Ⅴ 飛礫の闇と学園の闇
昼休みの光景。
「いやー、6時間も勉強とかしてられないわぁ。それが50分とかー」
昼休みに俺の隣で喚くのは、同居人の蒼汰。まったく…。こいつはいつまでたってもうるさい。
「じゃあお前もねりゃいいだろ」
「そうもいかねーだろー。4回しかテストないってことは、テストの成績が結構反映されるってことだぞ?お前いっつも寝てるけど、大丈夫なのかよ?」
「あぁ」
「お前の言葉にはなんか説得力があんだよなー」
「じゃあ寝かせろ」
「それはダメだな」
なんだこいつ…。
「お~い、2人とも~。一緒にご飯食べよ~」
明るい声で話しかけてくるのは、七瀬 才花だ。どうやら初日に蒼汰と仲良くなったらしいが、うっとおしいことに俺にも声をかけてくる。うるさい奴が1人増えた。
「こいつ寝る寝るうるさくてさー。連れてくわー」
「ついでに杏奈もいるよ~」
あいつはついでなのか…。
「だってさ。ほら、観念していくぞ」
「へーい…」
ーーー学食にてーーー
「2人とも遅い!!」
どうやら杏奈は怒っているようだ。
「ねみぃもんなねみぃんだからしゃーねーだろ…。ふぁぁぁあ…」
「そこ!あくびしない!女の子とご飯食べれる機会なんてめったにないんだからね!」
自分で言うかね…。
「うっさいわね!いいから食べるの!いただきます!」
「「いただきまーす」」
「…いただきます」
女子2人は食べ始めるや否や、互いのおかずについてほめあっている。何が楽しいんだろうか…?ちなみに俺の弁当は、蒼汰の手作り弁当である。家事に関してはできなくもないが、めんどくさいし、蒼汰のほうが上手なので、この辺は頭が上がらない。
「同じ弁当なの?2人とも」
「そうだぜ!俺が飛礫の分も作ってやってる。なー飛礫?」
「…あぁ」
こいつ…!うざい…!
「へ~。蒼汰って女子力高いんだね!」
「まぁなー。家事全般は基本できるぞ」
「勉強はできんがな」
「なっ!そんな言うなら次のテストで点数勝負な!」
「いいぞ。お前は勝てんがな」
「言っとけ!」
「はいはい。子供みたいな喧嘩はよそでしてくれる?あとそこ!めんどくさい女じゃないよ私!」
うげっ…心読んでんじゃねぇか…。
「そうだ。実技の科目何にした~?3種類の中から選ぶんだよね?」
「俺は剣技だなー。才花は?」
「私は、魔法かな~。魔法だけ適正〇だったんだよね~」
「おお、やるなぁ。杏奈はどうなんだ?」
「私も魔法だよ。ちょっと特殊だけど」
「特殊って?」
「聞いたことあるかな。スターク魔法ってやつ」
「あぁ、なんかバフかけてくれるってやつか?」
「そうそう。ドイツ語で”強い”って意味らしくて、自分にも味方にもかけられるんだって。応用すればデバフもできるんだとか」
「へー。サポート要員って感じか」
「そんな感じ。そういえば、飛礫は?」
「俺か?俺はこいつと同じ剣技だ」
俺は蒼汰を指差しながら言う。
「そうなんだよ!しかもこいつ、全部適正〇なんだぜ!やばくね?」
「ええっ!?全部〇!?」
「それ本当ならだいぶすごいね」
「知らん。別に授業に出る気はないし、適正にも興味はない」
「はへぇ~。これが強者の余裕って感じですか~」
煽るように杏奈が言ってくるので、少しむかつくが、俺は無視を決め込む。
「でも、授業にでないならそのうちおい越しちゃうね~」
「勝手に言っとけ。どうせ俺は抜けん」
「そうなんだ~」
俺に勝つのは人間では不可能だ。
「そろそろもどろっか」
「そうだね~」
女子も食べ終わったということで教室に戻るのだった。
ーーー放課後ーーー
「よーし、俺は自主練室で少し自主練してから帰るわー」
「あいよ」
じゃあ一人で帰りますかね…。
正門を出て少し行ったあたりで妙な気配を感じる。10人ほどか。なめられたもんだな。
俺は人気のない路地裏に行って話し始める。
「出て来いよ。さっきから気配消せてねぇんだよ。その程度で俺に勝つつもりか?」
「なんだ…人相も不明、体格も不明、素性も不明。わかってるのは、身長と性別だけ。どんな奴かと思えば、こんなガキか」
「さぁ、そんなガキと”殺し合い”をしようじゃないの」
ぱちん!
襲ってきた10人はすべて骸にしてやった。1秒もあればこんな奴らはかたずく。口ほどにもない。
路地裏から出ようとしたとき、今度は胸糞わりぃもんが目に飛び込む。
「ほーん。何してるかと思えば幹部勢ですか。暇なんですねぇ」
どうやら頭から血を流しているのが2年の普通生徒で、5人でリンチにしてるのが2年の幹部らしい。なるほどな…。
「んだてめぇ。1年の坊主か?こうなりたくなきゃ、素直に立ち去るんだな」
「あれっすか?弱いものいじめってやつっすか?学園でやるとばれますもんねぇ」
「次はねぇぞ」
「なんすか?今度は1年すか?幹部さんが。そんな程度なんすねー」
俺が煽るように言ってやれば2年の幹部はみな顔を真っ赤に染めて、まるでゆでたこのようだ。
「てめぇら。やるぞ」
「おー怖い怖い」
1人いるな…。まぁ、どうせ見切れないか。
ぱちん…
「とりあえずこんなもんか」
幹部は全員気絶させておいた。峰打ちだから死んではないだろう。
「大丈夫っすか?先輩」
「あぁ、うん…ありがとう」
「そっすか。じゃ、俺もう行きますね」
「え?待って、君の名前は?その制服、栄勝学園だよね」
「…1年、鷹栖 飛礫っす」
「鷹栖君ね。少しお願い事があるんだけど、いいかな?」
「?なんすか?」
「あのね…僕を強くしてほしいんだ」
斜め45度上の話が飛んできた。
「今日は私だね~。じゃ、いっくよ~。名前は七瀬 才花。好きなものは、はちみつだね。能力は、”魔力を底上げする”能力だね。そのうち使うよ~。以上!」
作者:「どうもでーす」