049.パーティメンバーの成長
とあるスレにて。
:今日の十兵衛くんヤバない。
:いやマジやばかった。
:ブラックゴブリン・ジェネラルをソロで倒すとかマジ有り得ない。
:下層に出てくるゴブリンキングと同格なんだろ。それを無傷とか。
:俺二窓してレオさんの戦いも見てたけど十兵衛くんから目離せなくてそっちばっかり見てた。
:いや、ホント十兵衛くんがまだ中層始めにいるのが信じられない。
:ソロで十五層とか行けるんじゃないかな。
:行けそうだよね。でもパーティメンバーと和気藹々と探索してる十兵衛くんも好き。
:わかる。
:ソロ探索者はやっぱ孤高って感じだけど、十兵衛くんは孤高も似合いそうなんだよなぁ。
:普通に見ていて格好いいよな。
:スキル・忍術マジ欲しい。練習したらできるようになるのかな。
:現代忍者の末裔は結構居るけど忍術持ちってそう居ないらしいぞ。激レア。
:マジか。
:調べたら日本に十人も居ないって。で、海外で忍術に憧れてガチ修行してスキル得たのが三人。まぁ隠してる人もいるんだろうけど。
:ってことは世界で十人ちょいしか持ってない激レアスキルのプリマヴェーラってこと? それは強いわ。
:ってかそれもうユニークスキルなんよ。順調にレベルアップしていけば日本の最高到達階層を更新するとかマジでやりかねない。
:それな。むしろ世界の最高到達階層を塗り替えて欲しい。日本人探索者が世界一って言われる世界線を見たい。そして十兵衛くんならやり遂げられると信じてる。応援しかできないけど……。
:同意。
:マジ同意。
:毎回投げ銭してるけど、十兵衛くんの装備ってめちゃいい奴だから装備代にすらならないんだよな。
:アレ以上の装備はそうそうねぇよ。
:梨沙ちゃんといい本当いい装備してるよな。見ればわかるレベル。
:素人でも生粋の職人が作ったってわかるもんな。それに素材が最高級なのも見ればわかる。
:それな。
◇ ◇
「最澄くん、右からハイコボルトアサシンが狙っているよ」
「うおっ、ありがとう。梨沙。くそっ、アサシンの気配隠蔽能力高すぎなんだよ! 普通のハイゴブリンとかハイコボルトの見分けは付くようになってきたんだけどな」
「気をつけろ。アサシンのナイフには毒が塗ってあるぞ」
「毒なら私が治せるよ~」
「治している間に茜がソロになるだろ。ダメだそれじゃ。全滅するぞ」
「そっか~、難しいね」
十兵衛たちはゴブリンキング討伐が終わった翌週の水曜日の午後に十一階層に潜って修行を続けていた。
と、言っても十兵衛は助言だけで手は出していない。危険が迫って居る時は手裏剣などで補助はするが基本は三人で戦って貰っている。
梨沙の雷魔法はまだ実戦で使えるレベルではない。だが茜がスキル〈剣豪〉を得た事で攻撃力は格段に上がっていた。
「目の前の相手に火矢を射つのは慣れてきているからそのまま頑張れ最澄」
「おうっ」
「スキル〈剣豪〉本当に凄いわね。十兵衛くん本当にありがとう!」
茜にスキルオーブを渡した時に茜はフリーズしたくらいだ。そのくらいレア度が高い物なのである。剣術使いには垂涎のスキルだ。ちなみにスキル〈剣豪〉の上には〈剣聖〉があり、その上に〈剣神〉がある。〈剣豪〉自体激レアスキルではあるが、上には上があるのだ。
薙刀はどちらかと言えば槍なので茜はスキル〈槍術〉を持っているが今は太刀を振るっている。
(俺の忍術スキルもおそらく上位スキルになっているんだよな)
十兵衛は鑑定を受けていないがスキル忍術が進化した感覚がある。空間忍術は一発使うだけでヘロヘロになる筈だったが、二発ブラックゴブリン・ジェネラルとの戦いでは使えた。故に魔力が増えたのか、レベルアップの恩恵なのか、スキルが進化したのだと思っている。
どのみち鑑定士に見てもらう気はないので関係はない。少なくとも空間忍術が二発以上撃てると言うのは十兵衛に取ってはこの上なく福音だ。
風魔小太郎の名を襲名する為には空間忍術の習得は必須だ。そういう意味でも十兵衛は小太郎の名に値する忍者に足を掛けられたと言う証左だ。一つ、父親に近づけたと言う成果があり、それだけでもダンジョン探索者になって良かったと思える。
(このメンバーで深層まで行きたいな。だが焦りは禁物だ。誰かを失うなんて考えられない。しっかり鍛えないとな)
十兵衛はそう思いながら三人の奮闘をいつでも援護できる態勢で見ていた。
◇ ◇
:最澄くんの配信来た!
:いや、最澄くんも強いよな。もう十一階層では安定してるし。
:火魔法持ちってのが強いよな。目の前の相手に魔法ぶっぱすればいいだけだし。
:サブで魔法持ちはマジ強い。もちろん本職の魔法使いには敵わないけど。
:ってか最澄くんのパーティは魔法持ちが二人居るんだよな。つよつよ。
:恵まれてるよな。俺古参だけど前のパーティより今のパーティのが絶対いい。
:最澄くんの元パーティメンバーも他の地域のダンジョンで頑張ってるけどね。
:俺も見てる。でも十層超えられてないんだよな。
:いや、それが普通だって。十層の壁ってめちゃ厚いんだぞ。最澄くんたち見てるとそうは思えないけど。
:十兵衛くんの存在が強すぎなんだよなぁ。
:最近指揮に回ってるけど、その指揮が完璧なんだよな。
:ね、どんどん連携うまくなってる。これで十兵衛くんが戦闘に加入したら少なくとも十二層までは余裕でクリアできるよな。
:学生だから毎日潜れないってのはあるよな。
:こればっかりはな~。学生の本分は学業だって言われたらそれはそうってなる。
:それはそう。
:でも最澄くんたちくらい稼げるのなら専業探索者になってもいいと思うけどね。
:でもレオさんとか学生やりながらめちゃ稼いでるから、チーム・アレクシオンみたいなスタイルを目指してるんじゃないかな。
:多分そうだね。
:この前のゴブリンキング戦でもしっかりゴブリン安定して狩ってたもんな。九層くらいの相手なら余裕あったよね。
:梨沙ちゃんがレオさんを助けたの痺れた。
:結界魔法って激レアなんだよな。俺も欲しい!
:いや、みんな欲しいから。治癒魔法と結界魔法。それに雷魔法とか梨沙ちゃんはマジ最強の魔法使い道爆進中だから。
:そうだな、梨沙ちゃん最強魔法使いになれる素質あるもんな。魔力の扱いうまいし。
:最澄くんが火魔法使った! めっちゃ精度上がってる。ちゃんと練習してるのがわかるのが嬉しいよね。
:うん、私最澄くん推しだけど、やっぱり格好いい。
:ってかチーム・暁は全員格好いい。
:それは間違いない。誰のアカウントでも見ちゃうもん。
「今日はこのくらいにしよう。スタミナも緊張感も切れてきただろ?」
「あぁ、そうだな。もう遅い時間だもんな。やっぱ平日はあまり時間取れないのが辛いな」
「そうね、もっとスキル〈剣豪〉に慣れたいわ」
「あたしは雷魔法をもっと使えるようになりたい!」
十兵衛は皆の意見を聞きながら肩を竦めた。
「気持ちはわかるが今日は終わりだ。金曜日の夜はレオ先輩主催のお疲れ会だ。その後の土日はしっかり潜ろう」
「あぁ、わかった」
「わかったよ~」
「えぇ、そこでしっかり鍛えることにするわ」
同意も得られたところで十兵衛たちはダンジョンを後にする。帰りは十兵衛がエンカウントを処理するようにしてレベルアップを図っている。だが十一階層の敵ではもう十兵衛はレベルアップしないような気さえする。
おそらくではあるがブラックゴブリン・ジェネラルを倒したことで大幅にレベルアップしたのだ。故にもう十一階層は十兵衛に取っては適正階層とは言えなくなってしまっている。
(仲間の成長を待つべきか、連休を使って十五階層まで踏破してしまうか迷う所だな)
十五階層を超えれば猪頭鬼がたくさん出てくるのだ。そこでパーティメンバーを鍛え、パーティ全体のレベルアップを図りたいところだ。
十兵衛はどこかで全員で月曜日に大学を休んで土日と含めて三日で十五階層まで突破する案を考え出した。




