#3/過去の記憶と旅路の少年
◆◆◆注意◆◆◆
魔法、魔物、男の娘、ネタ、厨二じみた発言、もしかしたらおかしな言葉や文章も
◆◆◆キャラクター◆◆◆
・狸猫
名前:シオガスミ タンネ
年齢:16歳
性別:男
性格:ドジ、ちょっとツンデレ
身長:158.0cm
体重:36.5
服装:ダメージ入りジーンズと黒の猫耳パーカー
役職:魔法使い
第二章までが早い。
「おはよ~」
「あら、おはよう」
いい朝だね。散歩したい気分だ。
外は……うん、快晴だ。
「今日は出かけるの?」
「うん。せっかく晴れてるし、散歩でもしてこようかな」
……そうだ、昨日図書館で魔導書を借りたから……少しだけ練習してみようかな。人気のない森の方で。
「夕方には帰ってきてね?」
「分かってるよ~」
お母さんに軽く手を振って、玄関の扉を開いた。
…………眩しっ。
……あ、そういえば魔法って……魔法陣?ってのを作らないといけないんだっけ?……じゃあ紙とか必要なのかな……。
まぁいいか。それよりもまずは読んでみないと。
「えぇーっと……『手を前に出し、手のひらなどの部分的な場所に力を籠めるイメージで……』……分かんないや」
何も分からない。力を籠めても何が起こるわけでもないし……。
身体の中には魔力ってのが血液みたいにグルグル回ってるらしくて、大抵の人は意識さえすれば魔力の流れを感じられるらしいんだけど……あいにく僕はそんなの感じられない。……いや、多分魔力が無いわけでは無くって、やり方を間違えてるだけなんだろうけど……。
「……うん、多分やり方が違うだけだ。……うん」
そう自分に言い聞かせるように呟き、もう一度本に向き合う。
「……『魔法陣は、物に記すものと、想像して具現化させるものがあります』……なにそれ」
想像して具現化って……その時点で魔法では?とは思いつつ、ページを進める。
「……『魔法陣は、それぞれの魔法によって模様が違い、それぞれを覚える必要があります』……きつくない?」
……うん。僕は覚えるのが苦手だから諦めちゃうかもね。でもまぁ、やってみないと分からないか。
「……『まずは魔力を動かし、手のひらの先に球を作ってみましょう』……って、どうすんのぉ……」
魔力の動かし方すら分からないし、そもそもあるのかすら怪しい。実際、今まで魔力というものを感じたことが無いし……。
「そもそもこのやり方で合ってるのかな…………あ、できた」
……なぜかできてしまった。怖いよ。こういう成功が一番怖いんだから。
「……これはどうやったら消えるのかな……あっ」
全身の力をスッと抜くと、手のひらに乗っていた球体が消えた。……もういちど、今度は少し形のイメージを変えて力を籠めてみた。
「剣の形だとどうなのかな……あっ、普通にできた」
どうやらマスターできたみたい。もうこうなるとあとは簡単そうだね。
「ってことは……これを魔法陣の形にすればいいんだね」
思ったよりも簡単そうだ。
……じゃあ早速。
「……複雑ぅー……だけど、こうすれば……」
本に描かれている魔法陣をイメージして、手のひらに力を籠める。
……あ、そういえばこの魔法陣ってなんの魔法なんだろ――――っ!?
「――――いっ……たぁ……」
幸いにして他所への被害は何一つ出なかったものの、森の中の開けた空間のど真ん中に、ぽっかりと穴が開いてしまった。直径は……15mはありそう。でっか。
「……なんなのこれぇ……」
くぼんだ土の真ん中に仰向けになっていた僕、なぜか無傷の魔導書。
……空が綺麗……じゃなくって。
「えーっと……『この魔法陣は、爆発を起こす魔法です。初級魔法なのでレベルが低い魔物や人間が使うものは爆発の範囲や威力が小さめです。』……これで?」
手に持っていた魔導書を開き、その内容を疑う。流石におかしくない?初級魔法にしては威力高すぎない?……え?それとも無知なだけ?
そんなことを考えていると……。
「……っ。眠っ……」
なぜか急激に眠くなる。昨日夜更かししたっけ……?
「……うっ……ダメ、だ……」
眠気に抗えず、そのまま意識を手放してしまった。
◆◆◆
「……あら?なんの音?」
大きな爆発音と多少の縦揺れが半径1㎞の範囲に轟き、少々騒がしくなる木々と動物たち。狸猫の母親――朱里菜は洗濯物を干しながら、その音を耳にした……が。
「……また熊か何かが木でも倒したのかしら」
幸い、天然な母親はこの音の正体を息子の放った魔法だとは思わなかった。
今回は第二章。過去編です。
そしてお母さん登場!天然です。
……大丈夫、他の方より頻度は劣るけど前回(4ヵ月)よりも投稿ペースは速いのでっ!!!