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ヌポポという妖精

世界樹の苗木をどうしたら良いか悩んでいる。本当なら、地植えしたいのだがどこに植えれば良いか。

森の中に植えるにしても、こんなに弱々しい若木では直ぐに動物や、魔物に踏み荒らされてしまいそうだ。仕方なくおばば様に頼んで、コロニーの真ん中にある皆の憩いの林に植え、面倒を見て貰っている。


僕は苗木に付いていた赤い実を手に取って、食べようかどうしようか迷っていた。

実を見て考えていると、実の表面にいも虫が、ヒョコッと出てきた。うぇ!虫食いか!

見ている間に芋虫はワシャワシャと音を立てて実を食べてしまった。それから、ゲップをした。こんな小さな体のどこに入ったのか。種まで食べてしまったのか。

不思議な芋虫をじっと見てみる。芋虫も僕を見てそれから『ヌポ、ポ』と、言った。

いや、声では無く僕に念話で。


彼は、彼女か?兎に角、ヌポポは、妖精だと言うのだ。

精霊は木から離れられないのでは?妖精は?語り部の話では,そう言うことになっていたはずだ。

ヌポポとは意思の疎通が出来る。僕は聞いてみた。

「君は、木から離れていても良いのかい?」「ヌポッ」良いらしい。いや、声が出せるんかい!

ヌポポは、「ヌポ」としか言えないが、言いたいことは伝わった。

どうやら、妖精はマナを木から受取って生きていたらしい。僕のマナでも大丈夫だと言った。つまり僕がヌポポの食い物か?ヌポポは,常に僕にくっ付いて居なければだめらしいので、僕の髪の毛の中に何時も居る。むずがゆい。あまり、動かないで貰いたい。


トム兄とヨウゼフにヌポポを紹介すると、生れて初めて見る妖精に対して、

「なんか、微妙っすね」「・・・そうだな」

と言う感想を述べた。妖精に対して,それなりの想像をしていたがこんな者なのか。只の芋虫にしか見えないものな。

ヌポポは生れたばかりの妖精で、まだ、なんの力も無い。

行く行くは、立派に大きくなって、僕の助けになる。と言っていた。

本当か?只の寄生虫にしか見えないが。

        ☆

優しいお姉さんと、しっぽりしようとすると、ヌポポがひょこんと出てくる。

彼女がビックリして叫ぶ。

「チョットー!む、虫、虫が!」

それきり優しかったお姉さんは、僕と遊んでくれなくなった。

クソッ!こいつ。疫病神か!今もヌポポは僕の髪の中で、すやすや眠っている。

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