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カモ理論~帰り道が同じ友達に養われていた件~  作者: シミネ
カモという沼から抜け出せなくなったらしい
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自称カモとガチ恋はどうやら同じ生息しているらしい

「もしもし、聞こえますか? わたしわたし」

「今ストーキング対策してますので間に合ってます」


ピッ。

即座にスマホが震え出したので再び青ボタンに指添えする。


「わたし、めらーさん。いまあなたのへやのてんじょうよ」

「いきなり天井に貼り付けちゃって追い出されない? 大丈夫?先輩」

「め・ら・♡」

「……愛良先輩」

「よろしい♪」


よくてきまちた~と、スピーカー越しからふざけたネコナデ声がする。

すっかり定着したネタを消化しつつ、帰り道に思いついたのを聞いてみることに。


「ストーカーだけどさ」

「はい。私ではありませんよ?」

「正直に話したら願いひとつくらいやぶさかではないぜー?」


ぶるると耳元のスマホがバイブする。

先輩は未だえーと、その、と単語覚えたての赤ちゃんみたいになってる。

今のうちにスピーカーモードに変えて、通知を確認。


『わ、わたくしも全部さらけ出しましたのでご褒美を、その』


「マジで盗聴器とカメラあったのかよ……」


予想通りでびっくりというか、返って安心というか。

複雑だな……はあ……。


「ひゃぁあごめんなさい華生ちゃんに音声データ貰おうとしましたゆるひてぇ!」

「だからどうして毎回ガチ恋目線になってんの」

「先輩の話じゃないよ。華生ちゃんの話」

「マジで盗撮と盗聴、リアルタイムでされてるっぽい」

「電話中他の女の子とルネするなど言語道断なのでは?」

「通知来たしまだ一言も言ってない」

「むー!」

「よって勝手に自爆したのは先輩が悪いということで」

「が、ガチ恋舐めないでください! プロのカモはストーカー如きとはわけが違います」

「張り合わない威張らない」

「怒ったふりしてやり過ごそうとしましたけど失敗しましたあ」

「とにかく、言いたいのはさ」


およよと泣くふりする先輩をシカトするとまたむすっと肉声で抗議してきたけど、こっちの方が大事だ。

一度深呼吸していかにも“俺の推察は”感がなるべく声に込めるよう一言づつ丁寧に連ねていく。


「ズバリ、百合園学園にある愛良先輩のファンクラブの子じゃない?」

「ぶぶーっ! 外れですー! マイナス五点です」


『地球は四角い並みのありえない発言ですわ』と、同時にルネが飛んできた。


「あいにく私はファンクラブなんか出来ておりません」

「毒姫って呼ばれるくらいだろ? てっきり出来てるもんだと」

「なんと出来てないのがガチです」


盗聴器越しで聞いてたらしい華生ちゃんからも『わたくしが保証しますわ』とのチャットと何故成立しないかがわかりやすくまとめられていた。

女子校特徴の一つ“羨望と嫉妬の入り乱れ”がどうやら原因になっているらしい。

おまけに本人の態度も相まってマンガのように慕う人はごく僅か。


「つまりそういう“ラノベあるある”は逆に可能性が乏しくなります」

「アリかと思ったけどなー」

「これが糾弾出来てわたくしの先入観の問題。の展開は生憎つぶれちゃいましたけど、それでも愛してくれますよねぇ……?」

「ふ……俺は……俺は……!」


『孝充様のザコザコなプライドずたずたにされたんですかぁ? 朝にたっぷり慰めてあげます♡』


いつものおふざけモードに華生ちゃんからの意味不明な慰めのルネ。

そっちがへこむわぼけ、やめれ。

しかし推理の原則としては間違ってないはず。

これで俺個人を狙ったストーキングということは確定と見ていいだろう。


「わかったまではいいんですけどね」

「対策が練られない」


ひっくり返したら“誰に対して”がわかっただけになる。

何が目的かわかっただけで手がかりがつかめたとかそういうやつではない。

逆に施しようがなくなった。

おまけに華生ちゃんに盗聴、監視されてることがリアルタイムで中継されていることがわからされただけだ。

メスガキだけに。


「今日も視線感じられていました?」

「バッチリと。今もなんかソワソワする」


『しばらくは今の体の維持が得策かと』


「どうしようもないからなぁ」

「私と電話してるのに他の女に返事しないで、ふん!」

「急にキャラ盛っても困惑するだけだぞ?」

「そこはタジタジになるのが定番でしょうに。ツンデレって難しいですね」

「ワンパターンすぎるから逆にムズイのかな」


仕方ないという結論が出たのであえなくいつも通りの雑談通話に切り替わる。

ピリっと張り詰めていた空気もいつの間にか緩和して穏やか会話に興じた。

華生ちゃんに盗み聞きされるというところが気になったもののまぁそれも意識しないと気にならなくなる。

気の持ちようとかよく言ったものだ。


「では孝充君、また放課後に」

「お休み、愛良先輩」


今日の議題『何故ツンデレは演じにくいか』について語り合い、画面に浮かぶ赤ボタンをタップするタイミングに合わせて『お疲れさまでした。もう少し堪能させていただいてから寝ますので』ってルネが届く。


「堪能するものなんてあるか?ったく」

わざとひとり言を漏らし、横になってリモコンでライトをオフ。

「……」


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