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カモ理論~帰り道が同じ友達に養われていた件~  作者: シミネ
ちらつく深淵(ストーカー)の影
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まさかの義妹オチ

先輩が「予想の範疇でしたので」とこちらにだけ聞こえるようなトーンで呟き、机の上に適当に放置していた昔のスマホを取ってくる。


「はい孝充君、点滅されてますよ? もう使う理由もないただ私の心配を加速させるだけの年期入りのポンコツクソッタレ代物になにか御用でもありましたか?」

「すがすがしい毒つきっぷりだな……いや、そもそもここ数週間すっかり頭から抜けてたけど」


第一、もう使う理由がない。

唯一余ってたコンセントに繋がれた昔のコンセントから誰かが勝手に充電させたってことは明白。

ストーカー(二号)が勝手に入って充電させたのか?


「指紋認証懐かしいですわねーってルネ届いてますよ」


俺の指を拝借してロック解錠させたストーカー一号ごと華生ちゃんがルネをタップする。

元の番号は既に抹消させといた。

ルネの仕様上、別の番号で引き継ぐなり同じ番号で別のIDを作らない限り普通に使い続けられる。


「へ……」

「そういうことね……」

「?」


明らかに何かに悟ったリアクションが携帯を覗く二人から発せられていた。

何か手がかりが掴めたのか?


「直接見たらわかりますよ」

「ご覧ください孝充様」

「どれどれ」


恭しくスマホが渡される。

画面に浮かぶルネのチャットルームに目をやると。


「なっ……」


【この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者この裏切り者】


【ワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤルワカラセテヤル】


信じられないほどの呪詛が送り付けられていた。

ストーカーから来たルネだった。容易に想像できる文字の羅列がずっしりと書かれている。

だが俺が驚いているポイントはそこではない。


西園寺(さいおんじ)(れい)って……」

「孝充様の妹なのよね?」


左上のチャットの送り主の欄に西園寺玲。俺の妹の名前がしっかり記入されている。

華生ちゃんの通り、俺の妹である。

血を分けない妹。つまり義妹ではあるが、ひょんなことから仲は最悪を走る一方のみ。

家族チャットがあった時、同じチャットに居合わせたくらいだ。


「ああ……俺の妹であってるよ」

「ってことはストーカーの正体は暫定的に孝充君の妹になりますが」

「壁に書かれている文字とチャットで印象がまるで違いますわね、片方はストーカーの典型例で片方は呪詛吐きまくり……」

「そこが気がかりっていうか受け止められないっていうか」

「はっきりしない物言い」

「しゃーないだろ」


人間、突然の出来事に遭遇すると頭がバグって語彙力ザコザコになるって言うけど、的を射る言葉だと思う。

現に俺がそうだ。思考回路がぐちゃぐちゃになってまとめて言葉に出せてない。

どうしても理解できないことが一つ。


「俺ん家の事情、何となく把握してるだろ? 二人とも」


頷く二人にそのまま言葉を紡いていく。


「義妹ばっか肩贔屓する両親に、当の義妹というやらは調子にのり続ける。本気で殴り飛ばそうとしたこともあるくらいだ」


度を越したメスガキムーブなんて現実では死ぬほどうざいだけだ。

義妹にドキドキする描写なんか所詮他人だからだろう。裏を返せば血の繋がってない他人から煽りやら迷惑行為の数々を被る上に同じ屋根の下で暮らすことになる。

殺意が湧いても何ら不思議ではない。


「つまり呪われることはあれど愛される理由はないと」

「ざっくり言えばそうなるかな」

「西園寺玲……本人に訊ねてみない限り心中を察することはできませんが、少なくとも愛情ではない可能性は高いと伺います」

「代わりに行ってくれて助かる。ストーカーの動機って愛情一本ではないだろ?」


Vtuberやら声優やらのストーカー被害が表に出やすくなった昨今、ストーカー=愛情が故にという認識が浸透しつつあるが、元々ストーカーの怖いところはそこではない。

恨みによるストーキング、つまり行き過ぎた感情のはけ口にされかねないのがストーカーが恐れられる理由だ。


「恨むが故のストーキング。ですわね、これは」

「それが妥当でしょう」


得心がいったようにうんうんと頷く愛良先輩と華生ちゃん。

ストーカー被害に直面した際に漂わせる重苦しい空気がやっと顔を覗かせるが求めていた物とは違う。


「恋のライバルが現れた時特有の緊迫感や主人公君が取られちゃうわ!って恋心に自覚する甘酸っぱいやつが欲しかったわ」

「それな……」


華生ちゃん同様、青春ならではのイベントを内心期待しているところがどこかにあったことは否定できない。

あいにく俺のストーカー物語は甘酸っぱさではなく肌がピリつくシリアス系に入ったみたいだ。


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