魔境調査2
川を目指しながら、西側を探索している。
天眼で診れば、川があるのが分かる。そちらに向かいながら、ゆっくり周りを観察しながら進んでいく。
マナが少ないせいでこの,新地は、魔物が少ないが、偶に小さいのが出てくる。
「お、リザード。」10個体固まっているな。今湧いたのか。
見た目、只のトカゲだが、魔物だ。動物と似ているが、湧いてでてくる。
これが特殊個体になればやっかいだ、人型になる。が、此は簡単に倒せる。
魔物を倒しながら川に着いた。川は、濁っていた。鑑定で見てもスライムは見つからない。
困ったな。便所どうするかな。そろそろ匂ってきた。埋め戻してまた別の場所に造るか。
西端は直ぐ海になった。この新地は半島のような形だ東はもう少し広くなっている。
山側に向かっていくと、なだらかに上がっていき、山は突然険しく、まるで崖のようにそびえたっているのだ。クルス州とは違う地形だ。標高も低い。しかしこちら側からは天眼で診ても山は見えない。魔境のせいで見えないのだ。
「何も,無いっすね。」「荒野だな」
ずっと此処で観察しているが、あの緑の魔境から此方には魔物が来ない。まるで、土地を分断する役目の帯のようだ。
西の探索は一週間で終わった。明日からは,東に行ってみよう。
僕達は拠点を東にもう一つ造ることにした。東側は、西側よりかなり広い。いちいち転移しても良いが、もう少し環境の良いところに欲しい。
天眼でグルリと診る。ずっと東の端が魔境になっていた。山側の魔境とは違う薄い色が広がっていて、その先が見えない。此処も閉じている場所なのか。
何段階にも魔境の帯で,僕達の住む場所を閉じ込めているように感じた。
あの魔境の先は、精霊族の土地に繋がっているのか、それとも未だ魔境の帯があるのだろうか。
川は、3日後に見付かった。スライムも居る川だ。同時に廃墟となった街も見付かった。
此処に拠点を造ることにする。丁度良い廃墟がある。まだ使えそうな立派な、石造りの建物だ。
☆
「おい。ヌポポ、風呂に入るから、少しの間離れていてくれ。」
ヌポポは、この頃おとなしい。ずっと寝てばかりだ。どこか具合でも悪いのだろうか。
「ヌポ」
頭からヌポポを取り出すと、ヌポポが、変な形になっていた。まるでさなぎだ。
「ど、どうした!ヌポポ、。若しかして,あれか。変態するのか?」『ヌ・ポ』
1回目の変態だそうだ。何度もするのか。芋虫からさなぎ、じゃあ次はチョウチョ?この形になればマナは暫く持つそうだ。ふーん。本当に虫なんだな。しゃべる虫。
僕はヌポポ用のかごを見繕って、其処にヌポポを入れてあげた。
「ヌポポは、大丈夫っすか?」
「んー多分。寝てれば良いみたいだからな。もう直ぐまたうるさくなるサ。」
「兄貴、此処は大きな街だったみたいですね。人族の街ですかね。」
「人族では無いな。この、造りは獣人族だろう。円形になっているだろう。」
「そうですね。もしかして、あの八百年も前にあった災害、あれでこうなったんですかね」
「違うな。こうなったのはダンジョンのせいだと思う。つい百年ぐらい前だろう。大きいダンジョンコアがあったから。此処は災害の時に分断された土地だと思う。歴史書には消えた、とされた土地。」
艀があるから、海の向こうに国があるのかも知れない。此処は港町だった。余所との交易で成り立っていたのかも知れない。僕達の世界とは,また違った,小さな世界だったのか?
此処が人族の町だったら、古い本があったかも知れないが、多分無いだろう。
ここで5日探索をしたがめぼしい物はなかった。さあ帰ろうとなったとき。彼女が現れた。