ミミの悩み
「トト。好きな人いる?」「ん。いるよ。」
「え!だ、誰?まさか、ヨウゼフ?」
「うん。好きだよ。あと、ママとパパと・・」
「そんなのじゃ無くて!好きになった、男!付き合いたい人!」「えーっ」
だめだ。トトは、まだお子ちゃまだった。あたしと、同い年なのに,精神年齢が低すぎる。
もう16歳になるのに、未だ、経験が無い。みんな、経験済みなのに。子供だって産んだ子が居るのに。
ヨウゼフは何故あたしと付き合えないのかな。何人か、付き合っているらしいのに。
結婚してと言ってるわけじゃあない。ただ、一緒にいて、×××するだけで良いのに。
初めは、ヨウゼフから付き合いたいって言ってきたくせに。馬鹿!馬鹿!馬鹿!
この頃、ミミに元気が無い。
ヨウゼフに、無視されているらしい。以前はそれなりに、丁寧に扱っていたのに、完全に無表情になって、返事も返さないらしい。ヨウゼフよ、凄い代わり様だ。多分、魔境に行く為にミミ対策をしているのだろう。僕はノータッチ。勝手にやってくれ。
コロニーに来て、三つ子に癒やされている。もう、人の子だ。いや前からそうだが、可愛いモフモフでは無くなって、普通のやんちゃな悪ガキ3人組になっている。でも、此は此で,面白い。自分の子供の頃を思い出し、僕もガキ大将に戻って、先頭に立って、遊んでいる。
「何してんだい。お前さんは、自分が子供になっちまって。お前さんの子も、どっかに居るんじゃあ無いのかい」
僕は、其れは無いと思っている。聞くところによると、マナの量が離れすぎると,子供が出来ない。と聞いた。僕のマナは別次元だ。多分一生子供には恵まれないだろう。
その代わり僕には姪や甥がいる。まだ増えるかも知れない。可愛いモフモフもっと生んでくれ!
おばば様にお世話を御願いしていた世界樹の様子を見に来た。
短い間なのに随分成長していた。もう周りに薄く癒やしの効果が現れている。木には防御も効いている。
「この木は、精霊樹みたいだねえ。」
おばば様もそんなことを思っていたのか。もし、またあの精霊族がこの木を見たら、どうするだろう。
「この木が此処に来てから、周りの木が無くなっていくんだ。」
「え!其れは困ったことじゃあ無いですか。僕は大変な事を御願いしてしまった。」
「そうじゃない。それでいいのさ。精霊樹は周りのマナを吸いとる。じゃが、その代わり綺麗にして,マナを吹き出すのさ。じゃから、これでいいんだよ。子供が元気に大きくなる。」
「・・・」
「後、300年もしたら、ここはこの木でいっぱいになっちまうがね」
僕は、塔に帰ってからこの事をヨウゼフに話して聞かせた。
「じゃあ、あの木は精霊樹ってことですか?」
「そうかも知れない。あれが数千年もしたら,この州は無くなって居るかもな。」
「そうなればもっと遠くまで、新地を見付けに行けば良いだけじゃあ無いっすか。あの木があれば魔物は寄ってこないんですよね」
「ヨウゼフ。ミミとはどうなっている。」
「何も。離れていてくれればそれでいいんで。」
「なあ、・・・ミミはもう大人だ。恋人になっても良いんじゃあないか?」
ヨウゼフはギョッとして僕を見た。
叔父にあるまじき言動だが、獣人の場合こっちの方が良いのでは、とこの頃思っている。
「もし、そうなって、益々離れなくなったら、困ります・・」
人族の国でこんなことを言ったら、凄いことになるが、獣人は,意外とサバサバしている。
「大丈夫だと思うぞ。」
後日、話を聞いてほっとした。上手くいったようだ。