夕闇に吠える
企画参加用に書いてはみたが自信なくなり企画参加を辞めたノリと勢いだけのアレです。
うぉぉおぉぉん
鴉の鳴き声が遠くから聞こえる夕暮れ時の茜町。
茜町飼い犬連合の縄張りに関する定期報告を促す遠吠えが響く。
『3番地のショコラッタが倒れました。』
『『『なんだって!!』』』
遠吠えに緊迫した空気が漂う。
飼い犬達の縄張りは電柱に行われるマーキングで主張し、電柱等のマーキングは高い位置にすれば他の犬は上書きが難しい。
体格の最も大きい飼い犬が地区のボスとして扱われることが一般的になっている。
茜町の近年問題になっている懸念は飼い犬達の高齢化が進み足腰が弱る事で高い位置にマーキングできる犬が減ってきている。
長年電柱の奪い合いをしてきた隣町である青葉町に加え雑木林を整地して誕生したニュータウン勢からも陣地が脅かされている。
夕暮れ時の定期報告を通し飼い犬達は自分達の縄張りでの確認事項を共有し翌日のお散歩コースを決める参考にしていた。
マーキングが手薄になっているポイントやマーキングしている犬の健康状態など守り手が倒れそうな場合誰がフォローするかなど…
『八百屋のゴン、焼き芋の喰いすぎでマーキングの臭いが甘いが尿糖でてないか?』
『…やっべ、最近飲水量増えているんだよ。』
『気をつけた方が良いぞ、歩けなくなったらおしまいだ。』
マーキングが手薄になっている方向がある場合は主様にお散歩をおねだりする方法はそれぞれ犬達が慣れた方法で飼い主を誘導する。
ある者は上目遣いで散歩紐を咥え、またある者は力技で押し切る。
余所者のマーキングには容赦なく上書きし仲間のマーキングは丁寧に匂いを嗅いでマーキングの邪魔にならない位置に援護の臭い付けを行う。
一匹の犬が電柱をぐるり一周マーキングなんてできないからだ。
この町に来た犬達は古参の飼い犬達からマーキングのお作法を教わる習わしになっていて、教わっているのに誤って仲間に上書きなんて粗相をしたら散歩で古参と顔を合わせたらガウガウ叱られてしまう。
豆柴のコタロウのみたいに毎回誰彼構わず上書きし叱られても『てへ、ペロ♡』ってノリで懲りない犬もいる。
『ショコラッタの奴は花屋脇にある電柱に挑戦して股関節を痛めたと。』
『あの電柱は隣町のボルゾイがマーキングしていたはず。』
『飼い主に抱かれて『ボクちゃんもう駄目だ』とショコラッタが皆に伝えて欲しいと…』
『チワワの癖に無茶しやがって…』
茜町の飼い犬達が戦傷者について話をしていると木枯らしに乗って青葉町の遠吠えが混ざる。
どうやら先代のボス犬が天寿を迎えたらしくお悔やみの遠吠だった。
昨年他界した茜町のボスとマーキング位置で張り合うような犬で青葉町のボスとして君臨していた。
仔犬の頃は小さかったのかプチ太と名付けられた隣町のボスは甲斐犬の血が混ざった雑種で厳つい顔のどデカい犬だった。
茜町のボスと張り合っていた頃は強烈なマーキングで多少の上書きにも負けない自己主張があり縄張り争いで絶対王者として恐れられた。
晩年は錆色の体毛は白く霜降りになり鋭かった眼光は白く濁り巨体なのに飼い主の膝上から動かなかったそうだ。
強面の甘えん坊、享年17歳だった。
敵将の突然な訃報に茜町の飼い犬達は天寿を全うした青葉町のボスにお悔やみの吠えを上げた。
『『『『『わんわんおー!』』』』』
飼い犬達の遠吠は夕闇に飲まれる。
さあ、明日は何処の電柱をマーキングするか…
飼い犬達はいっだって真剣だ。
『良い脚だ!アイツはいずれデカくなる(物理)』と期待されているサモエドの仔犬だとか。
般若顔で怖がられているが小心者のハスキーとか盛り込みたいが内容が脱線しそうなんで切り捨てましたがいつか盛り込みたい…




