086.二十層までの道程・伍
:チーム・アレクシオンとチーム・暁のコラボきた!
:うおおおおっ、新宿ダンジョンの若手NO.1とNO.2のコラボとか熱すぎる。
:鳩だけどチーム・アレクシオンの配信もめちゃ盛り上がってる。
:そりゃそうでしょ。盛り上がらない理由がない。
:しかもそれが十九層、二十層、そして二十層ボスの攻略だって言うんだからそりゃもうみんな注目の的でしょ。
:同接が三百万超えてるんだが?
:その程度じゃ俺らはもう驚かないぜ。
:どんどん増えて五百万超えそう。
:五百万ってどんだけだよ!
:いや、やっぱコラボ効果だよな。と、言うかレオさんが頭をさげて共闘するとは思わなかったな。
:あぁ、普通チーム・暁がお願いする立場だもんな。
:どっちも中層では最強パーティに位置するからな。正直さっさと下層で活躍して欲しいってみんな思ってたでしょ。
:それはそう。
:アレクシオンや暁が下層で無双する。みて~。そんな未来がすぐそこに!
:二十層ボスは強敵だって言うけどこのメンツで負ける訳がないでしょ。
:間違いない。
:いやぁ、十九層チーム・暁は初だってのに十分戦えてるもんなぁ。
:ほんそれ。全然アレクシオンに見劣りしない。
:でも十兵衛くんまだ本気出してないんだよなぁ。
:本気出したら殲滅になっちゃいますしおすし。
:それな。一人軍隊十兵衛くん。
:ソロでも下層行けるんじゃないか? ってマジ思う。
:行けると思うぞ。十兵衛くん低層からずっと無双状態だからな。それでいて切り札があってどんどんレベルアップしてる。多分ソロならもっと早く下層探索者になってた。
:でも最澄くんも茜ちゃんも梨沙ちゃんもすげ~成長してるんだよな。
:見てる背中が違うからな。十兵衛くんに追いつこうと思うと並の速度じゃ無理でしょ。
:倍の速度で走り続けても追いつけなさそう。
:みんな三倍くらいの速度で成長してるよ。じゃなきゃついていけてない。
:実際十兵衛くんに頼らずとも十九層で通用してるもんな。
:これで探索者歴一年と半行ってないとかマジかよって思う。
:十兵衛くんと梨沙ちゃんは半年経ってないんだぜ。
:そりゃ最速記録も更新するわ。
:伝説回だな。
:なんど伝説回あるんだよ。
:それだけ伝説があるってことだよ。ブラックゴブリン・ジェネラル然り、ブラックヴァイパー然り。クイーンビーもクイーンアントも倒したしな。普通倒せねぇって。回れ右して逃げろってのがギルドの教えだぞ。
:全部倒したんだよなぁ。信じられねぇ。しかも単独パーティで。
:下層探索者俺、マネできる気がしない。絶対何人か死ぬ。
:良い子は真似しちゃいけません。死にます。マジで。
:憧れてはいいけど真似しちゃいけない筆頭だよな、チーム・暁。
:見てる分にはめちゃくちゃ楽しいんだけどね。超強いし。
:うん、死人が出るとか考えられない。イレギュラーが出ても十兵衛くんならなんとかしてくれるっていう安心感がある。
:だからチャンネル登録者が深層探索者並なんだよなぁ。
:未来の深層探索者だからな。日本最強になる日も近い……かもしれない。
:そこはいい切れよ笑
「右は任せた、十兵衛くん」
「了解。レオ先輩」
十九層でのチーム・アレクシオンとチーム・暁の共同パーティは破竹の勢いで進んで行った。強力なオークリーダーに率いられたオークの大群。それに湿地にいるリザードマンやウェットランドフロッグ、ウェットランドスネークなども全て対処できている。
十九層は湿原のフィールドだ。十八層よりもレベルの高い敵が出てくる。更に視界が広い為、囲まれやすい。足場も悪い。
最澄はウェットランドフロッグの一撃を盾で防げるようになってきた。だが探知はまだ自信がないようで、そこは茜や梨沙がフォローしている。
しかし危険はない。チーム・アレクシオンが横で戦っているからだ。
基本的に単独パーティで戦っているとモンスターの数が多いと言う事はよくある。それを十兵衛と茜の攻撃力で突破してきた訳だが、チーム・アレクシオンが加わった事によって数の利もモンスターにはなくなってきた。更にチーム・アレクシオンはチーム・暁の邪魔をしないように、それでも援護できる位置で戦ってくれている。やりやすいったらありゃしない。
「人数が居ると安定感が違うな」
「それは違うぞ、十兵衛くん」
「ん、何が違うんですか。斗真さん」
「人数が居ればいいと言うのであれば一パーティの数は十人とか二十人とかになるはずだろう? だが実際はそうではない。なんでならないと思う?」
「連携が難しいから?」
十兵衛の答えにレオはうんと頷いた。ただまだ足らないと言う表情をしている。
「それも一つの側面だ。そして即物的に言うと分前が減ると言う面もある。それに一人のリーダーで十人も二十人も管理するのは大変だ。人数が増えればそれだけ揉め事が増える。それだけの人数を纏め上げる実力のある指揮官はそうそう居ない。だから普通パーティは四から六人で構成される。多くても八人だな。その人数なら一人の指揮官でもなんとか面倒が見れるからな。そしてそれ以上の人数を纏めるとなるとパーティではなくクランを設立すると言う事になる。大手クランなどから声が掛かっただろう? うちも掛かった。だが全部断った。自分たちの力でどこまで行けるか知りたかったからな」
「なるほど」
十兵衛は忍者の分隊が五人であることを思い出した。そして小隊は十人。中隊は五十人である。基本中隊規模以上で動く事はそうそうない。その場合は小太郎が出て幾つもの中隊を指揮する。
「十兵衛くんが速すぎて援護ができない!」
遥さんが叫んだ。茜とは良い相性だと思うのだが、十兵衛の動きはトリッキー過ぎて読めないというのだ。だが忍者の動きを素人に読まれても困る。そういう意味では十兵衛は後衛との連携には向いていない。十兵衛の動きに合わせられるのは同じ風魔忍者だけだろう。他の忍者ですら難しい筈だ。なら尚更、一般人の探索者ならばそれは不可能の一言となるだろう。
「陽斗さんは凄いな。最澄は彼を真似すると良いぞ」
「あぁ、俺の目標にさせて貰う。もちろん下層探索者や深層探索者にはもっと凄いタンクがいる。だがそういうタンクは参考にならないんだ。凄すぎてどこをどうすれば良いのかがわからない。その分陽斗さんは俺の上位互換だ。つまり参考になるところが多い。たくさん学ばせて貰うぜ」
「その調子だ、若者よ。幾らでも盗め。俺の技術が広がって若者の命が助かるなら幾らでも広めるぜ」
陽斗はそう言って最澄の背中をバンバンと叩いた。陽斗と最澄の相性は良さそうだ。
そういう意味では遥と梨沙は同じ魔法使いと言う事でシンパシーがあるらしい。あと梨沙の〈浄化〉魔法を一番喜んだのも彼女である。やはり女性であるからそういう事を気にしてしまうのだろう。仕方ないことだ。
逆にレオは「おお、便利だな」と一言で済ませた。レオは男勝りなところがある。その金髪がたなびき、大剣が振られるとモンスターが塵になる。そして危険を顧みずに特攻する癖がある。それを止めるのは斗真の役目だ。
斗真は大変だろうなと、少し十兵衛は同情した。
「さぁサクサクいくよ。このメンバーなら十九層なんて楽勝さ。見敵必殺。サーチ&デストロイだよ。エンカウントを避けたりしない。見つけたら戦って経験値っと収入に化けて貰う。さぁ、私に着いてきな!」
レオは颯爽とそう言ってずんずんと先を進む。十兵衛たちも、アレクシオンのメンバーもそれに続く。そしてエンカウントしては敵を殲滅し、十九層は欠員も大怪我もなくクリアすることができた。
「チーム・アレクシオンとの共闘は正解だったな。その分取り分や経験値は得られないけどな」
そう思いながら十兵衛はちらりとコメントを見て、同時接続数の数を見てクラリと来た。




