ヨウゼフとの約束
ヨウゼフが何時ものように僕の塔にやってきた。
「兄貴、おはようございます。今日は、おかゆを作りりました。」
勝手に入ってきて、テーブルにおかゆやら、スクランブルした卵を乗せている。サラダまで付いている。
お前は主婦か。かいがいしく僕の世話を焼きたがるのは、何でなんだろうな。この頃、特に機嫌取りが激しくなった。僕は、どうやってヨウゼフに話そうかと、悶々としながら、上の空で、朝飯をを喰った。
「ヨウゼフ、あのな・・」
「分かってます。俺も付いていきますんで。置いていかないでください。」
クソッ。やっぱりばれていたか。きっと、白熊オレオがこの間の、長期休暇のことをこいつに確認でもしたんだろう。仕方が無い。正直に話すしかない。
「ミミが付いてくると困るんだ」
「大丈夫。巻いちゃって、行きましょう。」「だめだ」
「どうしてですか?兄貴の転移なら簡単ですよ。巻くのなんて」
「直ぐ追いかけてくるサ。あいつはしつこい。それに、騒がれると困る。お前が此処に居れば,あいつもおとなしくしている」「・・・・」
「ヨウゼフ。約束する。必ずお前も連れて行ってやる。だが、今じゃあ無い。お前が光魔法を使えるようになったらまた一緒に行こう。この間、教えたことを,何度も練習するんだ。あれは魔物を寄せ付けない魔法だ。あの魔法が使えるようになれば,危険は殆ど無い。」
「兄貴・・。分かりました。でも、直ぐ帰ってきてください。おれ、もう直ぐ出来る気がするんで。」
「分かった。」
☆
僕は旅立った。
この間と同じだ。転移で、一瞬に魔境との境に着く。
だが今回は剣は持たない。邪魔になるからだ。光の盾と念じる。そして,剛脚のスキルを使い身体強化も使う。さあ出発だ。僕は一気に駆出した。
何時間か、十時間くらいか?何か通り抜けた。目の前には荒野が広がっていた。僕はてっきり精霊族の国に行けると思っていたのに。当てが外れてしまった。取り敢えず、天眼を開いてみる。其処は広い荒野がありその先は海だった。
振り返って、今来た方を見てみると、濃い緑のマナが漂って居た。
グルリと見まわし誰も居ないのを確認した。今までずっと僕の髪の毛の中に潜んでいた、ヌポポが、出てきて、此処に大きいコアがある。といった。
僕はもっと範囲を広げて見た。
あのレモートの時と同じなのか?確かに、コアの反応があった。
此処は吸い尽くされた、場所か。あの、北の砂漠のように。違う人の営みがあったはずだ。
僕は、コアの近くに転移した。すると其処には巨大だったはずのダンジョンがあった。今は直ぐにも壊れそうになっていた。だがコアの反応があった。
ぼくのマナを感じたのだろう。なんとしても、喰いたい。と言う意思が伝わってきた。
だったら、此方から行ってやろう。コアの真ん前に転移し、天眼で鑑定をかけた。
ダンジョンコア特大・・・マナ40(枯渇)
もう、瀕死状態だな。周りを吸い尽くして自らも枯れてしまっている。
僕は拳で、ゴツンと叩きわった。
すると周りの空気が変化した。此処は復活出来ないのではないか?あまりにも、吸い尽くされている。
僕は此処に仮の小屋を建てて、様子を見ることにした。1カ月たっても変わらなかったが、魔境のマナがやや薄まった。取り敢えずいったん帰るか。僕は転移で塔に帰った。