表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/134

056.十五層への挑戦・零

 :十兵衛くんたちの成長がヤバイ!

 :ね、みんな強くなってるよね。

 :十三層でも安定しているもんね、これ十五層へアタックできると思う。

 :でも十五層へのアタックは最低五日掛かるだろ? 学生には辛いんじゃないかな。時間が取れないよな。夏休みにアタックするんじゃないか?

 :学生の本分は学業だもんなぁ。専業探索者じゃないしな。

 :でも中層で稼いでるなら専業探索者並の収入はあるはずだよな。

 :つ装備代。

 :あぁ、装備代めっちゃ高いもんな。高級車買うレベルだもんな。

 :上位の装備代は東京のタワマン買うレベル。そして十兵衛くんの装備と梨沙ちゃんの装備はそのレベル。

 :っても茜ちゃんと最澄くんの装備も高級車何台も買えるレベルなんだよなぁ。

 :いや、しっかり装備に金掛けない探索者は死ぬから。マジで。

 :それはそう。チーム・暁はそういうとこも信用できる。

 :今日の十兵衛くんの指揮も良かったな。指揮官の才能絶対あると思う。指揮の練習ってどこでしてるんだろうってくらい上手い。

 :間違いない。

 :三人の動き、十兵衛くんが指揮取るようになって確実に連携深まってるもんな。

 :四人で戦う時も後ろに目ついてるの? ってくらいの精度で指揮飛ばしてるもんな。普通後ろから指揮するのに最前線にいながら指揮できるのがおかしい。

 :それな。


「六月の三週の土日と月曜日を休んで十五層までアタックしようと思っているんだけどどうかな」


 十兵衛は梨沙たちが集まったタイミングで提案した。夏休みまで待っていては遅い気がするのだ。既にチーム・暁は十五層まで行けるだけの実力を持っていると十兵衛は判断している。

 故に主戦場を十二、三階層ではなく、十六層以降に移したいと思っているのだ。


 当然主戦場が移れば敵のレベルは跳ね上がる。

 また最澄たちは苦戦するだろう。十兵衛も苦戦するかもしれない。特に十七層はレオですら苦戦していたくらいなのだ。そのレオは今二十層のボスに挑む準備をしていると聞いている。

 十兵衛も親交のあるレオや、日本の上位探索者の動画などはリアルタイムでなくても見るようになっている。やはり上位探索者は隙がなく、強い。

 十兵衛たちでは勝てないだろう強敵を簡単に、もしくは死闘を繰り広げて倒している。


「いいぜ、もう十三層でも安定して戦えるようになっているしな。十兵衛が加わってくれたら十四層、十五層もクリアできると思う」

「私も賛成だわ。やっぱり強敵を相手にしないと腕が鈍る気がするのよね。オークももう弱いものいじめをしている気分になっているもの」

「あたしは十兵衛ちゃんの言う事なら付き合うよ~。雷魔法でバシュッってやっちゃうよ!」


 三人の反応は良かった。故に決行することが決まる。

 三人にダンジョン配信は見ているかと聞いてみると全員しっかり見ていると答えが返って来た。上位勢の配信は欠かさずチェックしていると言う。たまに死んでしまう探索者もいるが、やはりダンジョン配信は探索者にとっても大事なツールなのだ。上位者の動きを見取り稽古できる機会などそうない。だがインフラとしてそれが整備されている。マップも先人が踏破したから買えるのだ。ありがたいことだと思う。


(昨日の配信は良かったな。ギリギリだがしっかりと信念を持って戦い、格上のモンスターを倒していた。重症者もいたがポーションで治っていたしな。彼らの配信は今後も追わせて貰うことにしよう)


 死闘を繰り広げている配信を見ると十兵衛も体が熱くなる。ダンジョン配信が人気なのもわかると言うものだ。梨沙が高校生の頃からハマっていた理由が今更わかった。高校生の時に勧められたのだが十兵衛は断っていた。だが当時から見ていればもっと十兵衛の力になっていたと言う確信がある。

 しかし覆水は盆に返らない。後悔してももう遅いのだ。故に十兵衛は家に帰れば琢磨や静に鍛錬をして貰い、空いた時間は寝るまでダンジョン配信を見る事を習慣にするようにしていた。



 ◇ ◇



 六月の三週目の週末になった。つまり十五層へのアタックの日である。金曜日の夜から潜り、月曜日夜までに十五層をクリアし、十六層の転移球に登録をする。そうすれば十六層から次はアタックすることができる。中層でも後半の探索をすることができるのだ。

 そして十六層で連携を深め、全員を鍛え、夏休みには二十層のボスをクリアする。そして晴れて下層探索者に全員でなる。それが十兵衛のプランだ。


「おや、十兵衛じゃないか。なんか瞳にやる気が漲っているね。本気のダンジョンアタックかい?」

「レオ先輩。チーム・アレクシオンもやる気が漲っていますね」

「わかるかい。これから新しい階層に向かうんだよ」

「それは頑張ってください」


 レオがギルドに居て、十兵衛たちを見つけて声を掛けてきた。十兵衛のやる気が漏れていたようで即座に察知される。当然十兵衛だけではない。残り三人も本気のダンジョンアタックの為にやる気が漲っている。

 だがそれはレオたちも同じだった。チーム・アレクシオンとは別のパーティが二つ一緒にいる。


「十兵衛くんだ、本物初めてみた」

「可愛い」

「いや、超格好いいよね」

「俺たちもチーム・暁に負けてらんねぇと思ってるけどあいつらにはいつか抜かされるって思っちゃうんだよなぁ。配信見てると成長率がえぐい」

「それはわかるわ。でも私たちは無理せずに行きましょう。無理をしたら命を失うのが探索者よ」

「そうだな、領分ってのがある。それは弁えないとな」


 十兵衛たちの姿を見て面識のあるアレクシオン以外の探索者が十兵衛たちに対して話している。十兵衛は耳も良いのでこそこそ話しているが全部聞こえている。

 彼らも十兵衛たちの配信を見、十兵衛たちの強さ、成長を見守ってくれているらしい。有り難い限りである。


 配信のコメントは流れが早くて追えないが、投げ銭をしてくれる人のコメントは目立つ。そして結構有用なアドバイスが多かったりするのだ。おそらく先輩の探索者たちなのだろう。

 一般のファンももちろんいるが、数十万人も配信を見ている人が居れば上位の探索者も当然混じっている。そして十兵衛たちに足りていない部分を指摘してくれるのだ。


(先輩たちに負けないように俺達も頑張らないとな。だが確かに領分と言うのはある。無理はいけない。最澄も茜も、当然梨沙も失う訳にはいかない)


 十兵衛は彼らの言葉を聞いて改めて無理をさせないつもりだった。

 だが十兵衛の基準は極めて高く、十兵衛の無理をさせないは世間一般でスパルタであると言う事には気付かなかった。


「じゃぁ私たちは行くよ。十兵衛たちも十五層を目指すんだろう? オークソルジャーが十五層には出てくる。ワンランク上の敵だからそれだけは気をつけるんだよ」

「はい、わかりました。そちらもお気をつけて」

「あぁ、必ずオーガたちをぶっ倒して下層探索者になってみせるさ。探索は私の本領が発揮できる部分だからね。大剣を存分に振るえる場所なんてダンジョン以外にはない。それで金が入って人も助けられる。やらない理由がないね」


 レオの探索をやる理由は単純だった。だがそれが探索者というものだ。金の為。人の為。国の為。個人の趣味嗜好を満たす為。それぞれだが、それでも探索は国の為になっている。探索者が減れば、間引きができていなければダンジョンは氾濫するのだ。

 どこかの大都市が、ダンジョンの氾濫で万を超える死者を出す。そんな事態を引き起こしてはならない。特に新宿ダンジョンが氾濫すれば百万を超える一般人が死ぬだろう。


(よし、気合が入った)


 レオと話して十兵衛は使命に燃えた。レオも十兵衛と話して気合が入った表情をしていた。


「下で待っているよ」

「はいっ」


 レオは十兵衛たちが当然のように下層探索者になると信じてくれていた。そして十兵衛もそれが仲間と共に行けばできると信じている。故にしっかりと声に出して返事をした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ