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006.装備選びと呼び出し

「さて、装備を選ばないとな。うちにある武器と防具だけじゃダメだろ。ダンジョンはダンジョン用の装備があるって調べたサイトに書いてあったし」

「あ~、なんか専用装備をちゃんと選ばないとダメらしいね。あたしの場合は鎖帷子にローブかな?」

「そうだね、梨沙はそれでいいんじゃないかな」


 ギルド、正式名称JDA・日本ダンジョン協会は国が運営する施設だ。

 例えば総合案内所のお姉さんや受付嬢、試験官なども全員公務員である。彼らに暴行を働けば公務執行妨害で逮捕される。実際にJDA施設の中には私服警官が混ざっていると言うのは秘密でも何でもなく公開された情報だ。


 そしてギルドの北側には十階建ての大きな商業ビルがある。所謂ダンジョン関連製品を作っているショップが入っている大型ショッピングモールで、一階と二階にはカフェや食事処、酒場があり、三階以降には装備を売っているショップなどが入っている。他にも中層以降になるとダンジョンに泊まり込むこともあるのでそのためのキャンプギアなどが売っているショップもあると聞いている。


 五階までは食事処や装備ショップなどが連なっているが、上層階には企業のテナントが入っているようだ。つまり探索者が使うのは実質五階までとなっている。それでも十分広い。


「拳銃かぁ、やっぱ必要かな」

「念の為に持っておいた方が良い、とは書かれていたな。ゴブリンなんかには通用するみたいだけれど、レベルは上がるけれど銃で倒すとスキルが生えづらくなるからあんまり推奨されてないみたい。これはクロスボウも一緒だね」


 拳銃を売っているショップの前を通りかかって梨沙が呟いたので十兵衛は調べた事を梨沙に教えた。もちろんこのくらいはダンジョンに入りたい本人である梨沙も調べているだろうが念の為だ。


 ちなみに銃刀法と言う法律が昔はあったらしいが、今はかなり緩くなっている。厳密に言うと銃などは弾を抜いての所持ならOK。ただし探索者免許を持つ物に限る。且つ基本的には銃などはギルドに預けるのが基本だ。


 刀や槍に関してはしっかりとケースに入れて持ち歩く分には許されている。抜刀などを市中でしたら当然捕まる事になる。その辺は2010年くらいに大幅に改正があったようだ。まだ十兵衛も梨沙も生まれていない時代なので詳しくは知らないが、その前はかなり厳しかったらしい。十兵衛も忍者刀を袋に入れて持ち歩くつもりだ。


「ダンジョンって不思議ね」

「まだ現れて三十年だからね。その前の数千年以上の歴史でダンジョンなんてのは存在しなかったんだから不思議で当然だよ。俺も生まれた時にはダンジョンがあったから当たり前だと思ってたけど、祖父とか祖母の時代にはなかったから黎明期は大変だったって聞いたことがある」

「あ、あたしもある!」


 十兵衛の話に梨沙は大袈裟に食いついた。


「さて、装備を選ぼうか。一応俺は父から軍資金貰ってきているけど、梨沙はどうなんだ?」

「あ~、あたしは聞いてないな。カード使っていいのかな」

「これだからお嬢さまは……」


 ピルルルルっ。


「あ、ごめん。ちょっといい。お父さんだ」

「お館様からの連絡か。当然いいよ」


 梨沙のスマホが鳴り、人の少ない場所に移動して梨沙がスマホを取る。内容は聞こえないが悪い話ではないようだ。なにせ梨沙の表情が明るい。


「ねぇ、装備お父さんが用意してくれるって!」

「え? お館様が?」

「うんっ、娘とその護衛の安全は金には変えられないから良い装備を見繕ってプレゼントしてくれるって」


 梨沙はるんるんと話しかけてくる。可愛い。


「それは嬉しいけど、ってことは俺の分もか?」

「うん、そうだって。迎えを寄越すから今からうちに来るようにだって」

「マジかよ。北条家とかもう何年も行ってないしお館様に会うのなんて何年振りとかで超緊張するんだけど」

「あははっ、まぁそこは諦めなよ」


 梨沙はあっけらかんと言うが梨沙の父親は十兵衛にとっては主筋の家のトップである。当然ながら雲の上の人だ。

 梨沙も本当は梨沙お嬢さまと呼ばなくてはならないのだが、幼い梨沙が嫌がり、その後も梨沙と呼ぶようにと命令してきた。更にそれをお館様が認めたので梨沙と呼んでいる実情がある。

 そんなお館様、北条氏康と会わなければならない。それだけで十兵衛は胃が痛かった。



 ◇ ◇



「呼び出して悪いね」

「いえ、ダンジョンショップで装備を選んでいるところだったので、ちょうど良いお話でした」

「顔を上げて良いよ。お茶も飲みなさい。それほど畏まらなくていい。十兵衛くんは梨沙の護衛であって私の部下ではない」

「いえ、そんな訳には……」

「では命令だ。お茶とお菓子を食べながら話を聞きなさい」

「はい」


 そこまで言われては十兵衛にはどうしようもない。頭を上げてソファに座り、出された紅茶を飲みだした。


「お父さん! そんな言い方はないんじゃない?」

「十兵衛くんが頑固だからこう言うしかないんだ。許してくれ、梨沙」

「むぅ、確かに十兵衛ちゃんは頑固だけどっ」


 梨沙が氏康に食いつくが梨沙はすぐに矛を収めてお菓子をパクパクと食べている。お茶もお菓子も風間家で出てくる物よりも数段良い。さすが北条グループ総帥の家だと思った。


(幼い頃はよく遊びに来てたんだよなぁ。美味しいお菓子があって普通に喜んでたけど今考えたらありえないな)


 そんなことを考えながらも十兵衛は命令とまで言われてしまったのでお茶とお菓子を楽しむ。美味しいが目の前に氏康がいると思うと味わう暇がない。勿体ないなと少し残念に思うがこればかりはどうしようもない。


「それで、装備の件なんだがね。勝手ながら二人分の装備をこちらで用意させて貰った。十兵衛くんの装備は琢磨と相談して決めたので問題ないと思う。それを食べ終わったら見てくれるかな」

「はい」


 そう言われたらゆっくりとお菓子を楽しんでなど居られない。急いで十兵衛はお茶とお菓子を平らげたが、梨沙はニコニコしながらゆっくりと食べているので結局は梨沙が食べ終わるのを待つ事になった。


(梨沙の食べ方ってやっぱり上品だよな。家柄の違いってこういう所作に出るよな)


 梨沙は色々とお菓子に手を伸ばしているが食べ方やカップの持ち方一つ見るだけで品の良さが滲みでている。もちろん幼い頃のマナー講習を嫌がっていた梨沙を知っているので素直に羨ましがられないが、その成果はしっかりと今の梨沙を形作っている。


 十兵衛も梨沙に見劣りしていないと良いのだがと不安に思いながら梨沙がお菓子とお茶を食べ終わったので装備が用意されていると言う部屋に移った。


「これは、凄く良い物ではないのですか?」

「深層まで潜ってもおかしくないレベルの物は揃えたつもりだ」


 氏康はしれっと答えた。

 眼の前にあるのは忍者刀が二振り、剣鉈マチェットが一振り、ナイフが二本。クナイや手裏剣は箱で入っている。そしてそれらすべてがダンジョン産の合金で作られた物だ。そして予備もきちんと準備されている。


 黒曜鋼と呼ばれるダンジョンで取れる金属で作られた忍者刀は黒光りして抜いただけで「これは斬れる」とわかる業物だった。

 そしてマチェットは肉厚で、斬るのではなく叩き斬るとかその厚さで斬撃ではなく打撃として使うような用途を想定しているようだ。刀身も忍者刀よりも少し長い。太刀並の長さだ。


 腰に忍者刀を佩く剣帯も準備されているし、マチェットは背中に背負うように設計されている。

 そして防具だ。基本はマットな黒で隠密行動に向いているが、明らかに質が良い。多分深層に出ると言う巨大蜘蛛やアラクネからドロップする糸を紡いだ服だろう。手に入れようと思って手に入る素材ではない。


 服の下に着る鎖帷子と鎧下もセットになっている。ただ兜はなく、鉢金になっている。顔は出せと言うことなのだろう。

 勧められて着て見たが思っていた以上に軽く、鎖帷子も動いても音がしない。そういう付与魔法がされているのだと言う。何より材質が魔法銀ミスリルだ。


 ミスリルの鎖帷子など数千万円から軽く億を超えるのを十兵衛は知っていた。と、言うか忍者刀だけでも一本数千万はくだらないだろう。それほどの業物なのは確かだ。


「わ~、すごい! かっこいいよ、十兵衛ちゃん。それにあたしの装備もいい感じ!」


 着替え終わった梨沙が十兵衛のいる部屋に入ってくる。梨沙は魔法の杖、だが打撃武器としても使えるような杖を持っており、白いローブを羽織っている。純白で金と銀の刺繍が入っている。靴は流石にしっかりしたブーツを履いている。頭の装備はない。


 ヘルメットくらいした方が良いのじゃないかと思うが結界魔法の使える梨沙には要らないのかも知れない。

 どちらにせよ梨沙の装備に金が掛かっていない訳がない。当然品質も信頼できるだろう。

 頂いた装備は、十兵衛が思っていたより十倍以上良い物だった。感謝してもしきれない。


「お館様、これほどの装備、ありがとうございます。父に代わり、お礼申し上げます」

「十兵衛くんは固いねぇ。だがいいよ、可愛い娘の為だ。このくらいは親としてさせてくれ。そして娘の我儘に十兵衛くんを付き合わせるんだ。当然命の危険もある。だからこのくらいは当然のことだ。遠慮せず使い倒してくれたまえ。壊れても新しいのを支給するし、メンテナンスも北条のショップに持っていって貰えばやってくれるよう手配して置くから」

「はいっ」


 氏康に十兵衛はしっかりと頭を下げたが梨沙は「わ~、すご~い」と楽しそうにくるくると回っていた。そして梨沙を見る氏康の目は北条家当主の目ではなく、愛娘を見る親の瞳だった。

 梨沙だけでなく、氏康や、梨沙の母親の佳織の為にもしっかりと梨沙を守ろうと十兵衛は誓った。



ハーレム? タグをつけました。ハーレムというわけではありませんが、しばらくは十兵衛と梨沙の純愛模様が続きます。しかし物語の展開上どうしても十兵衛が他の女性、梨沙以外の女性も受け入れる展開になります。純愛だと思ってたのに! って後で怒らないでくださいね。


しかし十兵衛が望んでハーレムを形成する訳ではありません。一応注意として書きました。


かなり先にならないとサブヒロインは登場致しません。多分百話とか超えないとでないかな?笑

応援、☆評価ありがとうございます。続きが読みたい! 面白いと言う方は是非ブクマ、そして☆五つの評価を入れてくださいませ。レビューも大歓迎です。執筆の励みになります((。・ω・)。_ _))ペコリ

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