視せたくない


ズボンの中を視せたくない………



急に弟が洗面所に入って来る


真正面から駆け寄って来た

そして弟は、僕のズボンを無理矢理に下げた

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