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廊下
「Japan-three, Naru-Shiono」
手が背に触れる。
「那琉」
眼をひらく。
「那琉 行こう」
スカートに寄った皺を撫でる。
「Yes」
これは、ある高校生の、あるゲームの物語。
*******
「那琉ー何番だったっけ?」
中三、冬。
「六十六」
「桁すら違った、絶対教室違うじゃん。はい終わりですさようなら」
「教室違ったって結果は変わらないよ」
「安心度が違うの、精神統一だよ精神統一」
綺麗に整った、座席の高い椅子の座り心地が悪い。自分もここに座るのだろうか、椅子は中学校の方が良かったなあ、などとつまらないことを考えながら由菜と会話していると、暫くして、やはり背の高い男の先生が、忙しなく扉を開けて入ってきた。
「受験番号七十番までの者は、係の指示に従い速やかに三〇一教室へ移動してください」
「じゃあね、絶対受かろう」
手を振る由菜に応えつつ、教室を出た。