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プロローグ
その昔、精霊の大樹あり
精霊の母体、精霊のゆりかご、精霊の宿り木、精霊の墓場
大樹の根はこの地に余すこと無く張り巡らされて力強く
緑なす豊穣の大地は、精泉,精火、精光に満たされていた
精霊は穢れ無き魂に宿り,言霊を齎し
数多の祝福が皆々を満たしていた
在るとき,人の子が降りてきた
人の子は、言葉を持たず,眼には怒りが灯っていた
人の子には祝福が与えられず、人々は蔑んだ
人の子には,不思議な力があったが、誰もその力を知らなかった
人の子の力によって
人々は恐れ、怒り、憎み,妬み、嫉み,争い、悲しみ、
人々は悪行に塗れ,世界は穢れた
精霊は,悲しみ嘆き俯き、御隠れになった
世界は分かたれ,縮み、歪み、穢れた
穢れ無き物達は寄り集い,此を誅し、此を焼き、此を埋めた